インプラント

サイナスリフトに危険性はある?トラブルの原因やリスク、予防法を紹介

サイナスリフトに危険性はある?トラブルの原因やリスク、予防法を紹介

サイナスリフトを受けようとしている方のなかには、治療の危険性やリスクなどが気になるという方もいるのではないでしょうか。この記事は、サイナスリフトにおけるよくあるトラブルやその予防法などを解説します。これからサイナスリフトを受けようと検討している方は参考にしてみてください。

サイナスリフトの危険性

サイナスリフトの危険性

サイナスリフトとはどのような治療ですか?
サイナスリフトは、上の奥歯のインプラント治療を行う際、顎の骨が不足しているケースで必要となる治療です。サイナスとは上顎洞という鼻の横にある空洞を指す言葉で、上顎洞を持ち上げるような形で治療が行われるため、サイナスリフトと呼ばれます。
サイナスリフトは、歯茎を切開して上顎洞を露出させ、上顎洞の粘膜を持ち上げて作った空洞に、骨補填材という骨を作り出す素材を充填する方法で行われます。充填された骨補填材は数ヶ月間かけてゆっくりと骨に置き換わり、インプラント治療を行うために十分な骨の量を確保することができたら、インプラントの手術を行います。
サイナスリフトの手術に危険性はありますか?
サイナスリフトは、歯茎の切開や歯槽骨を開くといった処置が必要になる治療です。切開した部位は最後にしっかりと縫合されますが、内部に細菌などが入り込んでしまうと感染症が引き起こされ、強い腫れや痛みといった症状につながる危険性があります。
また、サイナスリフトの治療においては、上顎洞の粘膜を歯槽骨から丁寧に剥離して持ち上げ、骨補填材を充填するための空間を作りますが、上顎洞の粘膜はとても薄くやわらかいため、場合によっては粘膜が傷ついたり、破れたりしてしまう危険性があります。粘膜が破れてしまうとその部分から炎症などが生じやすいため、トラブルを避けるためには経験豊富で高い技術力を持った歯科医師による治療を受けることが大切です。
サイナスリフトの治療後の危険性を教えてください
サイナスリフトの治療後は、切開部位からの出血や痛みのほか、細菌感染による炎症などの危険性があります。サイナスリフトで治療を行う上顎洞は副鼻腔と呼ばれる組織の一つで、鼻の穴とつながっているため、上顎洞に炎症が生じると鼻づまりや鼻からの異臭など、副鼻腔炎の症状が引き起こされる可能性があります。 また、サイナスリフトの後にはインプラント治療が行われることが一般的ですが、サイナスリフトを行っても骨の量が十分でなかった場合、骨からボルトが飛び出してしまう危険性があります。
ボルトが飛び出していると、くしゃみなどで上顎洞内に圧力がかかった場合に上顎洞の粘膜がボルトに押し付けられ、粘膜が破れてしまう危険性が生じます。

