インプラント

インプラント治療の平均年齢|年齢制限・リスク・費用などもあわせて解説

インプラント治療の平均年齢|年齢制限・リスク・費用などもあわせて解説

インプラント治療は入れ歯、ブリッジに続く第3の治療法として注目されています。

天然歯に近い利便性や快適性を持ち審美性も高いインプラントは生活レベルの上昇に伴い需要が高まっています。しかしインプラントも万能ではありません。

例えば骨の発育による制限や健康上の問題でインプラントが行えないケースもあります。

この記事ではインプラント治療のメリットだけでなく、制限・リスク・費用なども解説します。

インプラント治療の平均年齢・制限

グラフ

インプラント治療の平均年齢について教えてください。
滋賀医科大学医学部附属病院のデータによると、2010年8月1日~2017年3月31日までにインプラント体を埋入した患者さんの総数は286名でした。
対象年齢は19~88歳で平均年齢は57歳となります。特に50歳代と60歳代で全体の約73.8%を占めており、男性が90名・女性が121名となりました。
全体の男女比率は男性が127名に対し女性が159名と、女性がやや上回るかたちです。
インプラント治療の年齢に制限はありますか?
インプラント治療に年齢の制限はなく、誰でも治療可能です。
ただし外科手術を伴うため健康上の問題で治療できないケースがあります。例えば心疾患などで症状が重い方や安定していない方は治療が困難になります。糖尿病なども同様です。糖尿病の場合、手術後の傷の治りが悪くなり感染の危険性が増します。
また骨を作る細胞の機能が低下し骨結合ができず、インプラント周囲炎を起こしやすくなるリスクがあります。このほかにも骨粗しょう症の場合、使用している予防薬や治療薬の種類によっては治療が受けられません。
インプラント治療を希望する場合は、まず主治医に相談をしてみてください。
若くてもインプラント治療は受けられますか?
成長発育中の子どもには基本的にインプラント治療は行いません。
現在のインプラント治療では、顎骨に埋め込んだインプラント体と骨が結合するため、顎骨が成長するとインプラント体が骨のなかに埋没してしまうからです。骨の成長が止まる時期を過ぎてから治療を行えば問題ありませんので、一般的に女性は18歳・男性は20歳から治療可能です。

インプラント治療の平均年齢におけるメリット・リスク

メリット デメリット

インプラント治療を若いときに受けるメリットはありますか?
インプラントは入れ歯と比べ、より天然歯に近い機能性や審美性を持っています。
インプラント治療を行うと、硬いものを噛めるメリットだけでなく口元を見せる際にも気になりません。これは人前に出る機会の少なくない若いときには大きなメリットです。
そのため事故やケガで歯を失った場合、10~20代でインプラント治療を受ける方もいます。また歯の噛み合わせが歯を失う前と変わらないため、ほかの歯や顎の骨の負担も減らします。ブリッジのように歯を削る必要もないので、健康な歯の維持にも有効です。
このほかにもしっかりと噛むことで顎の骨が吸収されにくくなり、骨量の維持やお顔の輪郭が変わらないことによる老け顔防止の効果もあります。1~2本の失った歯を取り戻したいという場合には、若いときにインプラント治療を受けるのは有効な手段です。
年齢によってリスクが生じやすい治療ですか?
インプラント治療は手術をして終わりではありません。
手術後のメンテナンスを定期的に行い、インプラントと一生付き合っていくリスクがあります。そのため若ければ若い程メンテナンス期間が長くなります。
メンテナンスを怠った場合、歯肉炎や歯周病などにかかりやすくなるので注意が必要です。こういった理由もありインプラント治療を受ける年代は50~60代で多く、若年層は少ない傾向になります。
またインプラント治療は保険の対象外でありとても高額です。収入の少ない若いときに治療を受けると大きな負担になる可能性があります。長く使えば結果的にコストパフォーマンスはよくなりますが、負担なくローンを組めるかなどよく検討して判断しましょう。
年齢以外に受けられない理由はありますか?
インプラント治療を行う際にはCT検査をはじめとして血液検査・心電図検査などが事前に必要ですが、この検査を受けられない方は治療ができません
例えば妊娠している方・授乳中の方はCT検査を控えた方がよく、また治療に合わせて痛み止めや抗生物質を投与する場合もあるのでインプラント治療は難しくなります。
このほかにもチタンに対するアレルギーを持つ方や骨粗しょう症などで顎の骨が不足している方は治療を受けられません。喫煙者の場合はインプラント治療が可能ですが、粘膜の血液の流れが悪くなっており傷の治りや骨の増殖に影響します。
また治療後のメンテナンス期間も含め禁煙が必要です。喫煙者がインプラント治療を検討する場合、早めに禁煙しておく方がよいでしょう。

