インプラント

インプラントの成功率ってどれくらい?手術が失敗することはあるの?

インプラント 成功率

インプラントは、複雑な治療でリスクのある治療だと思われている方がいらっしゃるかもしれません。本記事ではインプラントの成功率について以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラント について
  • インプラントの失敗について
  • インプラントの成功率をあげることについて

インプラントの成功率について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

そもそもインプラントとは?

そもそもインプラントとは?

インプラントは、歯科治療の一種であり、歯を失った場合に欠損した歯を置き換えるために使用される人工の歯根です。インプラントは、失われた歯の代わりに人工的に埋め込まれ、その上に人工の歯(被せ物またはクラウン)を取り付けて、自然な歯に最も近い見た目と機能を取り戻せます。 インプラントは一般的にチタンと呼ばれる生体適合性の高い金属から作られています。チタンは骨組織と結合しやすく、人体に対する適切な生体適合性を備えています。 施術においては、インプラントを埋め込む手術が必要です。この手術は歯科医師によって行われ、歯茎を開いて骨に穴を開け、インプラントを挿入します。手術後、骨とインプラントが結合する過程を待つ必要があります。 インプラントが骨と結合する過程をオステオインテグレーションと呼びます。これにより、インプラントがしっかりと固定され、歯科補綴物(被せ物やクラウン)を支える基盤が形成されます。また、オステオインテグレーションが完了したら、歯科医は人工の歯(被せ物またはクラウン)をインプラントに取り付けます。これにより、失われた歯の代わりに自然な見た目と噛み合わせが復元されます。 インプラントの主な利点は、周囲の歯に影響を与えずに欠損歯を置き換えられることです。また、しっかりと固定されるため、食事や会話に制約を与えません。 インプラントは、1本以上の歯を失った場合、部分的な歯の欠損、完全な入れ歯の代替手段として利用されます。

インプラントの生存率と成功率

インプラントの生存率と成功率

歯科インプラント治療の評価は、生存率と成功率という二つの異なる側面から行われます。生存率はインプラントが一定期間を経て口腔内に残存し続ける割合を示し、一方で成功率は特定の条件をクリアし、合併症が発生していない割合を測定します。
厚生労働省による情報によれば、インプラントの生存率は埋入された部位や埋入条件によって異なりますが、部分および全部欠損症例における10~15年の累積生存率は上顎で約90%、下顎で94%程度と報告されています。抜歯即時埋入や骨移植を伴った場合でも、生存率は87~92%程度とされています。
また、明海大学病院歯周病科の実態調査によれば、同病院での5年生存率は99.4%および98.7%であり、さらにインプラントの長軸長による比較でも高い生存率が示されています。
これらの結果からわかるように、インプラント治療の成功は患者の口腔状態や治療条件に影響されつつも、高い生存率が期待される優れた治療法であることが示唆されます。

【施術】インプラントが失敗する理由

【施術】インプラントが失敗する理由

施術において、インプラントが失敗してしまう理由を以下で詳しく説明していきます。

適切に埋入されていない

インプラントが失敗する理由の1つとして、適切に埋入されていない場合が挙げられます。インプラント治療の成功は、インプラントが正確に、適切な深さと位置に埋め込まれることに大きく依存します。 まず、インプラントは骨と結合して安定する必要があります。不適切な深さで埋入された場合、骨との結合が不十分になり、インプラントが適切に固定されない可能性があります。これはオステオインテグレーション(骨との結合)の失敗につながる可能性があります。 また、インプラントが適切な位置に埋め込まれていない場合、噛み合わせの問題が発生する可能性があります。これは、噛み合わせが不安定であるため、治療後に不快さや痛みを引き起こす可能性があります。 加えて、インプラントの位置が適切でないと、上に取り付ける人工の歯(被せ物またはクラウン)も不適切な位置に配置される可能性があります。これにより、見た目や機能に問題が生じる可能性があります。 インプラントの埋入深さが過剰または不足している場合、周囲の組織への影響が生じ、治療の成功率に影響を与える可能性があります。

