「オールオン4の寿命ってどのくらいなの?」「長持ちさせるために、自分でできることはあるの?」といった疑問や不安を感じたことはありませんか?
確かに、オールオン4は画期的な治療法ですが、メンテナンス次第で寿命が変わってくるのも事実です。
本記事ではオールオン4の寿命について以下の点を中心にご紹介します。
- オールオン4の寿命
- オールオン4の寿命を伸ばすためにできること
- オールオン4の寿命を伸ばすための歯科クリニックの選び方
オールオン4の寿命について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
オールオン4とは
オールオン4とは、少ないインプラント本数で総入れ歯のような上部構造を装着する治療法です。従来のインプラント治療では、失った歯の数だけインプラントを埋入する必要がありましたが、オールオン4では4本のインプラントで12本の上部構造を支えます。
オールオン4では、手術当日からしっかりと噛むことが可能とされており、メンテナンスを怠らなければ長期間使用できます。また、インプラントの本数が少ないため、治療費用も抑えられるメリットがあります。オールオン4は、従来のインプラント治療と比べて治療の負担が少なく、多くの患者さんに選ばれています。
オールオン4の寿命
オールオン4の寿命は、基本的にはほかのインプラント治療と同様に、適切なメンテナンスを行えば10年以上といわれています。なかには、20年から30年と長期間使用している患者さんもいらっしゃいます。ただし、オールオン4は少ないインプラントで上部構造を支えているため、1本でもインプラントが使えなくなるとほかのインプラントに負担がかかり、再治療が必要となります。
また、オールオン4のかぶせものは、奥歯から摩耗しやすく、噛み合わせのバランスが崩れやすいため、定期的なチェックとメンテナンスが不可欠です。メンテナンスを怠ると、わずか5年ほどで寿命を迎える可能性があります。
オールオン4の寿命を縮めるリスク要因
オールオン4は、適切なメンテナンスを行えば長期間使用できる治療法ですが、リスク要因によって寿命が縮まる可能性があります。
ここでは、オールオン4の寿命を縮めるリスク要因を5つ紹介します。
喫煙
喫煙は、オールオン4の寿命を縮めるリスク要因です。タバコに含まれる有害物質は、歯茎の血流を悪化させ、口腔内の免疫力を低下させます。インプラント周囲炎や歯周病のリスクが高まり、オールオン4の寿命が短くなる可能性があります。
また、喫煙は唾液の分泌を減少させ、口腔内の自浄作用を弱めます。結果、細菌が増殖しやすくなり、インプラントへの感染リスクが高まります。さらに、喫煙はインプラントと骨の結合を阻害し、オッセオインテグレーションの失敗や、インプラントの脱落につながる可能性もあります。
過度な飲酒
アルコールの多量摂取は、口腔内の環境を悪化させ、インプラントの健康に悪影響を与えます。
お酒には利尿作用があり、体内の水分量を減少させるため、口腔内が乾燥し、唾液の分泌が低下します。唾液は口腔内の自浄作用に重要な役割を果たしているので唾液の減少は細菌が繁殖し、歯周病のリスクを高めます。
歯周病は、インプラントの周囲の骨や歯肉に炎症を引き起こし、オールオン4の寿命を短くする可能性があります。さらに、過度な飲酒は免疫力を低下させ、インプラント周囲の感染リスクを高めるとされています。
歯ぎしり
天然の歯には、歯根膜と呼ばれる組織があり、噛み合わせの衝撃を吸収するクッション機能を持っています。しかし、オールオン4をはじめとするインプラントには、この歯根膜が存在しないため、衝撃を和らげる機能がありません。
歯ぎしりによる過度な力がインプラントに加わると、その衝撃が直接顎の骨に伝わります。この繰り返しの衝撃により、インプラント周囲の骨の吸収が加速し、オールオン4の寿命が短くなる可能性があります。
さらに、歯ぎしりによる過剰な力は、インプラントやかぶせものに物理的なダメージを与え、破損や脱落のリスクを高め、オールオン4の寿命が短くなるだけでなく、追加の修理や再治療が必要になる場合もあります。
不十分なケア
日々の歯磨きやデンタルフロスの使用などのセルフケアが不十分であると、インプラント周囲に歯垢や歯石が蓄積し、細菌感染のリスクが高まります。
オールオン4の場合、インプラントと歯肉の境目や、かぶせものの隙間などは、歯磨きが難しい部位であり、磨き残しが起こりやすくなります。細菌が蓄積すると、インプラント周囲炎を引き起こし、オールオン4の寿命を短くする可能性があります。
乱れた食生活
不規則な食事や過剰な糖質の摂取は、口腔内の健康に悪影響を及ぼし、インプラントの寿命を短くする可能性があります。
だらだら食べる習慣や、糖質の多い食品の頻繁な摂取は、歯垢が蓄積します。歯垢が溜まりやすい環境では、細菌が繁殖しやすくなり、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
