歯のインプラントは魅力的ですが、費用や手術に懸念がある方も多いかもしれません。 本記事では全部の歯をインプラントにすることについて、以下の点を中心にご紹介します。
- 全部の歯をインプラントにする必要のある方
- 全部の歯をインプラントにした時の費用相場
- インプラントオーバーデンチャーやオールオン4(All-on-4)について
全部の歯をインプラントにすることについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
インプラント治療について
- インプラント治療とはどんな治療ですか?
- インプラント治療は、歯科医師が人工的な歯根を顎の骨に埋め込み、その上に上部構造を取り付けることで、見た目や機能の面で自然な歯に近づけられます。インプラント治療の流れは以下のとおりです。
歯科医師が患者さんの口腔状態を診察し、必要な検査をします。 手術のための麻酔を施し、歯肉を切開して骨にアクセスします。 骨に穴を開け、人工歯根をしっかりと埋め込みます。 手術後は骨と人工歯根が結合するまでの期間が必要です。
インプラント治療の利点には、見た目が自然であることや、周囲の歯への影響が少ないことが挙げられます。また、噛む力や発音の改善、顎の骨の保持などの恩恵も見込めます。
- インプラント治療を受けられる人
- インプラント治療は受けられない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
まず、年齢制限があります。 成長が完了していない未成年者には、インプラント治療は適していません。一般的には20〜25歳以上が推奨されています。
骨の状態も重要な要素です。 インプラントは顎の骨にしっかりと統合する必要があります。骨の量や密度が不十分な場合は、骨移植などの追加的な処置が必要になることがあります。
持病やアレルギーの有無も考慮されます。 全身疾患や制約がある場合、インプラント治療が適さないことがあります。 特に、糖尿病や心臓病などの全身疾患がある場合は、治療前に医師と相談が必要です。 また、金属アレルギーや免疫系の問題がある場合も、素材の選択に注意が必要です。
治療できるかどうかは個々人の状態によって異なるため、最終的な判断は歯科医師との相談が必要です。
- インプラント治療に年齢制限はありますか?
- 20~25歳以上であれば、インプラント治療が可能とされています。
その理由は、成長がほぼ完了しているためです。20〜25歳以上の方は、顎の成長がほぼ終了し、骨の発育が安定しています。インプラント治療には、顎の骨に人工の歯根を埋め込む手術が含まれます。顎骨の成長が終わっていない場合、顎骨の成長を阻害したり、成長に伴ってインプラントの位置関係が変化したりする可能性があります。
また、個人の健康状態によりますが、高齢者にとってはインプラント治療が難しい場合があります。
その理由は、高齢者でも治療が可能であることが多いものの、インプラント手術を受けるには身体が耐えられない可能性があるからです。高齢者はインプラント手術の際に、身体が負担を受けるリスクがあります。
また、インプラント治療が終わった後も定期的な健診を受ける必要があります。
高齢者であっても定期的な通院が望ましいため、そのような環境が整っていない場合は、インプラント治療が難しい場合があります。
全部の歯をインプラントにすること
- 全部の歯をインプラントにする必要がある人はどんな人ですか?
- 全部の歯をインプラントにする必要があるのは、以下のような状況にある場合です。全ての歯が欠損している場合:事故や疾患により全ての歯を失ってしまった方は、咀嚼機能や嚥下機能を回復させるために、全ての歯をインプラントで置き換えることが考慮されます。
全ての歯が重度に損傷している場合:根管治療が困難な状態や、進行した歯周病によって歯が崩壊している場合、全ての歯をインプラントに置き換えることが検討されます。全ての歯をインプラントにする利点としては、自然な噛み合わせや咀嚼力の回復、口腔内の美しい外観の維持などがあります。ただし、全ての歯をインプラントにする治療は複雑な手術や高額の費用が伴います。また、骨の状態や全身の健康状態などによって治療方法が異なるため、歯科医師との相談や詳細な検査が必要です。
- 全部の歯をインプラントにする方法はありますか?
