インプラント

奥歯のインプラントにデメリットはある?デメリットの理由を解説します

インプラントデメリット奥歯

噛む力の衰えやむし歯等の影響から、奥歯をインプラントにしたいという方は多いのではないでしょうか。ですが、決して安くはないインプラント治療において、どのようなデメリットがあるのか、気になりますよね。
本記事では奥歯のインプラントのデメリットについて、以下の点を中心にご紹介します。

  • 奥歯とインプラント
  • 奥歯をインプラントにするデメリット
  • 奥歯をインプラントにするメリット

奥歯のインプラントのデメリットについて理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

奥歯とインプラントについて

奥歯とインプラントについて

奥歯の役割や奥歯のインプラントについて、以下に解説します。

奥歯の役割

奥歯の役割は、主に食べ物を細かく噛み砕くことです。 奥歯は、前歯や犬歯と比べて噛む面が広く、凹凸が多い形をしています。これは、食べ物を効率的にすりつぶすための構造です。奥歯で食べ物を細かく噛むことで、唾液とよく混ざり合い、消化酵素の働きを助けます。また、食べ物を小さくすることで、食道や胃に入りやすくなり、胃や腸の負担を減らします。 さらに、奥歯で噛むことは、顎の骨や筋肉を刺激し、血流の促進にもつながります。奥歯は、お口の健康だけでなく、全身の健康にも影響を与える重要な役割を果たしているのです。

奥歯のインプラント治療

奥歯を失った場合に、インプラント治療という選択肢があります。 インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨に、人工の歯根を埋め込むことで、自然な見た目と噛み心地を取り戻すための治療法です。奥歯の場合、噛む力が強いため、インプラントの材質や形状、数などには、特に注意が必要です。 奥歯のインプラント治療では、通常、1本の歯に対して1本のインプラントを埋め込みますが、場合によっては、2本の歯に対して1本のインプラントを埋め込むこともあります。また、奥歯のインプラント治療では、顎の骨の量や質が十分でない場合には、骨移植や骨造成という手術を行うこともあります。これらの手術は、インプラントをしっかりと固定するための土台作りを目的としています。

奥歯のインプラント治療は難しい?

奥歯のインプラント治療は難しい?

「奥歯のインプラント治療は難しい」と感じ、デメリットと思われている方もいるのではないでしょうか。しかし、奥歯のインプラント治療は本当に難しいのでしょうか?
奥歯のインプラント治療が難しいとされる理由としては、主に以下の5つが考えられます。

  • 奥歯は開口量が小さく、スペースが不足する:奥歯周辺は、開口量の問題で、インプラント埋入のための手術器具が入るスペースが足りない場合があります。特に、最も奥にある第二大臼歯は、患者さんの開口量によっては、物理的に治療が行えない場合もあります。
  • 上の奥歯は、上顎洞との距離が短い:インプラントを埋入する際に、上顎洞(上顎の奥歯のすぐ上)までの骨の高さが不足している場合があります。骨の高さが不足したままインプラントを埋入してしまうと、上顎洞にインプラントが貫通する恐れがあり、インプラントがしっかりと固定できません。この場合、ソケットリフトやサイナスリフトと呼ばれる術式で「骨造成」を行い、インプラントを埋入するのに十分な骨の高さを作る必要がありますが、高度な外科処置を伴うため、「治療が難しい」といわれている可能性があります。
  • 下歯槽神経に干渉しないように注意が必要:下顎の第二小臼歯〜第二大臼歯にインプラントを埋入する際は、特に注意が必要です。「下歯槽神経」との位置関係を常に把握して、治療を行う必要があります。下歯槽神経は、下顎を通っている神経で、第二小臼歯〜第二大臼歯の歯根のすぐそばを通過しています。インプラント埋入の際に下歯槽神経を傷つけてしまうと、下唇やオトガイ部の感覚が鈍くなる可能性があります。

しかし、インプラント治療は、奥歯だから難しいという訳では無いようです。 前歯・奥歯に関わらず、インプラント治療の難易度は主に「顎の骨の状態」によるからです。たとえば、骨量の多い奥歯と、骨量の少ない前歯で比較した場合、前歯のほうが治療が難しいとされています。
インターネット上にはさまざまな情報が存在しますが、全て正しいとは限りません。 インプラント治療に疑問や不安がある方は、直接歯科医師に相談しましょう。

