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むし歯や歯がない状態を放置してしまった!そのリスクとまだ間に合う治療法について解説

むし歯や歯がない状態を放置してしまった!そのリスクとまだ間に合う治療法について解説

口腔に関する病気や異常は、健康に深刻な悪影響を及ぼさないと思われがちです。そのためむし歯や歯がない状態を放置してしまう人も少なくありません。確かに、痛みのないむし歯なら放置していても問題がなさそうですし、もうすでに抜けてしまった歯は、それ以上悪くなることはなさそうなものです。けれども実際は違います。ここではそんなむし歯や歯がない状態を放置するリスクと今からでも間に合う治療法について詳しく解説をします。

むし歯を放置するリスクと治療法

むし歯を放置するリスクについて教えてください。
むし歯は自然に治ることがない病気なので、放置しているとどんどん進行していきます。はじめは小さな穴しか開いておらず、痛みを感じることもありませんが、放置していくなかでむし歯が進行して、さまざまな症状を引き起こすようになるのです。最終的には歯そのものを失ったり、周りの組織により深刻な病気や症状を引き起こしたりするため、十分な注意が必要です。
むし歯の進行度ごとの症状と治療法について教えてください。
むし歯を放置していると、進行度が徐々に高くなっていきます。具体的には、次のようなプロセスを踏んで重症化していきます。進行度ごとの治療法も併せて説明します。

・初期のむし歯の症状と治療法
初期のむし歯は、大きく2つに分けられます。1つ目は「初期う蝕(しょく)」と呼ばれるもので、歯の表面に白いシミが現れます。これは歯垢や歯石とは異なるため、歯ブラシでブラッシングしても取り除けません。歯の表面には穴があいていないため、初期う蝕の段階でしっかりと対処すれば、歯を削らなくても済みます。フッ素塗布で歯の再石灰化を促し、プラークコントロールを徹底することで、むし歯の進行を止められるのです。

初期う蝕が進行すると、エナメル質のむし歯へと変わります。歯の一番外側を覆っているエナメル質に穴があいている状態です。エナメル質のむし歯を治すためには、歯を削る必要がありますが、痛みを感じることはありません。エナメル質のむし歯の治療で局所麻酔を施さないのはそのためです。歯を削った後は、コンポジットレジンを充填して、光で固めたら治療は終了します。

・象牙質のむし歯の症状と治療法
エナメル質のむし歯を放置していると、象牙質まで溶かされていきます。むし歯の穴がより深く、広くなるのです。象牙質は神経との距離が近いことから、冷たいものや甘いものがしみるようになります。むし歯の穴に食べかすなどが詰まりやすくなる点にも注意が必要です。歯が黒ずんで見えるようになるのも、象牙質までむし歯が進行してからです。

象牙質のむし歯も基本的には細菌によって侵された歯質をドリルで除去します。失った歯質の量が比較的少なければコンポジットレジン修復で対応できますが、比較的多い場合は、詰め物や被せ物を作って、装着しなければなりません。

・神経まで達したむし歯の症状と治療法
むし歯菌が象牙質を越えて、歯の神経にまで達したら、強い痛みを伴うようになります。細菌感染による歯痛なので、ジンジンとした不快な痛みが続きます。副交感神経が優位になる夜間は、その痛みがさらに強くなるため、十分な注意が必要です。

神経まで達したむし歯は、根管治療が必要となります。感染した歯髄(しずい)を抜き取って、根管内を清掃します。根管内の無菌化が達成されたら根管充填を行い、土台を作って被せ物を装着します。根管治療が上手くいかなかった場合は、抜歯が適応されます。抜歯後は、失った歯を補うための「補綴治療(ほてつちりょう)」を行わなければなりません。それは後段で説明する「歯がない状態の治療法」と同じです。

歯がない状態を放置するリスクと治療法

歯がない状態を放置するリスクと治療法

歯がない状態を放置するリスクについて教えてください。
歯がない状態を放置していると、次に挙げるような4つのリスクを伴います。

リスク1:歯並びが悪くなる
歯がない部分があると、残っている歯はそこに向かって移動したり、倒れ込んできたりします。その結果、全体の歯並びや噛み合わせが悪くなります。

リスク2:むし歯や歯周病のリスクが上がる
歯がない状態は、清掃性を悪くします。磨き残しが多くなることで細菌が繁殖し、むし歯や歯周病のリスクが上がります。

リスク3:食事がしにくくなる
歯列内に歯がない部分があると、そしゃく能率が低下します。食べ物を十分にそしゃくしないまま飲み込むと、胃腸への負担が大きくなってしまいます。