- 全ての歯をインプラントにする方法は存在します。大きく分けて以下の2つの方法があります。全ての歯に通常のインプラント治療を行う:歯が全てない状態の方が、失った歯を補うのに1本1本インプラントを入れる方法です。上下それぞれに10本ほどインプラントを入れるケースが主流です。ただし、費用が高額で、手術部位も多くなるため、経済的・身体的負担が大きくなるというデメリットがあります。
オールオン4(またはオールオン6)の施術を行う:オールオン4は、上下の顎それぞれに支えとなる4本(オールオン6の場合は6本)のインプラントを入れて、全ての歯の機能を補う治療法です。インプラントを入れる本数が少ないため、手術する部位も少なく、費用面や身体的負担も少なく済むというメリットがあります。治療法の選択は、患者さんの口腔の状態、健康状態、によります。適切な治療法を選択するためには、歯科医師との詳細な相談が必要です。また、インプラント治療は高額な自費治療であるため、費用と治療計画について十分に理解した上で進めることが重要です。
インプラントオーバーデンチャーについて
- インプラントオーバーデンチャーとはどのような治療ですか?
- インプラントオーバーデンチャーは、全ての歯を失っている場合や咬む力が弱まっている場合に特に適しています。また、骨の状態や顎の構造によって異なる治療プランが適用されます。治療の選択や手順については、歯科医師との相談や詳細な検査が必要です。
インプラントオーバーデンチャーの治療方法は以下の通りです。
まず、インプラントを顎の骨に埋め込みます。 その後、インプラントに入れ歯を支えるパーツ(アタッチメント)を装着します。入れ歯の内面に、アタッチメントと適合するパーツを装着し、入れ歯をインプラントに固定します。
インプラントオーバーデンチャーの主な特徴は、以下の通りです。安定性と保持力の向上:インプラントが骨にしっかりと結合するため、オーバーデンチャーの安定性が高まります。食事や話す際の、咬む力による負担を均等に分散させます。
自然な見た目と機能:オーバーデンチャーに取り付けられた人工歯は、自然な外観と噛む機能を実現します。
簡単に取り外せる:オーバーデンチャーはインプラントに固定されていますが、必要に応じて取り外すこともできます。清掃やメンテナンスが容易とされています。
- インプラントオーバーデンチャーの費用はいくらくらいですか?
- インプラントオーバーデンチャーの費用相場は、一般的には約100万円〜200万円とされています。
費用は、以下の要素によって変わります。インプラントの数:必要なインプラントの数によって費用が変わります。 通常、オーバーデンチャーには1〜4本のインプラントが必要です。
材料:使用する材料の種類や品質によって費用が変わります。 高品質な材料を使用する場合は、費用が高くなる傾向があります。
歯科医院の地域や施設のレベル:地域によって歯科医院の料金体系は異なるため、費用に差が生じることがあります。また、設備や技術のレベルも費用に影響します。インプラントオーバーデンチャーの費用は入れ歯やブリッジより高額とされますが、その分長期間にわたって快適な咀嚼機能や自然な見た目を維持できます。 費用については、歯科医師の診察に基づいた見積もりを確認しましょう。 また、保険の適用や医療費控除の制度の活用も検討しましょう。
- インプラントオーバーデンチャーのメリットはなんですか?
- インプラントオーバーデンチャーのメリットは次のとおりです。安定性と快適性:インプラントが顎の骨にしっかりと統合されるため、入れ歯やブリッジより咀嚼時の安定性が高いとされ、快適な食事が望めます。
自然な見た目と発音:インプラントオーバーデンチャーは上部構造を自然な位置に配置するため、見た目が自然であることが特徴です。また、咬合力が復元されることで正しい発音ができるようになります。
口腔の健康維持:インプラントは周囲の自然歯を削らずに固定するため、周囲の歯に負担をかけず、口腔の健康を維持できます。
- インプラントオーバーデンチャーのデメリットはなんですか?