ドリルのオーバーヒート

ドリルのオーバーヒートがインプラント治療の失敗の要因となる可能性は存在します。インプラント治療中に使用されるドリルは、適切な冷却と制御が必要です。 ドリルのオーバーヒートは、周囲の骨組織に損傷を与える可能性があります。高温のドリルが骨組織に影響を与えると、骨が壊れる場合や、骨組織の壊死が生じる可能性があります。これはインプラントのオステオインテグレーション(骨との結合)を妨げ、治療の成功を脅かす要因となります。 また、過度な熱にさらされた場合、インプラントの周囲の骨が弱まり、インプラントの安定性が低下する可能性があります。安定しないインプラントは、オステオインテグレーションが成功しにくくなります。 そのため、歯科医師は、ドリル作業中に適切な冷却システムを使用することが重要です。これにより、ドリルと周囲の組織が過度に熱くなるのを防ぎます。また、ドリルの速度と圧力を適切に制御することが大切です。高速で大きな圧力をかけることは、過度な熱を発生させる原因となります。他には、冷却液として適切な液体(通常は水または冷却液)を使用することが重要です。これにより、ドリルの温度を下げ、患者の快適さを確保します。

人工歯のトラブル

インプラント治療が失敗する理由の1つとして、人工歯(被せ物またはクラウン)に関するトラブルが挙げられます。人工歯に関連するトラブルは、治療の成功に大きな影響を与える可能性があります。 人工歯(被せ物またはクラウン)が適切な噛み合わせに調整されていない場合、患者が不快さや痛みを経験し、噛む際に問題が生じる可能性があります。不適切な噛み合わせは、治療後の患者の治療結果に影響を与える場合があります。 人工歯が適切な寸法や形状に調整されていない場合、見た目が不自然な可能性があります。自然な歯と調和しない人工歯は、患者の外見に不満を抱かせることがあります。 また、人工歯とインプラントの接合部分の密封が不十分である場合、細菌や食物のカスなどが歯茎の下に侵入し、感染や炎症の原因となる可能性があります。これはインプラントのオステオインテグレーション(骨との結合)にも影響を与える可能性があります。
ただし、被せ物が取れるなどは生存率や成功率ではなく、偶発症とされます。偶発症とは インプラント治療に関連して発生する予期せぬ問題や合併症のことです。 インプラントにおける偶発症の発症率は、研究や文献によって異なりますが、一般的には低いと言われています。
例えば、令和4年歯科疾患実態調査によると、インプラント治療を受けた人のうち、インプラント体の動揺や破折、インプラント周囲炎などの偶発症を経験した人の割合は、全体で3.5%でした。
インプラント治療後には、定期的な検査や処置、口腔衛生の管理に努めることが必要です。さらに、喫煙や過度のアルコール摂取など、健康的でない生活習慣はインプラントにおける偶発症のリスクを高める可能性があります。

【管理】インプラントが失敗してしまう理由

【管理】インプラントが失敗してしまう理由

管理面においてインプラントが失敗してしまう理由を、以下で詳しく説明していきます。

インプラント周囲炎になってしまう

インプラントが失敗する理由の1つとして、インプラント周囲の歯周組織に炎症が発生するインプラント歯周炎が挙げられます。インプラント歯周炎は、インプラント治療の失敗や合併症となる場合があります。 インプラント周囲の適切な口腔衛生が行われない場合、細菌が歯肉とインプラント周囲の組織に蓄積し、歯周ポケット内に感染を引き起こす可能性があります。 インプラント歯周炎が進行すると、骨との結合(オステオインテグレーション)が妨げられ、インプラントが安定しなくなる可能性があります。これはインプラント治療の失敗につながります。 また、インプラント歯周炎により、歯肉の炎症や出血が発生することがあります。これは患者に不快感や痛みを引き起こす可能性があります。さらに、インプラント周囲の炎症が進行すると、周囲の骨組織が吸収される可能性があります。これにより、インプラントの固定性が低下する場合があります。

メンテナンスを怠る

インプラントが失敗する理由の中に、患者が適切なメンテナンスを怠ることが含まれます。インプラントの長期的な成功には、患者自身が適切なケアと口腔衛生の実践を重視することが必要です。 インプラント周囲の歯肉や人工歯(被せ物またはクラウン)の清掃が不適切な場合、細菌や食物のカスが蓄積し、感染や炎症の原因となります。また、正しい歯ブラシやフロスなどの歯磨き用具を選択しない場合、人工歯や周囲の歯肉に損傷を与える可能性があります。 例えば、正確な口腔衛生が実践されない場合、細菌が歯肉とインプラント周囲の組織に蓄積し、感染が発生する可能性があります。これはインプラント歯周炎の原因となります。場合によっては、インプラント周囲の感染が進行すると、周囲の骨組織に損傷を与え、インプラントの安定性が低下する可能性があります。 インプラント周囲の感染や骨の吸収が進行すると、インプラントのオステオインテグレーション(骨との結合)が妨げられ、インプラント治療が失敗する可能性があります。

