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インプラントの寿命はどのくらい?長く使うための対策や再手術などについて解説!

インプラントの寿命はどのくらい?長く使うための対策や再手術などについて解説!

歯に問題がある方で、見た目が自然で整った歯を再現できるインプラントを試してみたいと思いながらも迷ってしまうのは、事前に知りたいことや確認しておきたいことがたくさんあるからではないでしょうか。インプラントの寿命や長持ちさせるコツ、再手術が必要になるケースとその費用、そして、他の手段であるブリッジや入れ歯と比べた場合のコストパフォーマンスのことなども知りたいですよね。

そこでこの記事では、インプラントの寿命について、ブリッジや入れ歯との比較、インプラントの寿命を短くしてしまう原因や寿命を延ばす方法、適切なメンテナンス方法、そしてインプラントの再手術について解説します。

インプラントの平均的な寿命

インプラントの平均的な寿命 長持ちすると言われているインプラントですが、インプラントが寿命を迎えるタイミングとは、いつなのでしょうか。それは、顎の骨とインプラントが結合する部分に不都合が生じ、外れたときが寿命とされています。インプラントの平均寿命を求めることは困難なので、一般には生存率という考えを用います。インプラントの10年生存率は90%以上、20年生存率は約80%と考えられています。40年程度使用できている報告もあり、メンテナンス次第ではもっと長く使えると考えられるでしょう。

また、インプラント本体そのものの構造や使用素材、治療技術などは日々進歩していますので、さらに寿命が延びることが期待されています。それに対して、一般的に入れ歯の寿命(10年生存率)は約50%、ブリッジでは約90%程度と言われています。また、ブリッジには周囲の歯を削った上で設置しなければならない点、入れ歯には設置した後も調整を繰り返さなければならない点という短所があります。これらの要素を総合的に判断すると、入れ歯やブリッジよりもインプラントの方が長期的に使えると考えて良いでしょう。

そしてインプラントは、入れ歯やブリッジと比べてみると、初期費用こそ高くはなりますが、より長期間使えますので、最終的にはコストパフォーマンスが比較的良くなることがわかるでしょう。 インプラントは見た目に自然な印象を与えやすく、自分の歯に近い感覚でしっかり噛めることがメリットとされています。しかしながら、日々のインプラントのメンテナンスが不十分だったり、歯科医師のアドバイスを守っていなかったりすると、せっかくインプラントを入れても、早い時期に寿命がきてしまうことがあります。 では、寿命を延ばすためにはどうすればいいのでしょうか。まずは、インプラントの寿命が縮まる原因について解説し、次にその対策をご説明します。

インプラントの寿命が縮まる原因

インプラントの寿命が縮まる原因 インプラントの寿命を縮める原因として、次の4つがあげられます。

それは、「インプラント周囲炎」、「歯ぎしりや食いしばりなどの負荷」、「喫煙習慣」、「インプラントの質」です。以下で一つひとつを詳しく解説します。

インプラント周囲炎

インプラント治療においては、まず顎の骨にインプラント体を埋め込みます。そしてその上から上部構造を被せて固定します。インプラント体そのものは全てが人工物で構成されているため、むし歯になることはないのですが、インプラント体を埋め込んでいる箇所が歯周病になることがあります。この症状をインプラント周囲炎と呼びます。

インプラント周囲炎を発症すると、インプラントの周りの歯茎から血が出たり、歯肉が腫れたりしてしまいます。さらに、インプラントを支える顎の骨が溶けて歯茎が不安定になることで、インプラント体がグラつくようになってしまいます。このようにインプラントの土台部分がグラついてしまうと、最悪の場合はインプラントが抜け落ちてしてしまうことがあります。インプラント周囲炎は、インプラントの寿命を延ばすためにも避けるべき病気です。

歯ぎしりや食いしばりなどの負荷

インプラントには衝撃に弱いという弱点があるため、強い歯ぎしりや食いしばりが続いて、インプラントの部分に長期間負荷がかかると破損してしまうことがあります。特に睡眠中に無意識に歯を食いしばったり、歯ぎしりをしてしまう方は注意が必要でしょう。さらに負荷が続く、とインプラントが破損してしまうだけでなく、土台となるインプラント体のグラつきや前述したインプラント周囲炎を引き起こすリスクが高まってしまうこともあるので注意する必要があります。

喫煙習慣

日常的に喫煙されている方は、タバコの煙に歯茎の血流を悪化させる成分であるニコチンが含まれていることで酸素や栄養素などの歯茎への供給が不十分となったり、免疫細胞が不活発になったりするため、非喫煙者の方に比べてインプラントと顎の骨が結合するのに時間がかかってしまうと言われています。

さらに、喫煙を続けていることで、他の病気を併発している可能性もあり、その場合は、他の病気の治療を優先してからでないとインプラント治療へ進めないケースもありえます。また、歯茎そのものが健康でなくなるので、インプラント周囲炎の感染を起こしやすくなる可能性も考えられます。インプラント周囲炎の症状が進行してしまうと、インプラントの土台そのものが不安定になり、崩れやすくなってしまいます。つまり、インプラントの寿命が短くなってしまうのです。

歯科医師の臨床経験

インプラント治療においては、歯科医師に潤沢な知識と高い技術力が求められることはもちろんですが、臨床経験が豊富であることも重要です。外科手術や全身管理の経験が少ない医師がインプラント治療を行うことも可能なため、そのような歯科医師によるインプラント治療を受けた場合は、埋入したインプラントが短期間で見た目が悪くなってしまったり、しっかりと噛めなくなってしまうこともありえます。