- インプラントオーバーデンチャーのデメリットとしては次の点が挙げられます。高い費用:インプラントオーバーデンチャーは手術や材料費がかかるため、保険の入れ歯やブリッジより高額になることがあります。
手術と治療期間:インプラントを埋入する手術が必要であり、その後の骨組織との結合までに時間がかかる場合があります。また、個々のケースによっては追加の手術や治療が必要な場合もあります。
骨の状態や全身の健康による制約:インプラントの成功率は骨の状態や全身の健康状態によって影響を受けることがあります。骨の量や質の不足、糖尿病などの全身疾患がある場合は、インプラントの適応が制限されることがあります。
オールオン4(All-on-4)について
- オールオン4はどのような治療ですか?
- オールオン4は、前歯から奥歯まで一体となった上部構造を、最小4本のインプラントで装着する治療法です。この治療は、手術当日に仮歯を装着できるため、従来のインプラント治療よりも治療期間が短くなる利点があります。また、治療費の負担も最小限に抑えられることが可能です。
オールオン4は、総入れ歯の方や多くの歯を失った方に特におすすめです。顎の骨の状態によっては、インプラントの本数が増える場合もありますが、骨移植などの手術は基本的に必要ありません。
オールオン4は、抜歯からインプラントの埋め込み、仮歯の装着までを1日で行います。夜には新しいインプラントで支えられた仮歯で食事ができます。
また、総入れ歯の方やむし歯や歯周病の進行した方でも、オールオン4によって自然な噛み合わせを回復できます。
特に骨が薄いと診断された方にとっても、従来のインプラント治療では大がかりな骨移植手術が必要でしたが、オールオン4では原則骨移植なしで治療が可能になりました。全ての歯を失った方にとって画期的な治療法と言えます。
- オールオン4の費用はどれくらいですか?
- オールオン4の治療費の相場は、約200万〜250万円とされています。ただし、具体的な費用は個人の症状や治療の範囲によって変わります。
この治療費の相場は、上下どちらかの顎にオールオン4を入れた場合であり、上下両方に入れる場合は約2倍となります。治療費の相場に含まれる内容は、オールオン4を入れた場合の手術費用やインプラントの本数、補綴物(上部構造)の種類や素材、診断や検査、治療後のアフターケアなどが含まれます。
治療費はクリニックによっても差がありますので、まずは診断の上で具体的な見積もりを受けることが重要です。また、保険の適用や医療費控除も考慮に入れると、治療費を抑えられる場合もあります。
治療費の相場は参考程度にとどめ、自身の状況や予算に合った治療プランを検討しましょう。
- オールオン4の治療は痛いですか?
- オールオン4の手術の際には、麻酔を十分に効かせた状態で行われるため、痛みを感じることは少ないとされています。ただし、手術後の経過や治療後の一時的な違和感や腫れ、痛みなどは個人によって異なる場合があります。
治療中や治療後の痛みに不安がある場合は、麻酔の種類について医師に相談しましょう。静脈内鎮静法などより痛みを感じにくくする方法が用意されている場合があります。
治療後の痛みや違和感は、通常数日から数週間で軽減するとされ、痛み止めや処方された薬の使用により緩和されます。また、治療後の経過には個人差がありますので、アフターケアはクリニックの指導に従いましょう。
- オールオン4のメリットについて教えてください
- オールオン4のメリットは以下のとおりです。よく噛める:オールオン4は顎の骨にしっかりと固定されるため、天然歯に近い噛み心地を実現します。咀嚼能力が向上するため、食事を楽しめます。
違和感が少なく、発音しやすい:オールオン4は、装着時の違和感が少なく、自然な発音が可能です。滑舌の改善や会話の円滑化にも役立ちます。
痛みが出ない:オールオン4は確実に固定されるため、入れ歯が動くことによる擦れや、入れ歯の下に食べ物が入ることによる痛みが出にくいとされています。
外れない:オールオン4は固定式のため、装着後は外れる心配がありません。安定感があり、自信を持って日常生活を送れるでしょう。
早期に歯が入る:オールオン4は手術後すぐに上部構造を装着できます。
骨の吸収を防いでくれる:オールオン4のインプラントは顎の骨に刺激を与えるため、骨の吸収を防止します。
