インプラント

インプラントは抜けないの?インプラントが抜けた場合の対処法・注意点について解説

インプラントは抜けないの?インプラントが抜けた場合の対処法・注意点について解説

インプラントは「第二の永久歯」ともいわれているほど、しっかりと顎の骨に固定される治療法ですが、稀に何らかの原因で抜けてしまうことがあります。

本記事ではインプラントは抜けないのかということについて以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラントが抜けてしまう原因とは?
  • インプラントが抜けた場合の対処法と注意点
  • インプラントを長持ちさせるためには?

インプラントは抜けないのかということについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

インプラントは抜けないのか

インプラントは抜けないのか

インプラントが抜けてしまうことはありますか?
インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に上部構造を取り付ける治療法で、見た目が自然で咬合力が高い治療法です。さらに、適切なケアを継続することで10年以上使用でき、治療完了から10年経過しても9割近い方が問題なく使い続けています。しかし、インプラントもトラブルが起これば抜けてしまう可能性があります。セルフケア不足や定期的なメンテナンスを怠ると、数年以内にインプラントが脱落することもあり、場合によっては再治療が困難になるケースもあります。万が一、インプラントが抜けてしまった場合には、焦らずに状況を確認し、適切な対処を行うことが大切です。
インプラントが抜けてしまう原因を教えてください
インプラントはさまざまな理由で抜けてしまうケースがあります。ここでは、インプラントが脱落する主な原因について解説します。
  1. インプラント周囲炎
    インプラント周囲炎は、インプラントの周囲組織に炎症が起こる病気で、インプラントにとって歯周病に相当するものです。炎症が進行すると顎の骨が溶け、インプラントが支えを失って抜け落ちてしまいます。
  2. 歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)
    歯ぎしりや食いしばりなどの口腔習癖も、インプラント脱落の原因となることがあります。強い力が継続的にインプラントに加わると、上部構造やアバットメントに負荷がかかり、インプラント体の脱落や破損につながる恐れがあります。
  3. 噛み合わせの不具合
    インプラントは自然な歯並びや噛み合わせに合わせて設計されますが、治療後に噛み合わせが適切でない場合、特定の歯に過度な力が加わります。結果、インプラントに負担が集中し、抜け落ちる可能性があります。
  4. 喫煙
    喫煙はインプラントの成功率を低下させる要因の一つです。タバコに含まれる有害物質が歯茎の血流を妨げ、組織の回復を遅らせるため、インプラント周囲炎や骨の吸収を引き起こしやすくなります。
  5. 治療時の技術的な問題
    インプラント治療は高度な技術を必要とします。経験や知識が不足している歯科医師が埋入手術を行った場合、インプラント体が不安定になり、抜け落ちるリスクが高まることがあります。
インプラントはどのような方が抜けやすいですか?
インプラントは、体質や生活習慣、口腔環境によっては、インプラントが抜けやすくなる場合があります。インプラントが抜けやすい傾向がある方の特徴は以下のとおりです。
  • インプラント周囲炎の方
  • 歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)の癖がある方
  • 噛み合わせに問題がある方
  • 喫煙習慣がある方
  • 糖尿病や骨粗しょう症などの全身疾患がある方
  • セルフケアやメンテナンスを怠っている方

