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インプラントの骨造成の種類は?骨造成のメリット・デメリットと手術の流れを解説!

インプラントの骨造成の種類は?骨造成のメリット・デメリットと手術の流れを解説!

顎の骨が足りず骨造成を検討している方もいると思います。
しかしどのような種類を選んでいいかわからないそんな方に本記事では、インプラントの骨造成の種類を以下の点を中心に解説します!

  • インプラントの骨造成とは
  • インプラントの骨造成の種類
  • インプラントの骨造成のメリット

インプラントの骨造成の種類について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

インプラントの骨造成とは

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インプラント手術では、顎の骨にインプラント体を埋め込むため、十分な骨の高さや厚みが必要です。そのため、歯周病や加齢などの理由で顎の骨が不足している場合、そのまま手術を行うとインプラント体が骨から突き抜けたり、歯肉から露出したりなどの問題が発生する可能性があります。

このようなリスクを回避するために行われるのが骨造成です。骨造成では、人工骨や患者さん自身の骨を移植し、顎の骨を補強・増強します。これにより、インプラント治療を行うための土台が整えられます。

骨造成を行うことで、術中および術後のトラブルを未然に防ぎ、インプラント手術の成功率を高めることが期待できます。

骨造成が必要になるケース

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骨造成はどのような場合に必要になるのでしょうか?以下で詳しくみていきましょう。

顎の骨が不足している場合

インプラント治療には、歯の根っこの役割を果たすネジを顎の骨に埋め込むため、骨に十分な高さ、厚み、硬さが求められます。理想的には、ネジを埋め込むために必要な骨の高さは10mm以上、幅は6〜8mm以上とされています。

顎の骨が不足している場合には、骨造成手術が必要になります。 ただし、すべての患者さんが骨造成を必要とするわけではなく、医師が顎の骨の厚みが足りないと判断した場合にのみ行われます。

組織を傷つけるリスクがある場合

インプラント治療において、顎の骨の量が十分でない場合、血管や神経などの重要な組織を傷つけるリスクが高まります。なかでも注意が必要なのは、上顎にある空洞(上顎洞)や、下顎を通る血管・神経の管(下顎管)です。これらの組織を傷つけると、大量出血やしびれ、炎症などの後遺症が発生する可能性があります。

上顎洞は、上顎の骨内部にある空洞で、上顎洞に近すぎる位置にインプラントを埋め込むと、上顎洞の膜を破ってしまうリスクがあります。また、下顎管は下顎の内部を通る血管と神経の通り道であり、下顎管を傷つけると、下顎や唇、顎先にしびれや痛みが生じることがあります。

骨の量が十分でない場合、重要な組織との距離が近くなり、手術中に傷つけるリスクが高まります。このため、インプラント手術の前にはCT撮影を行い、上顎洞や下顎管との距離を測定します。もし距離が近く、リスクが高いと判断された場合は、骨造成手術を行い、顎の骨の量を増やしてからインプラント手術を進めることが推奨されます。

骨造成手術により、顎の骨の厚みや高さを増やすことで、インプラントを埋め込むための十分なスペースが確保されます。これにより、血管や神経などの組織を傷つけるリスクが減らせるでしょう。

見た目の仕上がりが悪くなる場合

骨の量が不十分な状態でインプラント治療を行うと、見た目の仕上がりが悪くなる可能性があります。なかでも、インプラント部分の骨の量が隣接する歯の骨の量と比較して少ない場合、歯茎の位置が周囲より低くなることが多いようです。この結果、インプラントを支える骨の高さが不足し、見た目に影響を及ぼします。

見た目の仕上がりが悪くなることが予測できる場合、周囲の歯との調和を図るために、骨造成手術を行って顎の骨の量を増やすことがあります。これによりインプラント部分の骨の高さを増やし、歯茎の位置を適正に保ち、自然な見た目の実現を助けます。

インプラントの骨造成の種類

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骨造成をするにあたってどのような方法を選べばいいのでしょうか?
以下で詳しく解説します。

GBR法(骨誘導再生法)

GBR法(骨誘導再生法)は、患者さん自身の骨(自家骨)や補填材を移植し、インプラント治療に必要な骨の量を確保します。骨自体を再生させるため、治療には時間がかかりますが、将来的な安定性が高いというメリットがあります。

