「せっかくインプラント治療を受けたのに噛み合わせが変な感じがする…」このような違和感を覚えたことはありませんか?
もしかするとその原因はインプラントの噛み合わせの悪さにあるかもしれません。
インプラントの噛み合わせは、患者さんの口腔内環境や経年劣化などの影響により徐々に変化していきます。そのため、最初は問題がなかった噛み合わせも次第に悪くなってしまう場合があるのです。
今回はインプラントの噛み合わせが悪い原因をご説明するとともに、噛み合わせの調整・チェック方法なども解説します。
インプラントの噛み合わせが気になるという方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
インプラントの噛み合わせが悪い原因
- インプラントの噛み合わせが悪い原因を教えてください。
- インプラント治療直後は噛み合わせに問題がなくても、時間が経過するごとに噛み合わせが悪くなる場合があります。治療後にインプラントの噛み合わせが悪くなる原因として、以下が挙げられます。
- 日常生活の癖
- 食べ物を噛むときの癖
- 噛みしめる力が強い
- 歯の食いしばり
- メンテナンス不足
日常生活でパソコンやスマートフォンを見るときに頬杖をついてしまうことがあるかもしれません。このような負担が顔の一部分に長期的にかかることで、骨が変形して噛み合わせが悪くなってしまう場合があります。また、食べ物を食べるときに片側だけで噛んでしまうのも噛み合わせが悪くなる原因です。片側だけで食べ物を噛んでいると顔の片方の咀嚼筋ばかり動かすことになり、左右の筋肉のバランスが崩れて噛み合わせが悪くなってしまいます。噛みしめる力が強い方や、歯を食いしばる癖がある方も注意が必要です。強い噛みしめや食いしばりの負荷が継続的にかかることで歯並びが悪くなる場合があります。この他、インプラントのメインテナンス不足も噛み合わせが悪くなる原因の1つです。インプラントのメインテナンスではクリーニングのほか、噛み合わせの調整も行いますので、定期的なメインテナンスを必ず受けましょう。
- 悪くなった場合インプラント治療は途中でやめてもよいでしょうか?
- 噛み合わせが悪くなった場合でも、インプラント治療は途中でやめないようにしましょう。途中で治療をやめてしまうと、仮歯が破損したり治療中の箇所から細菌が感染したりするリスクがあります。また、これらの異常が起こってからインプラント治療を再開した場合、治療費が余計にかかるため通常のインプラント治療よりも費用が高額になる可能性があります。もし治療途中で噛み合わせが悪いと感じたら、歯科医師に相談して対処してもらいましょう。
- 放置するとどのような症状が起こりますか?
- 噛み合わせが悪いまま放置すると、歯や顎に悪影響があるだけではなく全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。噛み合わせの悪さを放置することで見られる症状として以下が挙げられます。
- むし歯・歯周病
- 顎関節症
- 顔の歪み
- インプラントの寿命が短くなる
- 肩こり
- 頭痛
- 手足の痺れ
- 耳の症状
- 不定愁訴(原因不明の体調不良)
噛み合わせが悪いまま放置すると、むし歯や歯周病のリスクが高まります。残った歯の健康が損なわれるだけでなく、インプラント周囲炎を発症する恐れもあるため注意が必要です。また、噛み合わせの悪さは顎関節症の発症や顔が歪む原因にもなるでしょう。噛み合わせによってインプラントの歯に負荷がかかるような場合、インプラントの寿命が短くなってしまう可能性もあります。さらに、嚙み合わせの影響は全身に及ぶことがあります。噛み合わせが悪くなると骨格にも影響が出るため肩こり・頭痛・手足の痺れといった症状の原因になるのです。また、耳鳴りや耳が詰まった感じがするなどの耳の症状や不定愁訴の原因となることもあります。このように、噛み合わせの異常は全身の健康を損なう恐れがあるので、放置せずに早めに対処しましょう。
インプラントの噛み合わせが悪い場合の調整とは?
- 噛み合わせが悪い場合の調整とはどのようなことができますか?
- インプラントの噛み合わせが悪くなった場合、ネジの締め直しや上部構造の調整を行います。インプラント治療直後は噛み合わせに問題がなくても、時間が経つごとにネジが緩んだり上部構造が摩耗したりして噛み合わせが悪くなる場合があります。噛み合わせが悪くなってきていても自分では気が付かないケースもあるため、定期的なメインテナンスでインプラントの状態を確認することがとても重要です。
- 調整は痛みが出てきやすいものでしょうか?
- インプラントの調整で大きな痛みを伴うことはあまりないでしょう。インプラントの噛み合わせの調整では、咬合器などを使用しながら噛み合わせを確認し、ネジや上部構造を調整して正しい位置に戻します。場合によっては周りの歯を削ってインプラントを正しい位置に調整することもありますが、それ程大きな痛みは出ないでしょう。なお、重度の不正咬合では歯列矯正を行う場合があるため、その際には歯列矯正に伴う痛みが出ることがあります。
- 噛み合わせが悪いとほかの合併症も起こしやすくなりますか?