歯ぎしり

歯軋り(歯ぎしりまたは歯を食いしばる)がインプラントの失敗に寄与することがあるといえます。 歯軋りによる歯ぎしりや食いしばりは、歯と人工歯(被せ物またはクラウン)に追加の圧力をかける場合があります。これはインプラントに対する負担を増加させ、インプラント周囲の組織にストレスをかける可能性があります。また、歯軋りによって、噛み合わせが不安定になることがあります。歯軋りが継続すると、インプラントや周囲の歯に対する不適切な圧力がかかり、歯周組織への損傷を引き起こす可能性があります。 歯軋りによってインプラントに加えられる追加の圧力は、インプラントの安定性を低下させる可能性があります。安定性が低下すると、オステオインテグレーション(骨との結合)が妨げられ、インプラントの失敗の可能性が高まります。 また、歯軋りによる圧力は歯周組織に損傷を与え、歯周病や炎症のリスクを増加させる可能性があります。これはインプラント歯周炎の原因となります。

インプラントの成功率をあげるためにできること

インプラントの成功率をあげるためにできること

インプラントの成功率をあげるために必要なことを、以下で詳しく説明していきます。

禁煙する

インプラント治療の成功率を高めるために、患者自身が取るべき重要なステップの1つは、禁煙です。 禁煙はインプラント治療の成功に非常に重要です。たばこに含まれる有害物質は口腔健康に大きな影響を与え、特にインプラントのオステオインテグレーション(骨との結合)に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、喫煙によって血管が収縮し、血行が悪化します。インプラントが適切に骨と結合するためには、十分な血液供給が必要です。禁煙によって血行が改善し、オステオインテグレーションの成功率が向上します。 喫煙は口腔内の免疫系を弱め、感染症のリスクを増加させます。感染がインプラント周囲に広がると、治療の成功に悪影響を与える可能性があります。そして、インプラント手術後の傷口の治癒には時間がかかります。喫煙は傷口の治癒を遅らせ、合併症のリスクを増加させる可能性があります。

治療について十分説明してくれる歯科医師を探す

インプラント治療の成功率を高めるために、適切な歯科医師を選ぶことは非常に重要です。 歯科医師の資格と専門知識を確認しましょう。インプラント治療は高度な技術と知識を要求するため、インプラントに関する専門的なトレーニングや認定を持つ歯科医師を選ぶことが大切です。国内の歯科医師会や専門団体のウェブサイトで、認定歯科医師の情報を探せます。 歯科医師の経験と実績を調査しましょう。過去のインプラント治療の成功率や患者のレビューや評価を確認することで、歯科医師の信頼性を評価できます。 インプラント治療には患者との密接なコミュニケーションが不可欠です。歯科医師が十分な説明を提供し、質問に答える姿勢を持っているか確認しましょう。治療についての理解が不十分なまま進むことは避けるべきです。

経験豊富な歯科医師を探す

インプラント治療の成功率を高めるために、経験豊富な歯科医師を見つけることは非常に重要です。経験豊富な歯科医師は、高度な技術と専門知識を持っており、治療を適切に実施し、合併症のリスクを最小限に抑えることが可能となります。 経験豊富な歯科医師は、患者のニーズと希望を考慮し、治療計画を個別にカスタマイズができます。患者に合った適切な治療プランを提供できる歯科医師を選びましょう。 歯科医師との初回のコンサルテーションを設定し、治療計画や費用、期間などについて詳しく話し合いましょう。この際、医師が患者に対して十分な情報を提供するかどうかを確認できます。

まとめ

まとめ

ここまでインプラントの成功率についてお伝えしてきました。インプラントの成功率の要点をまとめると以下の通りです。

  • インプラントとは、失った歯を置き換えるために用いる治療法である
  • インプラントが失敗する要因は、施術と、普段の管理面との2点ある
  • インプラントの生存率や成功率を上げるためには、信頼のおける歯科医院を探すことの他、禁煙をすることで健康的な生活習慣を送ることが重要となる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
福田 尚美医師(フリーランス)

福田 尚美医師(フリーランス)

歯科医師臨床研修終了後、審美歯科・ホワイトニング専門医院勤務。 / 一般歯科・小児歯科非常勤勤務。美容健康記事年間500記事作成したライター経験を生かして、歯科コンテンツ作成や歯科企業サポートやセミナーサポート等も行っている。

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歯科医師臨床研修終了後、審美歯科・ホワイトニング専門医院勤務。 / 一般歯科・小児歯科非常勤勤務。美容健康記事年間500記事作成したライター経験を生かして、歯科コンテンツ作成や歯科企業サポートやセミナーサポート等も行っている。

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