インプラント治療の費用・注意点

ポイント

インプラント治療の費用相場を教えてください。
インプラント治療の費用は大まかに4つにわかれます。検査費用・手術費用・材料費(人工歯・インプラントなど)です。
  • 検査費用=約40,000~50,000円(税込)
  • 次に手術費用(1本)=約50,000~120,000円(税込)
  • 材料費(インプラントおよび人口歯)約350,000~400,000円(税込)

上記のほかに例外としてインプラントを支えるための十分な骨がなく造骨手術を行う場合には別途、約50,000~250,000円(税込)の費用がかかる場合があります。
いずれにせよ高額ですので、治療の前に歯科医師と相談しましょう。またインプラントにかかった費用に保険は効きませんが、医療費控除の対象です。
所得税・住民税の支払額にもよりますが、最大で200万円までが課税所得から控除されます。忘れずに申告しましょう。

インプラント治療では年齢による注意点はありますか?
加齢が原因で治療が難しくなるケースはあります。
例えば埋入したインプラントがしっかり固定できなくなる可能性です。一般的に年齢を重ねれば骨代謝は下がり身体の免疫機能も衰えます。そのためインプラントと骨の結合が上手くいかない場合があります。
また持病がある方は服用している薬の種類や期間によっては治療を受けられません。糖尿病患者さんの場合も手術後の傷の治りが悪くなる・骨代謝が落ちて骨とインプラントが結合しないなどのリスクがあります。
インプラント治療ではメンテナンスは必要になりますか?
インプラント治療は手術をして終わりではなく、術後の経過確認と定期的なメンテナンスが必要です。
装着後1ヵ月・3ヵ月・6ヵ月・1年と噛み合わせやインプラントの清掃状態に問題がないかを確認します。この際に専用の歯ブラシなどを使用して歯科医師が清掃指導を行いますが、大事なのはご自身での毎日のメンテナンスです。
インプラントはむし歯にはなりませんが、雑な清掃だと自分の歯と同じように歯周病になります。歯ぎしりや食いしばりの強い方はさらに丁寧なメンテナンスだけでなく、咬合調整やマウスピースの装着が必要です。
1年の経過観察を経て、問題なければ年に1~2回の通院に変わります。
インプラントを長持ちさせる対処法はありますか?
インプラントの10年後の残存率は95%を超えるという報告もありますが、一概にはいえないのが事実です。
インプラントを支える骨の量が少ない傾向にある上顎は90%前後の残存率ですし、歯周病にかかった場合はさらに残存率は下がります。また定期的な検診を受けている方の方が受けていない方より長持ちするというデータもあります。
そもそもインプラントそのものは劣化しないため、適切にメンテナンスを行えば何十年も使用可能です。車と同じように、日々のメンテナンスを忘れずに大事に使えばそれに応えてくれるのがインプラントです。
一生の付き合いになるようにメンテナンスしましょう。

編集部まとめ

虫眼鏡

インプラントは天然歯に近い利便性や快適性を持ち、審美性も高い製品です。事前にリスクを理解しておけば、使用するメリットは少なくありません。

また自己管理が徹底できれば若いうちから使用するメリットもより大きくなります。早いうちから歯のメンテナンスをしっかり行えば、将来的に失う可能性のある歯の本数も減らせます。

インプラント治療を検討する際は歯科医師と相談し、費用やリスクを十分に理解したうえで行うようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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