サイナスリフトのトラブルが生じる要因

サイナスリフトのトラブルが生じる要因

手術方法によって危険性やリスクの度合いは変わりますか?
上顎洞を持ち上げ、上顎の骨を増強する治療法には、一般的にサイナスリフトと呼ばれている治療のほかにも、ソケットリフトと呼ばれる治療法があります。
サイナスリフトが歯茎を広めに切開して、上顎洞が目視できる状態で行う治療であるのに対し、ソケットリフトはインプラント体を埋め込むために歯槽骨に開ける小さな穴から、特殊な器具で上顎洞の粘膜を持ち上げて治療を行います。
どちらも上顎洞を丁寧に持ち上げて骨補填材を充填するという点では同じですが、ソケットリフトの場合は上顎洞を直接見ながら治療を行えないため、粘膜に傷がないかなどを確認することができません。そのため、サイナスリフトでの治療の方が、治療後の感染などの危険性を回避しやすいといえます。
一方で、サイナスリフトは広い範囲を切開する必要があるため、身体への負担が大きくなりやすく、痛みや腫れ、内出血などが生じやすい治療です。
サイナスリフトとソケットリフトは一度の治療で骨を増強できる量なども異なり、症例によって使い分けが行われる場合が一般的ですが、治療法により危険性なども異なると理解しておくとよいでしょう。
サイナスリフトを受ける際の禁止事項はありますか?
サイナスリフトを行う上顎洞は、気圧の変化や激しい呼吸などによって圧力が強まる可能性がある部位です。そのため、治療後は鼻を強くかんだり、くしゃみをしたり、歌唱などの激しい呼吸を伴う行動を、術後しばらくの期間は避ける必要があります。また、気圧の変化が生じやすい飛行機への搭乗や登山なども、治療後しばらくは控えましょう。 また、手術を行った部位の回復を促進するため、治療直後の口腔ケアにも注意する必要があります。歯磨きの際は治療部位を避けるようにするほか、術後24時間はゆすぐ程度にしてうがいも控えましょう。 そのほか、治療後の数時間は麻酔の効果で口腔内の感覚が麻痺しているため、舌や頬を噛んでしまわないように食事を避ける必要があります。麻酔の効果が切れれば食事はできますが、硬い食べ物や刺激物は患部への刺激になる可能性があるため、特に治療後数日間は禁止される可能性があります。
手術後の生活習慣でトラブルが生じることはありますか?
サイナスリフトの手術後に、上記のような避けるべき行為を行ってしまうと、縫合した傷跡が開いてしまったり、傷跡に炎症が生じて強い痛みや腫れが生じる危険性があります。
また、うつ伏せ寝などの生活習慣は患部の血流を悪化させ、治療部位の回復を遅くしてしまう可能性があります。

サイナスリフトの危険性を抑える方法

サイナスリフトの危険性を抑える方法

トラブルをできる限り回避する方法はありますか?
サイナスリフトによるトラブルの危険性をできる限り抑えるためには、経験豊富な歯科医師による丁寧な治療を受けることや、歯科医師の指示をしっかりと守って術後を過ごすことが大切です。
シュナイダー膜と呼ばれる上顎洞の粘膜は、とても薄く傷つきやすい組織であるため、慎重に取り扱わないと傷ついたり破れたりしてしまいます。高い技術力を持つ歯科医師のもとで治療を受けることで、治療におけるトラブルの危険性を抑え、安全性の高い治療を受けやすくなります。 また、上述のように術後の過ごし方によってさまざまなトラブルが生じる危険性がありますので、歯科医師の指示をしっかり守って、適切なケアを行うことが大切です。
危険性を抑えるためにはどのような歯科医院を選べばよいでしょうか?
危険性を抑えたサイナスリフトを受けるためには、口腔内の外科治療経験が豊富な歯科医師が治療を担当している歯科医院を選ぶとよいでしょう。どの程度の経験を持つ医師かを判断することは難しいですが、日本口腔外科学会 口腔外科専門医や、インプラント治療に関する専門医資格を持つことは、一つの目安となります。 また、安全性の高い治療を行うためには、検査や治療のための設備が充実していることも重要です。口腔内の状態を立体的に撮影し、精密な検査が可能となる歯科用CTや、視野を拡大して精密な治療を可能にするマイクロスコープなど、設備が整った歯科医院で治療を受けると、危険性を抑えた治療を受けやすいといえます。
サイナスリフト手術後の過ごし方のポイントを教えてください
サイナスリフトの手術は、何よりも担当する歯科医師の指示をしっかりと守って過ごすことが大切です。処方された薬の服用や、日常生活での制限など、きちんと指示を守りながら、なるべく安静に過ごすようにしましょう。
また、もし治療後に我慢できないような痛みが生じたり、治療後の痛みが1週間以上引かないような場合には、なるべく早めに担当の歯科医師の診察を受け、問題が起きていないか確認するようにしましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

サイナスリフトは、上顎の骨が少ない方でもインプラント治療を受けられるようにするための有用な治療法ですが、切開部位の痛みや腫れ、感染症などの危険性もあります。
治療の危険性を抑えるためには、設備が充実している歯科医院で、経験豊富な歯科医師の治療を受けることが大切です。また、術後の過ごし方によってもトラブルのリスクが変わりますので、手術の後は歯科医師の指示をしっかりと守って過ごすようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:1989年福岡歯科大学 卒業 1991年松浦明歯科医院 開院 2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任 / 資格:厚生労働省認定研修指導医 日本口腔インプラント学会認定医 ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医 / 所属学会:ICOI(国際口腔インプラント学会) 日本口腔インプラント学会 日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事 日本顎咬合学会 会員 日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340