高額とされるインプラント治療ですが、歯の部位によって治療費は変わるのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では奥歯のインプラント治療の費用相場について以下の点を中心にご紹介します。
- 奥歯のインプラント治療の費用相場
- インプラント治療と他の治療法の費用相場の違い
- インプラント治療の保険適用について
奥歯のインプラント治療の費用相場について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
奥歯のインプラント治療について
奥歯の喪失は、食事や話すといった日常生活に大きな影響を及ぼします。そのため、奥歯治療の選択肢として最初に考えられるのが、入れ歯やブリッジです。しかし、入れ歯やブリッジには、合わない、噛めない、見た目が良くない、残存する歯の寿命が縮むなどの問題点があります。
そこで、奥歯の喪失に対する代替治療法として「インプラント」が注目されています。インプラントは自然な見た目と機能性を兼ね備えており、特に奥歯の場合、前歯ほど高い審美性が求められないため、シンプルで安定性に重きを置いた治療が可能です。
しかし、奥歯のインプラント治療には注意点もあります。特に、「噛み合わせ」は重要な要素で、これが不適切だとさまざまな問題を引き起こす可能性があります。例えば、噛み合わせが悪いと、インプラントと接触する歯が摩耗や破損などの問題を引き起こすことがあります。
以上のように、奥歯のインプラント治療は多くの利点を持つ一方で、注意点やリスクも存在します。そのため、治療を受ける際は、十分な情報を得ることが重要です。
インプラント治療の費用相場
奥歯のインプラント治療について理解が深まったかと思います。以下からは、奥歯や前歯などのインプラント治療の費用相場について解説していきます。
奥歯1本当たりの費用相場
インプラント治療の費用は、治療を受ける部位や使用する材料により大きく変動します。特に、奥歯のインプラント治療については、以下のような費用が発生します。
1. 検査・診断料:約1.5万円から5万円
2. インプラント手術費用:約15万円から35万円
3. 上部構造(人工歯)の費用:約5万円から18万円
これらの費用を合計すると、奥歯のインプラント治療にはおおよそ30万円から50万円程度が必要となります。ただし、これらの費用はあくまで一般的な相場であり、治療を行う歯科医院や具体的な治療内容により異なります。
前歯1本当たりの費用相場
前歯1本当たりのインプラント治療の費用相場について説明します。インプラント治療は、自分の歯と同じように噛める治療法で、特に前歯部分の治療は難易度が高いとされています。そのため、前歯のインプラント治療の費用は高額に設定されている場合があります。
1.検査・診断料:約1.5万円から5万円
2. インプラント手術費用:約15万円から35万円
3. 上部構造(人工歯)の費用:約5万円から20万円
これらの費用を合計すると、前歯1本のインプラント治療には約30万円から50万円程度が必要となります。前歯は見た目において重要な役割を果たすため、上部構造の作成には少し高い費用がかかることが一般的です
All-on-4(オールオンフォー)の費用相場
All-on-4(オールオンフォー)とは、4本のインプラントを埋入し、総入れ歯の形状を模した上部構造を取り付けるという治療手段です。この治療法は、インプラントの挿入数を最小化し、手術の所要時間も短くすることが可能です。全体的な治療費も、通常のインプラント治療よりも安くなります。具体的な費用相場については、以下の通りです。
1.検査・診断料:1.5万~5万円
2.インプラントの手術費用:100万~200万円
3.上部構造(=人工歯)の費用:100万~200万円
合計:200万~250万円
上記の費用相場は、上顎または下顎の一方だけをAll-on-4で治療した場合のもので、上顎と下顎の両方をAll-on-4で治療すると400万~500万円程度かかります。
どの治療の場合でもクリニックにより治療費用は異なるため、具体的な費用は各クリニックに問い合わせることをおすすめします。
インプラント治療と他の治療法の費用相場の違い
インプラント治療、ブリッジ、そして入れ歯は、それぞれ異なる費用相場を持つ歯科治療法です。インプラント治療は高価で、一般的には1本当たり約30万~50万円が相場となります。これは、治療に必要な設備やインプラント本体の高価さが主な理由です。