さらに、乱れた食生活は、糖尿病の発症リスクを高めます。糖尿病は、歯周病の主要な原因の一つであり、インプラントの健康に悪影響を与えます。高血糖状態が続くと、免疫力が低下し、感染症のリスクが高まるため、オールオン4の寿命が短くなる可能性があります。
オールオン4の寿命を伸ばすためにできること
日々の生活のなかで実践できるケアや習慣の改善により、オールオン4をより長く使い続けられるようになります。
ここでは、オールオン4の寿命を伸ばすためにできる具体的な方法を6つ紹介します。
日頃のメンテナンスの徹底
オールオン4の寿命を伸ばすために、日頃のメンテナンスを徹底しましょう。オールオン4は、適切なケアを怠ると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
インプラント周囲炎は、インプラント周辺の組織に細菌が感染することで発生し、歯周病と似た症状が現れます。歯茎の腫れや出血、膿などの症状が進行し、インプラントを支える顎の骨が溶けていきインプラントが脱落してしまう可能性もあります。
インプラントは人工物であるため、細菌への抵抗力が天然歯に比べて低く、インプラント周囲炎の進行速度は歯周病の約10倍ともいわれています。また、初期段階では自覚症状が少ないため、気付いたときには重症化していることも少なくありません。
インプラント周囲炎を予防するには、日々の丁寧な歯磨きに加え、歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間など汚れが溜まりやすい部分を入念にケアすることが大切です。
定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける
オールオン4の寿命を延ばすためには、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けましょう。
日々のセルフケアに加えて、歯科衛生士や歯科医師の視点からのチェックと処置が必要です。
定期検診では、インプラントや歯茎などの歯周組織、かぶせものの状態を詳しく確認します。また、歯科医院では、歯磨き方法では取り除くことが難しい歯石を専用の器具で除去するスケーリングを行います。定期的なスケーリングにより、歯石を除去し、口腔内の衛生状態を保ちます。
メンテナンスの頻度は、個人の口腔内の状態やインプラント治療からの経過期間によって異なりますが、数ヵ月〜1年に1回程度が目安とされています。かかりつけの歯科医師と相談し、適切な間隔でメンテナンスを受けるようにしましょう。
噛み合わせを調整する
噛み合わせの不具合は、上部構造の早期摩耗や破損だけでなく、周囲の天然歯にもダメージを与える可能性があります。かぶせものの素材によっては、対合歯との接触により天然歯が傷つくこともあるため、注意が必要です。
また、治療直後はバランスの取れた噛み合わせでも、時間の経過とともに口腔内の環境が変化し、噛み合わせが悪化する可能性があります。定期的なメンテナンスで噛み合わせをチェックし、必要に応じて調整を行いましょう。
歯ぎしりや食いしばりの癖を改善する
オールオン4のインプラントは、天然歯と異なり歯根膜がありません。歯根膜は、歯と顎の骨の間にあるクッションのような役割を果たしますが、インプラントにはこの緩衝機能がないため、歯ぎしりや食いしばりによる衝撃を直接受けてしまいます。
歯ぎしりや食いしばりは無意識に行われるため、自分だけでコントロールするのは難しいとされています。そこで、マウスピースなどの防御装置を使用することが推奨されます。市販品もありますが、歯科医院で作成したカスタムメイドのマウスピースがより効果的とされています。
禁煙する
たばこには、ニコチンをはじめとする多数の有害物質が含まれており、白血球の機能を低下させ、免疫力を弱めます。また、ニコチンの血管収縮作用により、歯肉の血流が悪化し、組織の修復能力が低下します。
結果、インプラント周囲炎が発生しやすくなり、悪化のスピードも速くなります。重度のインプラント周囲炎は、オールオン4のインプラントの脱落につながる可能性があります。
多くの歯科医師は、オールオン4の治療を行う際に、一定期間の禁煙を求めます。喫煙者の方は、オールオン4の治療を機に禁煙をおすすめします。場合によっては、禁煙ができない患者さんに対して、オールオン4の治療を断るケースもあります。
禁煙は簡単ではありませんが、オールオン4の長期的な成功のために、挑戦する価値は十分にあります。
規則正しい生活習慣を心がける
食生活は、口腔内の健康に影響を与えます。甘いものや脂質の多い食事を過剰に摂取すると、歯垢が蓄積しやすくなります。歯垢に含まれる細菌は、インプラント周囲炎の主な原因です。
