インプラントは、何らかの理由で失った歯を歯根から回復できる治療法です。通常は1本の歯の欠損に対して1本のインプラントを入れるのですが、インプラントを2本入れる治療もあります。
この記事ではインプラントを2本入れる治療の特徴や費用、メリットとデメリットについて解説します。一般的なインプラント治療とは異なる方法を検討している方は参考にしてみてください。
インプラントを2本入れる治療
インプラントを2本入れる治療の概要や適応症について解説します。
- インプラントを2本連続に入れるとはどのような治療ですか?
- インプラントを2本入れる治療というのは複雑なものではありません。人工歯根であるインプラント体を2本連続で埋入し、通常のアバットメントと上部構造を装着する治療法でしかないためです。
- 2本連続に入れる治療が適している歯を教えてください
- インプラントを2本並べた状態で埋入する治療は、天然歯を連続して2本失っている場合に適しています。前歯であれば左右の中切歯2本、奥歯であれば第二小臼歯と第一大臼歯を失っているケースに2本連続のインプラント治療が適応できます。
基本的に2本連続で歯を失っている部位はどこでも適応が可能で、天然歯が周りにある必要もありません。天然歯の数が少ない口内環境でインプラントを2本だけ入れる治療を行うケースは稀ですが、自由度に関しては高くなります。
インプラントを単体で入れるよりも安定性が増し、より定着しやすくなります。
インプラントを2本入れる治療費用
インプラントを2本連続で入れる治療の費用について解説します。
- インプラント2本の治療費の相場を教えてください
- インプラントを2本入れる場合の治療費は、通常のインプラント治療にかかる費用の約2倍となります。インプラントを2本連続で入れる場合でも、インプラント体、アバットメント、上部構造の費用は2本分が必要になります。インプラント1本あたりの相場は、30〜50万円程度の費用がかかります。
インプラント治療費では、カウンセリング、精密検査、診断、手術費用などもかかることから、これらを1回で済ませることができるため、インプラント2本連続で入れる治療は、費用を少しだけ抑えられるメリットがあります。
インプラント治療を1本ずつ異なるタイミングで受ける場合は、インプラント2本連続で入れた場合よりも数万円、手術でさまざまな処置を併用するケースでは、さらに費用の違いが見られるかもしれません。
- ブリッジや入れ歯との費用の違いを教えてください
- 保険適用の有無によって、費用の違いは大きくなります。保険適用のブリッジや入れ歯で2本の歯の欠損を補う場合は、3割負担で5千〜2万円程度となっています。
自費診療では、さまざまな素材や製作法を選択できることから、ブリッジや入れ歯の費用もさまざまです。オールセラミックやゴールドを使用したブリッジであれば、15〜60万円程度の費用がかかります。
同じ自費診療のブリッジや入れ歯でも、素材が安価なものは、1万円未満で作ることも十分可能です。こうしたことからインプラント2本入れる治療とブリッジや入れ歯は、保険適用の有無で費用を比較した方がわかりやすいかと思います。
- インプラントの費用を抑える方法はありますか?
- インプラントの費用を抑える方法としては、以下の3つがあげられます。
◎費用の安い歯科医院を選ぶ
インプラント治療は、原則として自費となることから、歯科医院によって料金設定が異なります。費用の違いは歯科医院の立地や設備、歯科医師の経験に応じて変わるため、安ければよいとは限りません。
注意が必要なのは、格安インプラントと呼ばれるもので、全国的な費用相場を大きく逸脱するような料金設定は、粗悪な材料を使っていたり、検査を省いていたりする可能性も否定できないことから、歯科医院選びは慎重に行う必要があります。
◎医療費控除を利用する
インプラント治療は、医療費控除の対象となる場合があります。確定申告の際に申請することで還付が受けられます。1年間にかかった医療費の総額が高い場合は、還付金が数十万円になることもあります。
インプラントを2本入れる治療のメリット
インプラントを2本連続で入れる方法にどのようなメリットがあるのか解説します。
- インプラントを2本入れる治療のメリットは何ですか?
- インプラントを2本連続で入れる方法では、外科手術を1回で済ませることができます。外科手術には、術後の痛みや腫れ、細菌感染のリスクなどを伴いますが、それを1回に減らせることは患者さんにとって大きなメリットです。
外科処置が1回で済むと手術にかかる費用が減り、治癒にかかる期間も短縮します。インプラントを2本連続で入れることで、単独で入れた場合よりも安定性が増すというメリットも得られます。2本の上部構造を同様の色調、質感で統一すれば、審美性の向上にもつながるでしょう。
- ブリッジや入れ歯とどのような違いがありますか?
- インプラントには、人工歯根があることから、審美性や機能性、耐久性の高い補綴装置を設置できます。天然歯のような噛み心地が手に入り、顎の骨も痩せにくくなります。
欠損部の骨に噛んだときの力が加わらないブリッジや入れ歯との決定的な違いです。また、インプラントは天然歯とほぼ同じ構造をとっているため、ブリッジや入れ歯よりも見た目が自然で美しいです。
インプラントを2本入れる治療のデメリット
インプラントを2本入れる治療ではたくさんのメリットが得られますが、いくつかデメリットを伴うことも知っておかなければなりません。
- インプラントを2本入れる治療のデメリットを教えてください
- インプラントを2本入れる治療には、次のようなデメリットがあげられます。
◎費用が高い
保険適用のブリッジや入れ歯は5千〜2万円程度で作れますが、インプラント2本入れる場合は、単純計算で60〜100万円程度の費用がかかります。
◎治療期間が長い
インプラント治療は早くて3〜4ヵ月、平均的には半年以上の期間が必要です。1~2ヵ月で治療が終わるブリッジや入れ歯よりも治療期間が長いです。
◎歯科医師の技術で結果が大きく変わる
インプラントを2本入れる治療には、歯科医師の知識や技術、経験が求められます。経験の少ない歯科医師が担当すると、満足な治療結果にならない可能性もあります。
- インプラントを2本入れる治療を避けた方がいいのはどのような人ですか?
- 顎の骨がボロボロになっている人、重度の糖尿病や高血圧症などを患っている人、喫煙をやめられない人は、インプラントを2本入れる治療を避けた方が賢明です。それ以外の人でも治療後のセルフケアや歯科医院でのメンテナンスを適切に行えない人もインプラントを2本入れる治療は避けた方がよいでしょう。
編集部まとめ
今回は、インプラントを2本入れる治療の特徴や費用、メリット・デメリットについて解説しました。歯を2本連続で失った症例に適応できる方法で、文字通り2本のインプラント体を埋め込んでアバットメントと上部構造を装着します。治療にかかる費用は、インプラントを2本入れた場合と大差はありませんが、手術を1回で済ませることで、費用の抑制にはつながることでしょう。ただし、インプラントを2本連続で入れるためには、歯科医師に高い知識や技術が求められることから、歯科医院選びは慎重に行う必要があります。
参考文献