インプラント

歯が欠損したらどうすれば良い?予防方法や各治療法についても解説します

歯が欠損したらどうすれば良い?予防方法や各治療法についても解説します

何らかの理由で歯を丸ごと失うことを「歯の欠損」といいます。歯の先端が欠けたり、むし歯で歯質の一部がなくなったりすることとは異なるため、その点はご注意ください。ここではそんな歯の欠損を治療する方法や予防する方法について、詳しく解説します。

歯が欠損する原因と放置した場合のリスク

歯が欠損する原因と放置した場合のリスク

歯が欠損する原因は何ですか?
歯が欠損する原因としては、以下の4つが挙げられます。

・原因1:むし歯
むし歯を重症化させると、最終的には歯を抜かざるを得なくなります。自然に抜け落ちることもありますが、多くのケースでは保存できないと判断した時点で、歯科医師が抜き取ります。このむし歯は、日本人が歯を失う原因の第二位になっています。

・原因2:歯周病
歯周病も歯が欠損する主な原因のひとつです。歯周病は進行する過程で歯茎や歯槽骨が破壊されることから、最終的には歯を支え切れなくなります。その結果として歯が自然脱落するか、歯科医院で抜歯することになります。ちなみに日本人が歯を失う原因の第一位は歯周病です。

・原因3:外傷による歯の破折・脱臼
歯を欠損する原因として、最もイメージしやすいのは外傷です。転んだ時やスポーツで顔面にボールが当たった時などに歯が折れる、あるいは抜けることがあります。歯の頭の部分である歯冠(しかん)が折れた場合は、歯を残せる可能性も高いのですが、根っこの部分である歯根が折れた場合は、抜歯を余儀なくされるケースが多いです。

・原因4:先天性欠如歯
先天性欠如歯(せんてんせいけつじょし)は、生まれつき欠損している歯を意味します。永久歯が生えてくる時期になっても一向に頭が出てこない時にレントゲンを撮ってみると、そもそも歯が存在していなかったというケースは珍しくありません。歯の先天性欠損は、遺伝や特定の全身疾患が原因となるため、本人には予防のしようがありません。

歯の欠損を放置するとどうなりますか?
歯が欠損している状態では、様々な悪影響が生じます。ここでは1本でも歯がない状態が続くとどのような影響が生じるかを紹介していきます。

・悪影響1:見た目が悪くなる
歯が欠損してまず実感するのは、見た目の悪さです。歯列内に1本分でも歯の欠損があると、見た目は悪くなります。おそらく皆さんも歯が欠損した状態を見ると、違和感や不安感が生じることでしょう。年齢よりも老けて見られるようにもなるかもしれません。

・悪影響2:食べ物が噛みにくくなる
私たちの歯の主な機能は噛むことです。そのうちの1本でも欠けるようなことがあれば、そしゃく能率は大きく低下します。複数本の歯の欠損がある場合は、その影響も計り知れないほど大きくなります。

・悪影響3:他の歯に負担がかかる
歯の本数は、減れば減るほど、残った歯にかかる負担は大きくなります。それが大臼歯の場合は、残った歯への負担も大幅に増加することになるでしょう。結果として、残存歯の寿命が大きく縮まる可能性も高まります。

・悪影響4:歯茎と顎の骨が痩せていく
歯の欠損部には、噛んだ時の力が加わらなくなるため、歯茎と顎の骨が徐々に痩せていきます。その重症度は、歯の欠損を放置している期間が長くなるほど、高くなることでしょう。歯茎と顎の骨が痩せると見た目まで悪くなるという悪循環に入っていきます。

・悪影響5:歯並び・噛み合わせが悪くなる
歯の欠損部分は、当然ですが何もない空間となります。矯正治療でいえば、歯の欠損部分は便宜抜歯を行ったあとに生じるスペースと同じようなものです。そうしたスペースが歯列内に存在していると、周りの歯はそこを埋めるような形で移動を始めます。両隣の歯はスペースに向けて倒れ込み、もともと噛み合わっていた歯は垂直的に伸びてきます。そうなることで全体の歯並び・噛み合わせが乱れていくのです。