リスク4:見た目が悪い
悪い歯並び「すきっ歯」というものがあります。歯列内に1〜2ミリ程度の隙間がある歯並びですが、それをコンプレックスに感じる人は少なくないです。歯がない状態は、それとは比べ物にならないほどの審美的な障害をもたらすため、早期に改善した方が望ましいです。

歯がない状態の治療法について教えてください。
歯がない状態は、以下に挙げる3つの補綴治療によって改善できます。

・インプラント
歯がない状態を歯根から回復できる治療法です。インプラント体と呼ばれる人工歯根を顎の骨に埋め込んで、被せ物を装着します。

・ブリッジ
歯がない部分に橋を架けるような形で、装置(ブリッジ)を装着する方法です。歯がない部分の両隣の歯を大きく削り、ブリッジの支えとします。

・入れ歯
歯がない部分を着脱式の装置で補う治療法です。人工歯と床(しょう)、留め具であるクラスプから構成されています。

歯がない状態の治療法のメリット・デメリット

歯がない状態の治療法のメリット・デメリット

インプラントによる治療のメリットとデメリットを教えてください。
インプラント治療には、次に挙げるようなメリットとデメリットを伴います。

【メリット】

  • 人工歯根があるので噛みやすい
  • 顎の骨が痩せにくい
  • 見た目がきれい
  • 装置の寿命が比較的長い
  • 装置の安定性が高い
  • 健康な歯を犠牲にする必要がない

【デメリット】

  • 人工歯根を埋め込む外科手術を行わなければならない
  • 原則として自費診療となるため費用負担が大きい
  • 治療期間が4~5ヵ月程度はかかる
ブリッジによる治療のメリットとデメリットを教えてください。
ブリッジによる治療には、次に挙げるようなメリットとデメリットを伴います。

【メリット】

  • 保険が適用される
  • 治療期間が比較的短い
  • 入れ歯よりも見た目が自然
  • 入れ歯よりも噛み心地が良い
  • ケアがしやすい

【デメリット】

  • 少なくとも2本の歯を大きく削らなければならない
  • 装置の寿命はインプラントより短い
  • 顎の骨が痩せやすい
  • 清掃しにくい部分がある
  • 壊れた時の修理が困難
入れ歯による治療のメリットとデメリットを教えてください。
入れ歯治療には、次に挙げるようなメリットとデメリットを伴います。

【メリット】

  • 保険が適用される
  • 治療期間が比較的短い
  • 故障した時の修理がしやすい

【デメリット】

  • 見た目が不自然になることが多い
  • 装置が壊れやすい
  • 装置の寿命がブリッジ、インプラントより短い
  • 食事や会話の時にずれる、外れる
  • 取り外し式なので口腔と装置の両方を別々にケアしなければならない

末期のむし歯や歯がなくなることを防ぐ方法

末期のむし歯や歯がなくなることを防ぐにはどうすれば良いですか?
以下の方法を実践することで、むし歯が末期に至る前に治療を始められます。同時に、歯がなくなることも防ぐことが可能となります。
・定期検診に通う
歯科検診を定期的に受けることで、むし歯の予防や早期発見が難しくなくなります。

・歯のクリーニングを受ける
プロフェッショナルによる歯のクリーニングを定期的に受けていれば、むし歯菌の住処となる歯垢や歯石がたまりにくくなります。

・歯磨きの方法を見直す
歯科医院でのブラッシング指導を受けて、自分の歯磨きの方法を見直しましょう。自己流にブラッシングしていると、どうしても磨き残しが多くなってしまうものです。

定期検診に行く頻度はどのくらいが適当ですか?
歯科の定期検診は、3〜4ヵ月に1回の頻度で通うのが適当です。3〜4ヵ月であれば、例えばむし歯や歯周病にかかったとしても、早期発見が可能となります。

編集部まとめ

今回は、むし歯や歯がない状態を放置するリスクと治療法について解説しました。むし歯は放置することで、病気がどんどんと進行していきます。歯がない状態は、放置することで歯並びの悪化やそしゃく能の低下、審美障害などを引き起こします。

どちらも患者さん自身に深刻なデメリットをもたらすことから、早急に治療を受けた方がよいといえるでしょう。むし歯や歯がない状態の治療は、今からでも間に合うことがほとんどなので、まずは歯医者さんに相談してみてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

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