一方、ブリッジの費用は、保険診療だと約2万〜3万円、自費診療だと約7〜15万円となります。ブリッジは失われた歯の代わりに、その両側の歯を削って基盤として使用し、その上に装着する装置のことを指します。
最後に、入れ歯の費用は、保険診療だと約5千〜2万円、自費診療だと約15〜80万円となります。 ただし、インプラントはその耐久性から長期的に見ると経済的な選択となり得ます。ブリッジや入れ歯とは異なり、頻繁な再治療が必要となることは少ないからです。これらの治療法はそれぞれ異なる特性と費用を持つため、患者さんの状況とニーズにより適切な選択が必要となります。
インプラント治療は保険が適用されない
インプラント治療は、基本的には自由診療であり、公的医療保険の適用は受けられません。これは、歯の欠損に対してはブリッジや入れ歯という代替の治療法があり、それらでも十分に欠損に対応可能であるためです。
しかし、例外的に、「先天的な異常により、顎の骨が1/3以上欠損している」場合や、「疾病や事故により、顎の骨が大部分失われた」場合は、入れ歯やブリッジでは治療が困難であるため、インプラント治療が保険適用の対象となります。ただし、これらの場合でも、一定の条件を満たした大学病院などの医療施設で治療を受けることが必要です。インプラント治療の保険適用は特殊なケースに限られています。
インプラント治療の費用で大事な点
インプラント治療の費用を確認する際に大事な点についても解説します。
インプラント治療の総額と内訳を確認する
インプラントの相場は上述の通りです。
抜歯が必要な場合や仮歯を取り付ける場合など、標準的な治療以外の追加費用が発生する可能性もあります。そのため、見積もりにこれらの項目が含まれていない場合や、費用が明らかに高い、あるいは低い場合は、歯科医師に詳しく尋ねることをおすすめします。
インプラント治療の費用が安い歯科医院には注意する
インプラント治療は高額な自由診療であり、その費用を抑えたいと考える方も多いでしょう。インターネット等で格安のインプラント治療を提供する歯科医院を見つけた場合、1点気を付けなければならない点があります。それは「総額の確認」です。例えば、インプラント体の費用が10万円となっていても、総額が30万円以上する場合などがあります。
歯科医院を選ぶ際に注目すべき点
では、インプラント治療を受ける歯科医院をどのように選べばいいのでしょうか。最後に、歯科医院を選ぶ際に注目すべき点をお伝えします。
インプラント治療の経験や技術があるかどうか
インプラント治療は精密な手術であり、医師の技術力と経験が治療結果に大きく影響します。そのため、歯科医院を選ぶ際には、以下の点を確認することが重要です。
日本口腔インプラント学会の専門医または指導医は、インプラント治療に関する知識や経験を持つと認められた歯科医師に与えられる資格です。この資格を持つ医師は、インプラントの診断や治療方針の選択、適切な処置が行えると認められています。
日本口腔インプラント学会 https://www.shika-implant.org/list/index.html
インフォームドコンセントをしっかり行っているか
インプラント治療を受ける際には、歯科医師からの詳細な説明とその上での同意、すなわち「インフォームドコンセント」が重要となります。以下の要素が説明されるべきです。
1. 検査結果や病態、病名、治療方針: 歯科医師は、患者さんの状態と治療の必要性について詳しく説明するべきです。
2. インプラント治療の説明: インプラント治療のメリットとデメリット、それに対する他の治療の選択肢、そして治療スケジュールについての説明が必要です。
3. アフターケアの確認: 万が一の不具合が発生した場合のアフターケアについても確認することが重要です。
これらの説明を理解し、納得した上で治療に同意することが、インフォームドコンセントの本質です。
まとめ
ここまで奥歯のインプラント治療の費用相場についてお伝えしてきました。
奥歯のインプラント治療の費用相場の要点をまとめると以下の通りです。
- 奥歯のインプラント治療の費用相場は、1本当たりおおよそ30万円から50万円程度
- インプラント治療の費用相場は、1本当たり約30万~50万円に対して、ブリッジの費用相場は2万~3万円程度、入れ歯の費用相場は約5千円~2万円とされている
- インプラント治療は基本的に保険が適用されない
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。