・悪影響6:認知症のリスクが上がる
認知症のリスクとそしゃく機能との間には、関連性があるのではないかという議論がされています。歯や噛み合わせが正常で、食べ物をきちんと噛める人は、脳へと適度な刺激が伝わることから、認知症の発症リスクが下がると考えられています。歯の欠損があるとそしゃく機能が低下するため、脳への刺激も減り、認知症リスクが上がる可能性があります。また、食べ物を効率よく噛めないことは、胃腸への負担を増やすことも忘れてはいけません。

歯の欠損の予防方法

歯の欠損の予防方法

歯の欠損を予防する方法について教えてください
歯の欠損の主な原因は、歯周病とむし歯であるため、それらを積極的に予防することが大切です。歯周病もむし歯も口腔衛生状態を良好に保つことが何より重要となります。セルフケアを充実させて、歯垢や歯石がたまらないよう努めましょう。セルフケアでは取り除けない汚れは、3〜4ヵ月に1回のメンテナンスで除去してもらうとよいです。
日常生活で気をつけることはありますか?
歯の欠損は、外傷によってもよく起こります。ですから、顔面への外傷を予防することで、歯を失うという事態も回避しやすくなります。日ごろからよく転倒する人は、足腰が弱っている可能性がありますので、専門家に相談しながら適切な運動を行っていきましょう。転倒するのが怖くて出歩かなくなったりすると、足腰がさらに弱くなってしまうため要注意です。

もともと外傷を負うリスクが高いスポーツをしている人は、スポーツマウスガードを装着するなどして対策しましょう。出っ歯や受け口で前歯が前方に突出している人は、歯列矯正を検討してもよいかもしれません。前歯の突出が改善されれば、外傷によって歯を失うリスクも減少します。

歯が欠損した時の治療法

インプラントについて教えてください
インプラントは、欠損した歯を歯根から回復できる治療法です。顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、上部構造と呼ばれる人工歯を被せることで欠損部を補えます。インプラントは天然歯とほぼ同じ構造をしていることから、見た目や噛み心地も自分の歯そっくりに仕上げられます。厳密にいえば天然歯に劣るものの、ブリッジや入れ歯といった従来法と比較した場合は、いろいろな面で優れている治療法といえるでしょう。

ただし、インプラントには保険が適用されない、外科手術が必須となると、治療期間が長い、歯科医師の技術によって仕上がりが大きく変わる、といったデメリットを伴う点には注意が必要です。近年、人気が高まっているインプラントも決して万能な治療法ではないのです。

ブリッジについて教えてください
ブリッジは、欠損部の両隣の歯を支台歯(しだいし)として装着する装置です。例えば、1本の歯の欠損がある場合は、その部分を補うポンティックと支台歯に被せる人工歯の3本でブリッジが構成されます。外から見たら、人工歯が3つ連なっている状態なので、インプラントとは見た目が少し異なります。人工歯根も存在しないことから、噛み心地もインプラントに劣りますが、固定式であるため、入れ歯よりは安定感が高いです。けれども、ブリッジには支えとなる歯を大きく削らなければならないというデメリットを伴います。歯を削る量は、通常の被せ物治療と同等です。
入れ歯について教えてください
入れ歯は、歯の欠損を簡易的に補える装置です。外科手術も残った歯を大きく削る処置も必要ありません。部分入れ歯は、人工歯と歯茎を覆う義歯床(ぎししょう)、残った歯に引っ掛けるクラスプで構成されています。着脱式の装置であるため、複数のパーツが付属しています。安定感もそれほど高くはありませんが、壊れた時の修理がしやすいというメリットがあります。

編集部まとめ

今回は、歯が欠損した場合の治療方法や歯を失わないためにすべき予防方法などを解説しました。歯は、むし歯や歯周病、外傷などで失うことが多く、その状態を放置しているとたくさんのリスクを背負うことになります。

それだけに歯が欠損したらできるだけ早く、歯科医院で治療を受けることが重要です。私たちの歯はすべてがそろっている状態が正常であり、その機能を最大化できることから、歯の欠損は可能な限り予防するよう努めましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

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