奥歯のインプラントと、入れ歯やブリッジとの違い

奥歯のインプラントと、入れ歯やブリッジとの違い

奥歯のインプラントのデメリットについて考えるなかで、入れ歯やブリッジではどうなのかと、悩む方もいるのではないでしょうか。

奥歯のインプラントと、入れ歯やブリッジとの違いは、主に、歯の根っこの部分を再現するかどうかという点です。
入れ歯やブリッジは、歯の表面だけを補う方法で、歯の根っこは再現しません。

入れ歯はインプラントよりも費用が抑えられ、手術は不要ですが、装着感や安定感は良くないとの声もあります。噛む力は弱めで、歯磨き以外の日々の手入れが必要です。 ブリッジは審美性があり、噛む力は強くなりますが、隣の歯を削る必要があり、むし歯になるリスクが高まるとされています。

一方、インプラントは、歯の根っこまで再現する方法で、顎の骨に固定します。そのため、噛む力が強まり、隣の歯に負担をかけず、顎の骨が保てるというメリットがあります。
しかし、インプラントには、保険が適用されないことや、費用がかかること、手術に伴うリスクや合併症の可能性など、注意点もあります。

奥歯のインプラント治療を受けるかどうかは、歯科医師と相談しながら、自身の状態や希望に合わせて決めることが大切です。

奥歯をインプラントにするデメリット

奥歯をインプラントにするデメリット

ここでは、奥歯をインプラントにすることによって考えられるデメリットを紹介します。

手術の追加で、費用や治療期間が増える場合がある

インプラント治療を受けるには、インプラントを埋め込むための十分な顎の骨が必要です。特に、奥歯は力がかかりやすいため、顎の骨が不足しているとインプラント治療が困難になります。
しかし、歯を失ってから長い時間が経過していたり、加齢などの影響で、顎の骨が減少している場合があります。そのような場合は、インプラント治療の前に、「骨造成」という手術を受ける必要があります。骨造成とは、顎の骨を増やすための手術で、人工骨や自身の骨などを移植する方法があります。

上顎の奥歯の場合、インプラントを埋め込むための十分な骨の厚みがないことがあります。そのような場合は、「サイナスリフト」という手術を受ける必要があります。
サイナスリフトとは、副鼻腔の底を持ち上げて、その下に人工骨を入れることで、骨の厚みを増やす手術です。

下顎の奥歯のインプラント治療は、上顎の奥歯のインプラント治療よりも比較的容易といわれています。しかし、下顎の奥歯の部分には、「下歯槽神経」という重要な神経が走っています。この神経は、下顎や舌、唇などの感覚を司る神経で、インプラント治療の際には、下歯槽神経に触れないよう注意しなければなりません。そのため、下顎の奥歯の部分に十分な骨の高さがない場合は、インプラントを埋め込めない場合があります。
そのような場合は、「GBR法」という手術を受ける必要があります。GBR法とは、骨の高さを増やすために、人工骨や自身の骨などを移植し、膜で覆うことで、骨の成長を促す手術です。

骨造成やサイナスリフト、GBR法はインプラント治療とは別の手術となるため、費用や治療期間、リスクが増えるのはデメリットかも知れません。

治療費は全額自費負担

インプラント治療は、基本的に保険が適用されない自由診療です。そのため、治療費は全額自己負担となります。
奥歯のインプラント治療にかかる費用の相場は、1本あたり約30〜50万円です。インプラントの本数や種類、歯科医院によっても異なりますが、いずれにせよ費用は高額になる傾向にあります。ローンを組む方法もありますが、その場合は金利も考慮しなければなりません。インプラント治療を受けるには、十分な費用の準備が必要です。

インプラント周囲炎の可能性

インプラント治療を受けた後も、「インプラント周囲炎」という病気に注意しなければなりません。
インプラント周囲炎とは、インプラントと歯茎の間に歯周病菌が侵入し、炎症を起こす病気です。インプラント周囲炎が進行すると、インプラントが緩んだり、抜け落ちたりする恐れがあります。また、他の健康な歯にも影響を与える可能性があります。
インプラント周囲炎を予防するには、毎日のブラッシングやフロスなどのセルフケアが欠かせません。特に奥歯は磨きにくい箇所であるため、注意が必要です。
また、定期的に歯科医院でのメンテナンスも受ける必要があります。

