インプラント

歯を全部インプラントした時の値段はいくら?インプラントの種類や治療方法もご紹介

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歯をすべてインプラントにすると、高額になってしまうのではないかと気がかりでしょう。

高額になってしまうのは感染対策の徹底のために費用がかかっているからです。

安全のことを考えればしっかりとした対策をしてくれる歯科医院は安心です。

また手術前の医師による説明と検査、そしてアフターフォローが重要で、そこに費用の重要さが置かれているわけです。

そしてインプラントには種類や治療方法がいろいろありますので、費用と含めて本記事でご紹介していきます。

インプラントとは

インプラント

インプラントとは歯を失った場合に、なるべく天然歯に近づけるように人工歯を取り付ける治療方法です。

人工歯を取り付ける治療方法は他に入れ歯とブリッジがあります。

どちらも簡易的に人工歯を取り付けるだけですが、インプラントはボルトを顎の骨に埋め込んで固定します。

そのため、天然歯と変わらない咀嚼ができ、見た目も綺麗に整えてくれる審美性に優れているのです。

しかし、簡易的な入れ歯やブリッジと異なり、費用が高くなるという欠点があります。

インプラントは1本から埋め込み可能ですが、数によっては費用がかなり増えます。

歯をすべてインプラントにすることもできますが、導入文に記載しましたようにかなり高額になるでしょう。

では歯をすべてインプラントにする理由を次の項目でお伝えします。

歯を全部インプラントにする理由

疑問

歯をすべてインプラントにする理由は歯をすべて失ってしまった場合に日常生活で困っているときです。

歯をすべて失ってしまう原因は以下の4点です。

  • 事故で歯を失う
  • むし歯で歯を失う
  • 歯周病で歯を失う
  • 審美目的

歯は毎日食事をする度に使用するため、日常生活でかかせないものです。

歯のすべてを失ってしまった場合は、総入れ歯にするかインプラントですべて固定するかになります。

費用面と向き合いながら、日常生活や人生にどう折り合いをつけるか考える必要があるでしょう。

しかし、総入れ歯は保険適用されるため約2~3万円(税込)程度で済みます。100倍以上も金額が異なるため、選択にはいろいろな条件を見ることが大事です。

歯を失ってしまった時の年齢・資金力・経済力にもよりますが、歯を失った事情にもよりますので、次からの項目でみていきましょう。

事故で歯を失う

事故で歯を失った場合もインプラントで治療できます。また交通事故で歯を失った場合は、保険の適用が可能になるかもしれません。

ただし、この保険は交通事故による加害者側が支払う保険です。

インプラントによる保険は健康保険になりますので、たとえ事故であっても自費診療になるため高額のままです。

そのため、交通事故による保険は弁護士と相談して確認するようにしましょう。

ただし、事故で歯を失った場合に、条件付きでインプラントによる健康保険の適用ができる可能性があります

条件とは顎の骨が事故による外傷によって欠損していることです。

3分の1以上が欠損している場合で認められることがあるため、しっかり診断してもらいましょう。

むし歯で歯を失う

歯の確認

むし歯で歯を失った場合はインプラントで治療できます。しかし、むし歯が他にある段階でインプラントをすることはできない場合があります。

口腔内にむし歯があると手術中に感染する恐れがあるためです。

そのため、むし歯がある状態でインプラント手術が必要な場合は、むし歯を先に治すことが必要になるでしょう。

しかし、むし歯ですべての歯を失ってしまった場合はインプラント治療をすることができます。同じように総入れ歯にするかどうかは十分に検討しましょう。

またすべてをインプラントで治療した歯はむし歯になりませんが、歯周病になる可能性はあります

歯周病にならないために治療後も口内は清潔にたもって、日々ケアをすることが大事です。

歯周病で歯を失う

歯周病で歯を失った場合でもインプラントができないわけではありませんが、できない可能性が高いかもしれません

むし歯は歯が溶ける病気であるため、インプラントによるボルトを留める土台に影響はないでしょう。

しかし歯周病の場合は歯ではなく、歯を支える歯ぐきや顎の骨に直結する歯槽骨に影響が及ぶためです。

さらに重度の歯周病になると骨量が大きく減少してしまいます。

顎の骨の骨量が減るとインプラントによるボルトを支えることができないため、骨量を増やす治療が必要となります。

そのため、歯周病の場合はしっかりと治療しないとインプラントができないでしょう。

歯周病はむし歯よりも影響が広範囲に渡るため、日々の口腔ケアをしっかりとすることが大事です。次は審美目的についてみていきます。

歯並びを美しくするなどの審美目的

歯並び

インプラントの目的として天然歯のようにしっかりと噛むことができることの他に、審美目的のインプラントがあります。

綺麗な歯並びで、天然歯に比べて遜色なく歯を元通りにできることは非常に重要です。

入れ歯だと隣りの歯で支えるための金具が目立ってしまいます。

ブリッジでは保険適用の銀歯を使用すると見栄えが悪くなります。またセラミックは綺麗に見えますが、保険が適用されません。