インプラントが抜けた場合の対処法・注意点

インプラントが抜けた場合の対処法・注意点

上部構造が外れた場合の対処法を教えてください
インプラントの上部構造が外れることは決して珍しいトラブルではありません。歯ぎしりや食いしばりの癖、内部のネジの緩み、接着剤(セメント)の劣化などが原因で、上部構造が外れてしまうことがあります。上部構造が外れても、インプラント体やアバットメントが正常な位置に残っている場合、スムーズに再装着できる可能性が高いとされています。しかし、誤った対応をしてしまうとトラブルを悪化させることがあるため、以下のポイントを押さえて正しく対処しましょう。
  1. 外れた上部構造は丁寧に保管する
    外れた上部構造が破損していないか確認し、汚れを軽く水で洗い流した後、清潔な容器に保管してください。再利用できる可能性があるため、決して捨てたり放置したりしないようにしましょう。
  2. 自身で上部構造をもとに戻そうとしない
    外れた上部構造がもとの位置にはまりそうに見えても、ご自身で戻そうとするのは避けてください。無理に装着しようとすると、噛んだ際に破損したり、上部構造を誤って飲み込んでしまう可能性があります。特に、力をかけて無理に押し込む行為は、アバットメントやインプラント体自体を傷つけるリスクも伴います。
  3. むき出しになったアバットメント部分に触れない
    上部構造が外れると、アバットメント(上部構造を支える土台)がむき出しになります。この部分に触れると細菌感染の原因になる可能性があるため、触らずにそのままの状態を維持しましょう。汚れが気になる場合は、優しくうがいをして清潔に保つようにします。
  4. できるだけ早めに歯科医院を受診する
    上部構造が外れたまま放置すると、周囲の歯が空いたスペースに移動し、歯並びや噛み合わせが乱れてしまう恐れがあります。
    さらに、アバットメント部分に汚れが付着すると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。これらを防ぐため、できるだけ早めにインプラント治療を受けた歯科医院に相談しましょう。
アバットメントが抜けた場合の対処法を教えてください
アバットメントが抜けた際には、上部構造も一緒に外れている場合があります。そのため、どちらも紛失しないように注意し、清潔な状態で保管してください。外れたアバットメントや上部構造を無理に分解したり、自力でもとに戻したりしないようにしましょう。また、アバットメントが抜けると、インプラント体(人工歯根)がむき出しの状態になります。この状態が長く続くと、細菌が侵入しやすくなるため、できるだけ早く治療を受けた歯科医院での受診が大切です。受診時には、抜けたアバットメントと上部構造を持参してください。破損がなければ、そのまま再利用できる場合もありますが、アバットメントが折れていたり、上部構造に大きな欠けや損傷があったりする場合には、新しいパーツへの交換が必要になる可能性があります。

いずれにしても、正しい処置を受けるためには、自己判断で装着を試みず、歯科医師の診察を受けるようにしましょう。

インプラント体が抜けた場合の対処法を教えてください
インプラント体は顎の骨にしっかりと固定されているため、万が一外れてしまった場合、何らかの重大な問題が発生している可能性があります。考えられる原因として、インプラント体が正しく埋入されていなかったり、顎の骨との結合がうまくいかなかったりするケースが挙げられます。また、インプラント周囲炎により顎の骨が破壊され、支えを失って脱落する場合もあります。インプラント体が抜けた際には、アバットメントや上部構造が一緒に外れていることがあるため、外れた状態のまま歯科医院に持参し、適切な診察と治療を受けるようにしましょう。
インプラントが抜けてしまったときに注意すべきことを教えてください
インプラントが抜けてしまったときに注意すべきことは以下のとおりです。
  • 抜けた状態のまま放置せず、早めに歯科医院を受診する
  • 自身で無理にもとに戻そうとしない
  • 瞬間接着剤などで固定するのは避ける
  • 抜けた部分で噛むことを控える

インプラントを長持ちさせるために

インプラントを長持ちさせるために

インプラントが抜けるのを予防するためにはどのようなケアがおすすめですか?
インプラントが抜けるのを予防するためには、以下のケアを心がけましょう。
  • 口腔内の衛生管理を徹底する
    インプラント周囲炎にならないよう、日々の口腔ケアは丁寧に行いましょう。また、定期的に歯科医師を受診し、歯科衛生士による歯磨きの指導を受けたり、専用の口腔ケア用品を活用したりすることが大切です。
  • 生活習慣を見直して改善する
    インプラント治療前後に禁煙を徹底することは、治療部位の血流を促しインプラントを安定させるために重要です。
    また、ストレスを貯めないようにリフレッシュしたり、ナイトガードを使用して歯ぎしりや食いしばりへの対策を行ったりすることも大切です。

これらのケアを徹底し、もしインプラント周囲が腫れたり出血があれば、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。

インプラントを長持ちさせるために定期健診はどのくらいの頻度で受けるのがいいですか?
インプラントを長持ちさせるためには、3〜6ヵ月に1回の定期検診を受けることが推奨されています。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでインプラントは抜けないのかということについてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

  • インプラントが抜けてしまう原因には、インプラント周囲炎、歯ぎしりや食いしばりなどが挙げられる
  • インプラントが抜けた場合の対処法・注意点は、外れた上部構造は丁寧に保管することや自身で上部構造をもとに戻そうとしないことなどが大切
  • インプラントを健康に保つためのポイントは、口腔内の衛生管理を徹底する、生活習慣を見直して改善する、3〜6ヵ月に1回の定期検診を受けること

インプラントは天然歯に近い機能性と審美性を持つ治療法です。トラブルが起きた場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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