また、不規則な食生活は、糖尿病のリスクを高めます。先述したように糖尿病は、インプラント周囲炎の悪化因子の一つであり、オールオン4の寿命に悪影響を及ぼします。
睡眠不足やストレス、運動不足も、免疫力を低下させ、細菌感染のリスクを高めます。生活習慣の乱れは、インプラント周囲炎の発症により、オールオン4の寿命を縮める可能性があります。
オールオン4の治療を機に、生活習慣を見直し、改善しましょう。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理などを心がけましょう。
オールオン4の寿命を伸ばすためのセルフケア方法
オールオン4を長持ちさせるためには、日々のセルフケアが欠かせません。以下のポイントを押さえて、正しいケア方法を実践しましょう。
- 適切な歯ブラシの選択
歯磨きは、ヘッドが小さめで毛先がラウンドカットがふつうの硬さの歯ブラシを使いましょう。強くこすり過ぎると歯茎を傷つける可能性があるので注意が必要です。 - 歯間ブラシやフロスの活用
歯間ブラシやフロスを活用し、歯ブラシでは届きにくい部分もしっかりとケアしましょう。インプラントと歯茎の接点は汚れがたまりやすいので意識的に清掃します。 - 電動歯ブラシとジェット水流洗口器の使用
フルブリッジと歯茎の境目は、電動歯ブラシやジェット水流洗口器を使うと効果が期待できます。歯ブラシだけでは落としきれない汚れもしっかりケアできるでしょう。
定期的な歯科医院でのメンテナンスとともに、毎日のセルフケアを習慣づけることが何より大切です。
オールオン4の寿命を伸ばすための歯科クリニックの選び方
オールオン4の寿命を伸ばすためには、患者さん自身の努力だけでなく、治療とアフターケアを提供してくれる歯科クリニックを選ぶことも重要です。
ここでは、オールオン4の寿命を伸ばすための歯科クリニック選びのポイントを4つ紹介します。
オールオン4の治療経験が豊富か
オールオン4は、従来のインプラント治療と比べると新しい方法であるため、すべての歯科クリニックで対応しているわけではありません。高度な技術を要するため、歯科医師の経験と腕が治療結果に影響します。
オールオン4の寿命を伸ばすためには、治療経験が豊富な歯科医師を選びましょう。経験豊富な医師ほど、適切な診断とプランニングを行い、精度の高い治療を提供できるからです。
歯科クリニック選びの際は、ホームページや問診時に、オールオン4の症例数や治療経験について確認しましょう。多数の症例を手がけているクリニックは、技術力が高く、長期的な予後も期待できます。
設備が整っているか
歯科用CTや顕微鏡を導入しているクリニックは、患者さんの口腔内を詳細に把握し、適切な治療計画を立てられます。
CTスキャンは骨の密度や形状を立体的に評価できるため、インプラントを埋入するための情報が得られます。また、歯科用顕微鏡は、肉眼では見えにくい細部まで拡大して観察できるため、精密な処置が可能とされています。
歯科クリニック選びの際は、先進的な機器を導入し、有効活用しているかどうかもチェックポイントの一つといえるでしょう。
インプラントやかぶせものの品質を確認
オールオン4の寿命を引き出すには、使用するインプラントとかぶせものの品質が影響します。
かぶせものはレジン素材よりもセラミック素材の方が耐久性があり、長持ちするといわれています。ただし、極端に低価格の治療プランには注意が必要です。安価な材料を使用している可能性があり、オールオン4の寿命が短くなるリスクがあるからです。 歯科クリニック選びの際は、使用するインプラントやかぶせものの素材や品質を確認し、信頼できるメーカーの製品を使用しているかどうかを見極めましょう。
歯科医院の保証制度を確認
オールオン4の治療を受ける際は、歯科医院の保証制度を確認しましょう。万が一の際に備え、多くの医院では一定期間内の再治療を受けられる保証プランを用意しています。
ただし、保証内容は医院によって異なるため、保証期間や対象範囲、費用などを事前に把握しておく必要があります。また、定期的なメンテナンスを受けていないと保証が適用されない場合があるので注意が必要です。
まとめ
ここまでオールオン4の寿命についてお伝えしてきました。オールオン4の寿命の要点をまとめると以下のとおりです。
- オールオン4の寿命は、メンテナンスを行えば10年以上使用可能とされているが、メンテナンスを怠ると5年ほどで寿命を迎える場合もある
- オールオン4の寿命を伸ばすためには、日々の丁寧な歯磨きと定期的な歯科医院でのメンテナンス、禁煙や規則正しい生活習慣を心がける
- オールオン4の寿命を伸ばすための歯科クリニックの選び方は、治療経験が豊富で設備が整っているか、高品質な材料を使用しているか、充実した保証制度があるかを確認する
オールオン4は、正しいケアと適切な歯科クリニック選びによって、長期的に使用できる治療法です。自分に合った方法で、オールオン4で快適な生活を送りましょう。