ただし自家骨を使用する場合、骨の採取手術も併せて行う必要があり、患者さんにとっての負担が大きくなることがあります。

ソケットリフト

ソケットリフトは、上顎の骨の厚みが足りない場合に行われる手術で、骨の高さが6ミリメートル以上あるケースで適用されます。

メリットは、インプラントの埋入部分に対して上方に穴を開けるため、傷口が小さくて済むことです。これにより、術後の回復も早く、患者さんの負担を軽減できるとされています。また、インプラントの埋入と同時に行うことで、治療の回数を減らし、治療期間の短縮が期待できます。

サイナスリフト

サイナスリフトは、上顎の骨の厚みが一定以下で重度に不足している場合に行われる骨造成で、骨の高さが5ミリメートル以下の場合に用いられます。この手術は、造成する範囲が広く、歯茎を切開して行うため、治療期間が長いのが特徴です。

ソケットリフトとは異なり、骨の形成が完了してから別途インプラント治療を行うため、患者さんの負担も大きくなります。

サイナスリフトは、骨の形成が完了するまでには時間がかかりますが、手術を経ることで、インプラント治療の成功率が向上し、患者さんにとってよりよい結果を得ることにつながるでしょう。

スプリットクレスト

スプリットクレストは、顎の骨の幅が薄い患者さんに対して行う骨造成です。

この方法では、歯科用のミノを使用して顎の骨の幅を広げ、その中にインプラント体と人工骨や自家骨などの骨補填材を注入して固定します。 骨の高さを調整するタイプの骨造成法とは異なり、スプリットクレストは体への侵襲が少ない治療法だといいます。

スプリットクレストのメリットは、骨の幅が薄いためインプラント治療が難しかった患者さんでもインプラントができるようになる点です。また、ほかの骨造成に比べて手術の侵襲レベルが低いことも挙げられます。さらに術後の回復も早く、患者さんの負担が軽減されるといいます。

一方で、スプリットクレストにはいくつかのデメリットも存在します。

例えば、歯周病を患っている場合や、歯の喪失が進行している場合には、インプラントの埋入に高度な技術が求められます。そのため、手術を巡るトラブルを避けるためには、経験豊富な歯科医院で治療を受けることが重要です。

スプリットクレスト法は日本語で歯槽堤分割術とも呼ばれ、歯槽骨を分割して広げることでインプラントを設置するスペースを確保します。この方法により、骨の幅が不足している場合でも、インプラント治療ができるようになります。

骨造成手術の流れ(BR法)

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骨造成手術はどのような流れで行うのでしょうか?
以下で詳しく解説します。

自家骨の採取

自家骨の採取は、骨の量が豊富な下顎の先端部分や下顎の奥歯の外側から行われることが多いようです。この部位から採取した骨は、その後、骨造成のために使用されます。

採取された自家骨は、インプラント部位に隙間なく充填するために細かく砕かれます。これにより、骨の再生がスムーズに進むようになり、移植部位での骨結合が促進されます。細かく砕いた自家骨は、骨補填材として使用され、欠損部分や骨の薄い部分に充填されます。

自家骨の採取には、骨を採取するための追加の手術が必要となるため、患者さんにとっての負担が増えます。しかし、自家骨を使用することで、移植後の骨再生がより自然で安定するといったメリットがあります。

インプラントの埋入

インプラントの埋入は、歯肉の一部を切開することから始まります。次に、顎の骨に専用のドリルで穴を開け、インプラントを埋め込みます。このインプラントは、人工歯根として機能し、最終的には上部に人工の歯冠が装着されます。インプラントが埋め込まれると、骨との結合を促進するために約数ヵ月の治癒期間が設けられます。

自家骨や骨補填材を充填する

次に、骨が不足している部分に、事前に採取した自家骨または骨補填材を充填します。充填が完了したら、骨がしっかりと再生されるように、メンブレンと呼ばれる人工の膜で覆います。この膜は、歯茎が再生中の骨に侵入するのを防ぎ、骨の形成を助けます。

骨が再生し治癒するのを待つ

骨の充填とメンブレンを取り付けた後は、歯肉をもとに縫い合わせて骨の再生を待ちます。この期間中、骨が再生するまでの時間には個人差があり、術部に傷をつけたり刺激を与えたりしないよう注意が必要です。

骨を充填し、メンブレンで覆った後、歯茎を縫合して元の状態に戻します。骨造成の術後、骨の再生には約6〜10ヵ月の期間がかかります。この期間を空けることで、骨が再生され、インプラントと骨がしっかりと結合されます。

上部構造を設置する

骨の再生が完了し、インプラントがしっかりと固定されたら、上部構造を装着します。人工の歯は、周囲の歯とのバランスを見ながら、自然な見た目になるように色味や形を調整して作成されます。希望の色味や形がある場合は、事前にドクターに伝えることでスムーズに治療が進むでしょう。

上部構造を装着した後は、微調整を行い、違和感がないか確認します。この段階で問題がなければ、治療は完了です。

治療後は、日常の歯みがきなどのセルフケアと、歯科医院での定期的なメンテナンスを続けることが重要です。

インプラントの骨造成3つのメリット

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ここでは、インプラントの骨造成のメリットを3つ紹介します!

