インプラント

インプラントが合わない人の特徴は?適した治療を行うポイントも解説

インプラント 合わない人

インプラントが合わないといわれる人の特徴は何でしょうか。

インプラント治療は失った歯を補って天然歯に近い感覚を得られる有効な治療法ですが、合わないとされるケースも少なくありません。

インプラント治療を選択して後悔しないためにも、治療を受ける患者さん側がメリット・デメリットを理解しておくことが必要です。

この記事ではインプラント治療が合わないケース・その対処法や別の選択肢なども解説しますので、インプラント治療を受けるか検討している方はぜひ参考にしてください。

インプラント治療のメリット・デメリット

インプラントイメージ

インプラント治療のメリットは何ですか?
失った歯を補う治療のうち、インプラントは入れ歯に比べて安定性が高く天然の歯に近い感覚を得られることが大きなメリットです。インプラントは土台を歯槽骨に埋め込んで支持するため、天然の歯に近い咀嚼機能・食事の快適性・発音機能を得られます。
また見た目も天然の歯に近いため審美性が高く、部分入れ歯のように金属の支えがみえないことは、特に前歯では重要なポイントになります。ブリッジ治療では歯の欠損した部位の周辺の歯を削って架橋をするように人工歯を支えるため、健康な歯も削らなくてはいけません。
インプラントの場合は部分入れ歯やブリッジに比べて、周囲の歯に負担をかけずに人工歯を支えられるのも口腔全体の寿命を考えたときに重要なメリットです。
インプラント治療のデメリットは何ですか?
インプラント治療は保険適用とならないため、費用が高額になるのがデメリットです。地域や医院によっても異なりますが、インプラント治療の相場は1本あたり30万〜50万円(税込)で、本数が増えるほど経済的な負担も大きくなります。加えて歯槽骨に土台を埋め込み、骨の新陳代謝に伴って土台がしっかり固定されるのを待って人工歯を装着していくため、治療期間が数ヵ月におよぶのも患者さんには負担となるでしょう。
また、インプラント治療後にメンテナンスを怠ったために土台の周りで細菌感染が起きインプラント周囲炎という炎症が広がるなど、インプラント特有のリスクもあります。
インプラント治療の終了後にもアフターケアを患者さん自身でしっかりして、メンテナンスのための通院などが必要になることは知っておきましょう。
インプラント治療によって噛み合わせが悪くなるケースがありますか?
インプラント治療後に噛み合わせの違和感が起こる主な原因は、インプラント治療が不適切であった場合・インプラント治療後のアフターケアを怠った場合の2つです。天然の歯は歯根膜というクッション組織に覆われており、噛むたびに衝撃を吸収する機能を持っています。
しかしインプラント人工歯には歯根膜が存在しないため、あらかじめ噛み合わせを低くしておく必要があるのです。このような適切な処置を行わずにインプラント治療をした場合、天然歯と咀嚼感が大きく異なってしまうため、噛み合わせの違和感を覚えます。
また人工歯には血管が通っておらず、人体の自然治癒力が働かないため、入念な毎日のケアが必要です。このケアを行わずにインプラント周辺に細菌が増殖してインプラント周囲炎を起こしている場合、噛み合わせの違和感を覚えるケースもあります。