そのため、本物の歯に近い形態の美しさで治療できるのがインプラントの特徴として挙げられるでしょう。

しかし、インプラントを審美目的で入れても、日々のケアを怠るとインプラント周囲炎になる恐れがあります

インプラント周囲炎はインプラントの周辺あたりに炎症が起こることですが、日々の歯磨きはしっかりとするようにしましょう。

それではインプラントに関する費用について次の章でみていきます。

歯を全部インプラントにした時の値段

電卓

歯をすべてインプラントにした時の値段は約300~400万円(税込)かかります。

もちろん、自費診療であるため、歯科医院によって値段は個々に変わります。しかし、それだけ高額になると想定しておきましょう。

またインプラントが1本の歯だけの場合でも約20~30万円(税込)かかります。

それでは1本ではなく、以下の3点の場合はどうなるかを次からの項目でみていきます。

  • 上の歯すべてをインプラントにした場合
  • 下の歯すべてをインプラントにした場合
  • すべての歯をインプラントにした場合

それから、インプラントは医療費控除の対象になります。医療費控除は10万円以上を超えた場合に所得から控除してもらうことが可能です。

そのため、確定申告の時にはしっかりと医療費控除を申告するようにしましょう。

上の歯全部をインプラントにした場合

上の歯すべてをインプラントにした場合にかかる費用は約200万円(税込)です。ただし、上の歯は下の歯よりも骨密度が低い傾向があります

上の顎の骨が不足している場合は、骨を再生させていく治療が必要となる可能性があります。

骨の再生の治療をする場合は半年ほどの治療期間がかかり、歯1本につき数万円かかるので、骨の数により金額は増えるでしょう。

それから上の歯すべてをインプラントで治療する場合は、オールオン4という手法で4本のインプラントの固定で治すことが可能です。

しかし、上の歯の骨密度が少ない場合は、固定度合いを増やす必要があります。

固定度合いを増やすためには、オールオン6による6本固定やオールオン8による8本固定が必要になるかもしれません。

それぞれ数が増えることに加え、技術や手術時間が長くなるため、数十万単位で追加費用が発生してくるでしょう。

そのため、上の歯すべてをインプラントにする場合は、歯科医師に上顎の骨についてしっかり見てもらうことが重要です。

下の歯全部をインプラントにした場合

下の歯すべてをインプラントにした場合の費用は約200万円(税込)になります。

上の歯と違って下の歯の強度は強いです。咀嚼する時に下の歯を動かして上の歯で受け止める形になるためです。

そのため、上の歯のように骨密度を増やす治療や本数を増やすオールオン6やオールオン8の治療まで必要ないでしょう。

しかし、下顎には太い重要な神経が通っています。この神経が傷つけられると、神経が麻痺し、命にかかわる危険もでてきます。

したがって、技術がある歯科医師に綿密なシミュレーションをしてもらい、事前にコミュニケーションをしっかりと取るようにしましょう。

全ての歯をインプラントにした場合

 
経過観察
 

すべての歯をインプラントにした場合は約300~400万円(税込)かかるでしょう。それも上下の歯をそれぞれオールオン4で治療した場合です。

ただし、上の歯は骨を再生する治療のための追加費用がいったり、技術が高い歯科医師にやってもらったりする必要があります。

そのため、技術がある歯科医師しかできません。自費診療でもあり、相場よりも高い値段がかかる可能性もあります。

しかし、高額な治療でも分割払いやデンタルローンを組めるかもしれませんから、かかりつけの歯科医院や金融機関で確認してみましょう。

全部の歯をインプラントしたい時の種類

歯の模型

すべての歯をインプラントにしたい場合は、以下の2つの種類があります。

  • ワンピースタイプ
  • ツーピースタイプ

それぞれ次の項目で見ていきますが、ワンピースタイプの方が費用を抑えられます。

ワンピースタイプは手術回数が1回で、ツーピースタイプは手術回数が2回になるためです。

手術を1回で行うのを1回法といい、2回で行うのを2回法といいます。

しかし、名前がワンピースとツーピースとはいえ、ツーピースでも1回法の手術が可能です。

ツーピースは2回法の方が適していますが、歯科医師の判断で個々に適した手法がとられることになるでしょう。

重要なのは安全面や機能面であるため、精密検査をもとによく診断してもらいましょう。

ワンピースタイプ

ワンピースタイプは人工歯に取り付けるためのインプラントが、1つの構造になっていることです。

特徴は手術が1回で終了することです。

1回法の治療期間が3~6カ月ぐらいですみますが、2回法の治療期間はそこからさらにかかって1~2年ぐらいまでかかる恐れがあります。

そのため、ワンピースタイプは精神的にも体力的にも負担が少ないでしょう。

しかし、ワンピースタイプは顎の骨の厚みによって、できない場合があります。

もともとツーピースタイプしかなかったところを、ワンピースタイプが開発されて簡易な手法が可能になったものです。

適用できるのであれば1回で手術が終わりますが、適用できなければツーピースタイプで手術をしてもらいましょう。

次はツーピースタイプをみていきましょう。

ツーピースタイプ

ツーピースタイプは人工歯に取り付けるためのインプラントが、2つの構造に分かれていることです。