オールオン4はこれらのメリットを提供するため、入れ歯による生活の制約を軽減し、より快適な口腔状態を実現します。ただし、個人の状況によって異なる場合がありますので、歯科医師との相談が重要です。
- オールオン4のデメリットについて教えてください
- オールオン4のデメリットは以下のとおりです。残っている歯を抜歯する必要がある:オールオン4の治療では、必要な歯を含めて歯を抜く必要があります。これにより、健康な歯を抜くことになる場合もあります。
治療できる医療機関が限られる:オールオン4は、すべての歯科医院で提供されているわけではありません。対応できる医療機関が限られているため、治療を受ける場所の選択肢が制限されます。
健康保険が適応されない:オールオン4の治療は、健康保険の適用外です。そのため、治療費用が高額になることがデメリットとして挙げられます。
手術が必要:オールオン4には外科手術が必要です。しかし、手術は健康状態が良くない方にとっては注意が必要です。
他の治療法が適用される場合もある:オールオン4は顎の骨や全身の健康状態によっては、他の治療法が選択されることもあります。
治療費用が高い:オールオン4の治療費用は高額であり、保険の適用外となるため、患者さんは自己負担となります。これらのデメリットを考慮し、患者さんはオールオン4を選択するかどうかを検討する必要があります。
総入れ歯とインプラント
- 総入れ歯のメリットを教えてください
- 総入れ歯は、すべての歯を失った場合に選択される入れ歯の一形式です。以下に総入れ歯のメリットをまとめました。メリット1:保険適用なので金額が安く作れる 総入れ歯は保険の適用範囲に含まれるため、安い費用で入手できるとされます。治療費の面で経済的な選択肢となります。
メリット2:製作期間が短い 総入れ歯は、保険の制約があるため、デザインや機能に制限がありますが、その分製作期間が短くなる傾向があります。入れ歯を早く手に入れたい場合にはメリットと言えるでしょう。
- 総入れ歯のデメリットを教えてください
- 総入れ歯にはいくつかのデメリットも存在します。以下に総入れ歯のデメリットをまとめました。デメリット1:噛む力が低下する 総入れ歯では自然な歯のように噛む力を発揮することが難しくなります。特に前歯での噛み切りなど、以前のような噛む動作が困難になります。食べ物の選択や咀嚼方法に制約が生じる可能性があります。
デメリット2:口の中での安定性が低い 総入れ歯は支える自然な歯がないため、口の中での安定性が低くなります。食事中や会話中に入れ歯がずれたり外れたりする可能性があります。入れ歯安定剤を使用することで一定程度の安定性を確保できますが、完全に自然な歯のような固定感は得られません。
デメリット3:口腔内の変化による合わなくなりやすさ 口腔内の骨や歯茎は時間とともに変化します。総入れ歯の土台となる口腔内の形状が変わると、入れ歯が合わなくなることがあります。定期的なメンテナンスや調整が必要になる場合があります。
デメリット4:味や食感の変化、臭いの付着 総入れ歯の床には厚みがあり、熱を感じにくくなります。そのため、食べ物の味や食感が変わってしまうことがあります。また、床に臭いが付着しやすく、口臭の原因になる可能性があります。総入れ歯を選択する際には、これらのメリットとデメリットを総合的に考慮し、自身の状況や希望に合った選択が重要です。 以上のメリットとデメリットを踏まえて、総入れ歯の適切な管理と定期的な歯科医の診察が重要です。個人の状況に合わせた入れ歯の選択と適切にケアすることで、快適な生活を送りましょう。
編集部まとめ
ここまで全部の歯をインプラントにすることについてお伝えしてきました。 全部の歯をインプラントにすることについて、要点をまとめると以下の通りです。
- 全部の歯をインプラントにする必要があるのは、全ての歯が欠損している場合や、全ての歯が重度に損傷している場合
- 全部の歯をインプラントにした時の費用は、インプラントオーバーデンチャーでは約100万円〜200万円、オールオン4は約200万〜250万円度が相場
- インプラントオーバーデンチャーやオールオン4は、全ての歯を失っている場合や咬む力が弱まっている場合に適しており、特にオールオン4では骨移植なしで治療が可能とされている
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。