インプラント治療ができないケース

インプラント治療ができないケース

ここでは、インプラント治療ができないケースについて解説します。

子どもや妊婦

子どもや妊婦の場合、インプラント治療ができないか、できても制限がある場合があります。

インプラント治療には、顎の骨の成長が完了していることが必要です。子どもの場合は、顎の骨がまだ成長しているため、インプラントを埋め込めません。インプラントは成長しないので、顎の骨とのバランスが崩れる可能性があります。そのため、インプラント治療は、16~20歳以上の、顎の成長が止まった方に対して行われます。
歯科医師の診察を受け、インプラント治療の可否やタイミングを見極める必要があります。

妊婦の場合は、インプラント治療に伴う放射線や麻酔などが、胎児に影響を与える可能性があります。そのため、インプラント治療は、妊娠中は避けることが推奨されます。インプラント治療は、歯科医師と相談のうえ、適切なタイミングを見極める必要があります。

歯周病など口内に問題がある

インプラント治療は、口内に問題がないことが前提となる治療法です。口内に問題がある場合は、インプラント治療ができないか、できても成功率が低くなる場合があります。口内に問題があるとは、歯周病やむし歯などの感染症や、顎関節症や咬み合わせの異常などの機能障害のことです。これらの問題は、インプラントの周りに炎症を起こしたり、インプラントの負担を増やしたりすることで、インプラントの脱落や破損の原因となります。そのため、インプラント治療を受ける前には、口内の問題を治療して、清潔で健康な状態にする必要があります。また、インプラント治療を受けた後も、定期的なメンテナンスやセルフケアを行って、口内の問題を予防する必要があります。

全身疾患や持病がある

全身疾患や持病がある場合は、インプラント治療が受けられないことがあります。 糖尿病の患者さんは、免疫力が低下しているため、インプラント治療後に感染症が発生するリスクが高まります。
また、血液をさらさらにする薬を服用している場合、インプラント治療の際の出血が止まりにくくなる可能性があります。
治療前にはレントゲン検査やCT検査を行い、治療が可能かどうかを判断する必要があります。また、患者さん自身も、医師に自身の状態を正確に伝え、治療に必要な条件を満たしているかどうかを確認することが大切です。

奥歯をインプラントにするメリット

奥歯をインプラントにするメリット

奥歯をインプラントにすることによるメリットは、硬いものを噛め、消化しやすくなることです。
歯を失って噛む力が低下すると、硬い食べ物を食べられなくなる方もおられます。 しかし、奥歯をインプラントにすることで、食事の偏りが解消され、栄養バランスが改善できる可能性があります。
繊維質で硬い野菜を避けるようになると、食物繊維が不足して便秘の原因になります。お肉の場合、タンパク質やビタミンが不足する可能性があります。
また、歯を失うことで食べ物を細かく噛み砕いて飲み込むことが難しくなり、胃腸に負担がかかります。
奥歯をインプラントにすることによって、噛むことへの不安の低下につながります。食べ物を細かく噛み砕いて飲み込めるようになると、消化しやすくなり、腸の負担軽減にもつながります。
特に奥歯は歯列全体の噛み合わせへの影響が大きいため、インプラントにするメリットがあるといえるでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで奥歯のインプラントのデメリットについてお伝えしてきました。
奥歯のインプラントのデメリットの要点をまとめると以下の通りです。

  • 奥歯のインプラント治療では、1本の歯に対して1本のインプラントを埋め込むが、場合によっては、2本の歯に対して1本のインプラントを埋め込むこともある。また、奥歯のインプラント治療では、顎の骨の量や質が十分でない場合には、骨移植や骨造成という手術を行うこともある
  • 奥歯のインプラントデメリットとして、追加の手術が必要になることで費用や治療期間が増える可能性や、費用が全額負担である等が挙げられる
  • 奥歯をインプラントにすることで、噛み合わせが良くなり、硬いものが噛めるようになる

これらの情報が皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

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