インプラント治療が合わない人の特徴

レントゲン写真を確認する歯科衛生士

骨や口腔内の状況でインプラント治療が受けられない人がいますか?
インプラント治療をする部位の周辺の歯にむし歯や歯周病がある場合は、そちらの治療をしなければインプラント治療はできません。まずは歯周病やむし歯の治療を行い、その後にインプラント治療に進んでいく流れとなります。
その他インプラント治療は歯を支えていた歯槽骨に土台となる人工歯根を埋め込むため、この歯槽骨に状況によっては難しいと判断されます。歯槽骨に人工歯根を埋め込めるだけの厚みや強度がないと、インプラント治療を行っても土台が安定しなかったり、骨が損傷してしまったりするリスクがあるためです。
特に前歯や上顎の奥歯では骨が薄い・脆い場合が多いため、通常のインプラントは難しいと判断される可能性が高くなります。しかし骨が薄ければ絶対にインプラント治療ができないわけではなく、骨移植や骨造成などの処置によって骨を厚くしてインプラント治療をすることも可能です。
またインプラント自体にも大きさがコンパクトなものや、骨が脆い部分にも対応したタイプがあるため、担当する歯科医師と相談してリスクや費用面から適切かどうかを判断してください。
持病はインプラント治療にどのような影響を与えますか?
インプラント治療は身体に対する負担が大きく全身に影響するため、持病や生活習慣病などの影響も大きくなります。特に高血圧症・脂質異常症・糖尿病などの持病がある方は、インプラント治療後の骨や歯茎の自然治癒力も低下しているため、インプラント手術の前に症状をコントロールしなければいけません。
また手術のストレスをきっかけに心疾患や脳血管疾患を発症するリスクもあるため、歯科医師だけでなく持病の主治医とも密接な連携が必要です。ほかに神経症・うつ病・統合失調症・認知症などの精神疾患のある人は、手術前のインフォームド・コンセントが難しい・手術後のアフターケアの継続が難しいと判断された場合はインプラント治療もできなくなります。
これらの持病がある人は絶対にインプラント治療ができないわけではなく、投薬や治療によって症状が十分にコントロールされていれば、インプラント治療ができる場合もあります。
インプラント治療を妨げる生活習慣がありますか?
喫煙はインプラント治療の大きなリスクファクターのひとつです。喫煙習慣がある人は口腔内の粘膜が慢性的に炎症を起こしており、自然治癒力が低く歯周病やインプラント周囲炎のリスクも高くなります。また重度肥満の方は糖尿病を発症する可能性が高く、インプラント治療後の治癒力低下や動脈硬化のリスクが高まります。
歯を失っていた期間が長い場合、インプラント治療後に食の快適性が増して食事量が増えてしまうリスクがあるため、インプラント治療前にダイエットなどの指導をされるケースも少なくありません。
そのほかにインプラント治療が向いていない人の特徴を教えてください。
インプラント治療は保険適用にならず多額の費用が必要になるため、経済的に無理をしないといけないケースでは慎重な判断が求められます。歯の健康は生活の質を左右する大きなファクターですが、同時に経済的な余裕も人生設計にとっては非常に重要です。
インプラントのために高額なローンを組んで毎月の支払いに困窮してしまうようでは、せっかく歯が治っても健康とはいい難いでしょう。またインプラントは治療後のアフターケア・セルフケアが非常に重要です。継続的なセルフケアをできない人は、インプラント治療に向いていないといえるでしょう。
毎日の歯磨きやフロスはもちろん、定期的な歯科検診を受けるなどのメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎を発症して再び大がかりな治療が必要です。インプラント治療前のカウンセリングで、このようなセルフケアに協力が得られないと歯科医師が判断した場合、インプラント治療はできません。

インプラント治療が合わない人でも適した治療を行うポイント

笑顔で歯を強調する女性

持病があってもインプラント治療を行える条件はありますか?
糖尿病・高血圧症・腎不全・精神疾患などの持病がある場合は、治療や投薬で症状がコントロールされていればインプラント治療が可能になります。例えば糖尿病の場合、日本口腔インプラント学会の基準ではHbA1cを7.0未満にコントロールしていることが条件です。
もちろん数値面だけでなく、主治医の総合的な判断のもとに手術の可否が決定されます。生活習慣病の治療には、投薬だけでなく普段の食生活の改善・運動不足の解消など患者さんの自主的な努力も欠かせません。
インプラント治療のリスクを可能な限り低くするだけでなく、生活習慣病の改善自体も健康のためには必須であるため、この機会に生活習慣を改めてみてはいかがでしょうか。
装着したインプラントに違和感がある場合の対処法を教えてください。
インプラント治療は手術をして人工歯ができたら終了ではなく、その後も定期的なメンテナンスのために通院が必要です。
埋め込んだ人工歯根が歯槽骨に定着し、歯肉が再生していくまでには数ヵ月~数年を要するため、その間も手術を担当した歯科医師によるチェックが行われます。インプラント治療後に違和感がある場合、その都度歯科医師に相談するようにしましょう。
インプラント以外の治療法を教えてください。
失った歯を補う治療には、インプラント以外にもブリッジ・入れ歯があります。入れ歯はインプラントに比べて安価な治療法ですが、咀嚼感は弱く食事の快適性はかなり低下するのがデメリットです。
ブリッジは保険適用となるため、インプラントよりもかなり安価に行える治療法です。欠損部位のとなりの歯に架橋して人工歯を支えるため、周辺の歯を削らなくてはいけないのが大きなデメリットとなります。またとなりの歯で人工歯を支える原理上、多くても3本までしか治療できません。
インプラントの場合は全ての歯を人工歯とするオールオン治療も可能ですが、ブリッジでは不可能です。治療後5年ならびに10年の生存率はインプラントとブリッジで差がなく、機能面・審美面でどちらか一方が特に優れているというエビデンスはありません。

編集部まとめ

歯を気にする男性

インプラント治療が合わない人の特徴・対処法について解説しました。

歯を失ってしまっても、治療によって天然歯に近い感覚を得られるインプラントはとても魅力的です。

しかし口腔内の状況・骨の状況・全身の持病や経済的事情によって、インプラント治療が適切ではないケースも確かにあります。

それでも絶対にインプラント治療が不可能というわけではなく、特別な処置や既存の病気の治療によってインプラント治療が可能になるケースも珍しくありません。

また喫煙習慣や生活習慣病はインプラント治療を妨げる要因となりますが、患者さん自身の努力によって改善可能な部分も多々あります。

インプラント治療をきっかけに生活習慣を改めることができれば、歯だけではなく身体全体にとってよいことになります。

ひとつの歯科医院でインプラント治療を断られても、別の歯科医院では可能になるケースもあるため、諦めずに可能性を探ってみてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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