- インプラントの噛み合わせが悪いと、むし歯・歯周病・インプラント周囲炎などの合併症が起こるリスクが高くなるので注意が必要です。インプラント周囲炎を発症するとインプラントが動くようになり抜け落ちてしまうことがあります。このような合併症を防ぐためにも、インプラント治療後の噛み合わせの違和感は放置せず、すぐに歯科医師に相談するようにしましょう。
- 噛み合わせを調整する場合費用はどのくらいかかりますか?
- インプラントの噛み合わせを調整する費用は、インプラントの状態によって変わります。一般的な定期メインテナンスの範囲内で調整可能な場合には3,000〜10,000円(税込)程度でしょう。インプラントの上部構造が破損するなどして交換が必要な場合には、50,000〜200,000円(税込)程度かかるでしょう。上部構造の費用は素材によって変わります。なお、インプラント治療やメインテナンスにかかる費用は医療費控除の対象となります。医療費控除を受けるには確定申告が必要ですが、一部費用が戻ってくるので活用してみてはいかがでしょうか。
インプラントの噛み合わせが悪い場合のチェック方法
- 噛み合わせが悪い場合できるチェック方法を教えてください。
- インプラントの噛み合わせが悪いと感じる場合には、以下の点をチェックしてみてください。
- 食事中や会話中に特定の歯ばかり強く当たっている
- 舌が動かしづらい
- 上下の歯の中心がズレている
- 口角を上げたときの高さに左右差がある
- 顎の動きが悪いと感じる
通常噛み合わせがよい状態であれば両側の奥歯が均等に当たるため、しっかりと噛むことができます。しかし、噛み合わせが悪くなっていると特定の歯ばかり強く当たるため、噛みづらいと感じるようになります。また、噛み合わせが悪いと舌の動きが鈍くなり滑舌が悪くなることがあるでしょう。「なんとなくしゃべりづらい」と感じる場合には噛み合わせが悪くなっているかもしれません。この他、実際に歯を見てチェックする方法もあります。鏡の前でお口を「い」の形にしたとき、上下の歯の中心がズレている場合には、噛み合わせに問題がある可能性があります。また、笑顔を作るようにして口角を上げたときに、口角の左右の高さに差があるという場合にも注意が必要です。また、顎が動かしづらい・開けづらいと感じる場合には、噛み合わせの悪さから顎関節症を起こしているかもしれません。当てはまる項目がないかチェックしてみてください。
- 噛み合わせを悪く感じたら歯科医師に相談したほうがよいですか?
- インプラントの噛み合わせが悪いと感じたら、我慢せずにすぐに歯科医師に相談しましょう。そのまま我慢して過ごしていると噛み合わせが徐々に悪くなり、インプラントの破損やさまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。噛み合わせに少しでも違和感を覚えたら、すぐに歯科医師に相談してチェックしてもらいましょう。
- 嚙み合わせの治療期間はどのくらいですか?
- インプラントの噛み合わせが悪くなっている原因によって治療期間は異なります。原因が上部構造とアバットメントをつなぐネジの緩みである場合には、ネジを締め直すだけですぐに治療は完了するでしょう。原因が上部構造の摩耗や破損である場合には上部構造を作り直す必要があるため、2週間程度時間がかかるでしょう。また、全体の噛み合わせがとても悪い場合、歯列矯正が必要となるケースもあります。歯列矯正を行う場合には半年〜1年程の期間がかかるでしょう。
編集部まとめ
インプラントの噛み合わせは、患者さんの口腔内の状態や経年劣化によって徐々に悪くなることがあります。
噛み合わせが悪いと感じているにも関わらずそのまま放置してしまうと、むし歯・歯周病・インプラント周囲炎などを発症するリスクが高まるでしょう。
また、噛み合わせは口腔環境だけではなく全身の健康にも影響を及ぼします。
悪い噛み合わせの影響で顎や頚椎といった骨格に負担がかかり、バランスが歪んでしまうことがあります。これにより顎関節症・肩こり・頭痛・手足の痺れ・原因不明の体調不良などの症状を引き起こす場合があるのです。
なかなか改善しない肩こりや頭痛などの症状の原因が、実は噛み合わせにあるケースも少なくありません。
インプラントの噛み合わせが悪くなっていないか、セルフチェックでこまめに確認するようにしましょう。また、自分でも気が付かない噛み合わせの不具合を早めに発見するためにも、定期的なメインテナンスをしっかり受けることがとても重要です。
インプラントを適切に管理して、長く快適に使用できるようにしましょう。
参考文献