インプラント治療を受ける場合は、充分に臨床経験を積んでいる医師が担当してくれる歯科医院を受診するようにしましょう。例えば日本口腔インプラント学会には、インプラントに関する広い学識と高度な専門的技能を持つ歯科医師を認定する制度があります。その専門医や指導医などの資格の有無は、質の高いインプラント治療を提供してくれるドクターを選ぶ際の基準になるでしょう。

インプラントの寿命を延ばす方法

インプラントの寿命を延ばす方法

ここまで、インプラントの寿命とその寿命を短くしてしまう原因について見てきました。それでは、インプラントの寿命を延ばすためにはどんな方法があるのでしょうか。以下で、いくつかのポイントをご説明します。

定期メンテナンスを受ける

インプラントの寿命を延ばすためには、定期的に歯科医院に通って、口内にむし歯ができていないか、炎症などのトラブルはないか、噛み合わせはきちんとされているかなどをチェックしてもらうことが重要です。特にインプラントそのものの脱落につながりやすい、インプラント歯周炎の予防には注力しましょう。毎日の丁寧な歯磨きはもちろんですが、定期的に歯科医院でご自宅での歯磨きでは取りきれない汚れをきれいにしてもらい、インプラント歯周炎をしっかり防ぐことが大切です。

歯ぎしりや食いしばりなどの負荷を軽減する

歯ぎしりや食いしばりなどでインプラントに負荷がかかってしまう場合は、対策としてマウスピースを装着すると良いでしょう。マウスピースを装着することで、歯に加わる力を分散させることができ、インプラントが欠けたり割れたりするのを防ぐことができます。

また、マウスピースを着けることで、身体全体の筋肉の緊張の緩和や顎関節症を改善する効果も期待できます。ただし、マウスピースには、装着したときに違和感があるという欠点があります。その違和感のため、眠られているときにいつの間にか自分でマウスピースを外してしまうことがあるようです。

一方で、使っている内に装着感に慣れて、マウスピースを装着して寝る方が安心してよく眠れるという方もいるようです。 また、その他の歯ぎしりや食いしばりへの対策としては、顎の筋肉にボトックス注射を打つことで、噛む力を緩め、歯ぎしりや食いしばりを改善するという方法もあります。

喫煙習慣を改善する

前述したように、喫煙習慣がある場合はインプラント周囲炎にかかる可能性が高まってしまい、インプラントの寿命が短くなってしまいます。インプラントの周囲組織には天然の歯にはある歯根膜がないため、歯肉と骨からしか血液が供給されません。

インプラントはこのように血液供給が少ないため、白血球などの免疫細胞の数が天然の歯に比べて少なく、天然歯の歯に比べて抵抗力が低いです。そのために、インプラントの周囲組織が歯周病菌に感染してインプラント周囲炎にかかってしまうと、急速に歯を支える顎の骨の破壊が進行します。インプラント周囲炎は自覚症状が少ないため、症状に気付いたときには重症化しているケースが多く、注意が必要です。インプラントを長く使うことを希望されるのであれば、タバコの本数を減らすか、思い切って禁煙することを考えた方が良いでしょう。

インプラントが寿命を迎えたら再手術

保証が適用されるケース

インプラントの一部が欠けてしまった場合は、その部分を新しく作り直すか、修理することで元通りになるケースが多いようです。しかしながら、顎の骨に埋め込んだインプラント体が脱落してしまったり、大きくグラつくようになってしまった場合は、再手術が必要になります。インプラントには、一般的に5年あるいは10年の保証期間を設定している歯科医院が多く、保証期間内なら無料で再手術を受けることができます。ただし、保証の適用条件はインプラントの状態やその原因、対応する歯科医院によって異なりますので、治療に臨む前にしっかりと契約内容を確認しておくことをお勧めします

保証が適用されないケース

保証が適用されないケースとしては、以下のような場合があります。

  • 治療後に担当医から指定された定期メンテナンスを受診していない
  • 保証対象外の歯科医院で治療を受けた
  • 故意または重大な過失による損傷
  • 禁煙指示を受けているのに喫煙した

上述したとおり、インプラントの寿命を延ばすためには定期的なメンテナンスが重要です。そのため、歯科医院で指定された期間内にメンテナンスを受けなかった場合は保証適用外となる場合が多いです。さらに、日常生活における食事などでインプラントが破損した場合は保証が適用されますが、交通事故など予期せぬトラブルによる破損は保証適用外になる場合が多いようです。もしものときに保証の範囲内で再手術を受けられるように、自分で毎日しっかりと歯をお手入れする習慣を身につけ、歯科医院で定期的に検診を受けることをお勧めします。

まとめ

まとめ この記事では、インプラントの寿命について、インプラントを長く使うための方法や再手術についてご説明しました。インプラントは、歯を欠損したり喪失してしまった場合に、見た目は天然の歯と同等の自然な美しさを保ちながら、しっかりと噛むことができるようになる治療方法です。入れ歯やブリッジと比べてかかる費用は高額になりますが、他の歯に負担をかけることなく、長期的に使用することが可能なため、機能面だけでなく、費用面においても優れていると言えます。メンテナンスをしっかり行っていれば、10年から15年、場合によってはもっと長く使い続けることも可能です。もしインプラントにトラブルがあった場合でも、保証期間内でかつ保証が適用される条件を守っていれば、無償で再手術を受けることが可能です。

参考文献

  • この記事の監修医師
  • 他の監修記事
福田 尚美医師(フリーランス)

歯科医師臨床研修終了後、審美歯科・ホワイトニング専門医院勤務。 / 一般歯科・小児歯科非常勤勤務。美容健康記事年間500記事作成したライター経験を生かして、歯科コンテンツ作成や歯科企業サポートやセミナーサポート等も行っている。

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