骨の量を確保できる

インプラント治療を行う際には、人工歯根をしっかりと支えるために、顎の骨に十分な高さや厚みが必要です。骨が足りない状態でインプラント治療を行うと、手術中に人工歯根が骨を突き抜けたり、術後に歯茎から露出したり、抜け落ちることもあります。

このようなリスクを回避するためには、インプラント治療の前に骨造成手術を行い、必要な骨の量を確保することが重要です。骨造成により、足りなかった骨の量を補い、インプラントを埋入するための強固な基盤を作れます。

長期的に安定する

骨造成で顎の骨の量を増やし十分な骨の量を確保できれば、人工歯根をしっかりと支え、長期的に安定させる効果が期待できます。さらに、定期的なメンテナンスを続けることで、インプラント周囲の健康を維持できるとされています。

見た目が美しくなる

顎の骨と歯茎は密接に関係しているため、骨量が少ないと歯茎が下がり、歯とのバランスが悪くなり、審美性に劣ることがあります。そのため、骨造成で顎の骨の量を増やすことで、歯茎の健康状態が改善され、歯とのバランスも整い口元の見た目が美しくなります。

骨造成には、インプラント治療を受けられるようにするだけでなく、口元の審美性を向上させる効果も期待できます。例えば、歯周病や抜歯によって歯茎が下がってしまった方も、骨造成によって美しい見た目を取り戻せるでしょう。

インプラントの骨造成3つのデメリット

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上記では、インプラントの骨造成のメリットについてお伝えしましたが、デメリットも存在します。

治療の長期化

通常のインプラント治療でも、完了までに約6ヵ月〜1年の時間がかかりますが、骨造成を行う場合はさらに時間がかかります。具体的には、手術後の治癒期間を含めると、骨の再生には約6ヵ月から1年近くかかることがあります。

このため、インプラント治療と骨造成の両方を受ける場合、全体の治療期間は約1〜2年に延びることが多いようです。急いで治療を終えたい方や、治療に充てられる期間が限られている方にとっては、骨造成手術は現実的な選択肢とは言えないかもしれません。

また、治療期間が長くなることは、患者さんにとっての時間的な負担が増えるだけでなく、治療計画や生活スケジュールの調整が必要になる点も考慮しなければなりません。

したがって、インプラント治療を検討する際には、治療期間が長くなる可能性を理解し、計画的に進めることが重要です。

骨造成が適さない場合がある

骨造成は体への負担が大きく、糖尿病などの全身疾患を持つ方には適さないことが多いとされています。また、喫煙習慣がある方は全身の血流が悪くなり、手術後の傷口の治りが遅くなるリスクがあります。そのため、喫煙者も骨造成には向かないとされています。

骨造成が行えない場合は、インプラントではなく、入れ歯やブリッジなどほかの治療法の検討が推奨されます。

痛みや腫れが出る場合がある

骨造成手術中は麻酔の効果で痛みを感じることは少ないですが、手術後には患部が腫れて痛みが生じることがあります。

手術後1週間程度は痛みを感じる可能性が高く、鎮痛剤や抗生剤を服用する必要があります。痛みや腫れは通常の術後反応ですが、あまりに痛みが強い場合や痛みが長引く場合は、早めに歯科医院へ相談してください。適切な処置を受けることで、痛みや腫れを軽減し、治癒を促進できるでしょう。

まとめ

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ここまでインプラントの骨造成の種類についてお伝えしてきました。
インプラントの骨造成の種類の要点をまとめると以下のとおりです。

  • インプラントの骨造成とは顎の骨が不足している際に、骨を増やす手術のこと
  • 骨造成の主な方法には、GBR法(骨誘導再生法)・ソケットリフト・サイナスリフト・スプリットクレストが挙げられる
  • 骨造成で顎の骨の量を増やし十分な骨の量を確保することで、人工歯根をしっかりと支え、長期的に安定させる効果が期待できる

少しでもインプラントの骨造成をするにあたってどの方法を選ぶべきか悩んでいる方のお役に立てたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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