構造としては人工歯根のインプラント体、人工歯を支えるためのアパッチメントの2つです。インプラント体とアパッチメントが連結されます。

特徴は2回に分けて固定するため1回法よりも強固に固定されることです。

また故障が起こっても、個別に修正することができ、さまざまに対応できます。

顎の骨の厚みにも関係なく、全身疾患を持っていても対応できるため、対応力が高いです。

しかし、2回の手術が必要になるため、患者さんへの負担が多くなります。治療期間も長くなり、費用も高くなるため、できれば1回法を選びたいところです。

では次の章ではインプラントの治療方法をみていきます。

インプラントの治療方法

治療

インプラントの治療方法では次の3つの方法をご説明します。

  • オールオン4
  • インプラントブリッジ
  • インプラントオーバーデンチャー

オールオン4については今まで費用面についてご説明してきましたが、次は具体的に治療方法についてご説明します。

インプラントブリッジはインプラントとブリッジの併用バージョンです。

インプラントの方法を使いながら、ブリッジの良い点を使用することで効率よく人工歯を取り付けられます。

インプラントオーバーデンチャーは、入れ歯とインプラントの良い点を採り入れた治療方法です。

従来であれば入れ歯を作るか、ブリッジで歯を削って人工歯を取り付けるしかありませんでした。

しかし、インプラントができたことによって審美性や機能性に優れた治療方法が確立されてきたといえるでしょう。

オールオン4

オールオン4は通常のインプラントであればすべての歯にインプラントを埋め込まないといけないところ、インプラント4本だけで済む治療方法です。

インプラントは費用がかなり高額になります。それをかなり安くできるようにした画期的なやり方です。

また骨の量が少なくても、骨の移植が必要でなく治療できます。

それから総入れ歯と比べると、しっかりと固定されるため天然歯のように咀嚼できます。

取り外す必要もなく、しっかりとメンテナンスをすれば10年は持つでしょう。

しかし、術後も定期的に歯科医院にメンテナンスにいかないと壊れてしまう可能性もあります。

歯科医師の高い技術も必要です。数多くある歯科医院の中から適切な治療を行える歯科医師を選ぶことも大事になってきますので、情報を精査しましょう。

次はインプラントブリッジをみていきます。

インプラントブリッジ

インプラントブリッジ

インプラントブリッジとは、インプラントで2つ固定しながら3つの人工歯を取り付ける治療方法です。

オールオン4が4つのインプラントで上の歯または下の歯すべてを固定することができることに比べ、個別に固定箇所を減らして取り付けられます

痛みが少なく、手術時間も短いです。従来のブリッジよりもしっかりと固定できる点でも優れています。

従来のブリッジでは天然歯を削って利用しながら取り付ける必要がありますが、削る必要もないです。

しかし、インプラントブリッジは天然歯がないところでしかできません。失った歯が3つ以上連続している場合などに限定されています。

したがって、条件に合う場合に歯科医師と相談してみましょう。

インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーとは、入れ歯を2~4本のインプラントで固定して取り付ける治療方法です。

大事なのはインプラントオーバーデンチャーは総入れ歯では日常的に使いづらい人が利用を考える手法です。そうでなければオールオン4の方が取り外しをすることもないので良いでしょう。

特に高齢の方で手術に負担がかかる人は、オールオン4よりも総入れ歯を選択する方が多くなります。またオールオン4に抵抗を感じる人もいるでしょう。

そのため、インプラントオーバーデンチャーを利用したい人は歯科医師と相談して判断しましょう。

しかし、清掃の時は入れ歯を外す必要があります。自分で取り外しができますが、少し面倒くさく感じる人もいるかもしれません。

口内環境は綺麗にしないとしっくり来ないようになる恐れがありますので、丁寧にケアをしていきましょう。

まとめ

まとめ

本記事では歯をすべてインプラントにした時の値段についてお伝えしました。また、インプラントの種類や治療方法についてもご紹介しました。

歯をすべてインプラントにする理由は事故で歯を失う場合・むし歯で失う場合・歯周病で失う場合・審美目的の4つです。

インプラントの場合は保険がききませんが、例外的に事故の場合は条件が整えば降りる可能性があるので、その点は重要でしょう。

歯をインプラントにする場合は上顎だけ、下顎だけ、そしてすべてに分かれます。費用もそれぞれですが、上顎は骨密度が低いことが注意点です。

またインプラントにはワンピースタイプとツーピースタイプがあり、患者さん負担の軽減を条件と折り合いながら見ていく必要があります。

そして、治療方法はオールオン4・インプラントブリッジ・インプラントオーバーデンチャーと分かれています。

ご自身の合う治療方法を歯科医師と相談して決めていきましょう。

本記事を読むことでインプラントを利用するための理解が深まると幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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