インプラント

インプラント治療を受ける病院選びのポイントとは?治療の流れについても解説!

インプラント治療を受ける病院選びのポイントとは?治療の流れについても解説!

インプラントは、外科手術を必要とする点で、ブリッジや入れ歯といった従来法と大きく異なります。歯科医師に求められる知識や技術は高く、歯科医院には先進の医療機器が完備されていなければなりません。そのためインプラント治療を受ける病院選びは慎重に行う必要があります。「家から近い」とか「費用が格安」といった理由だけで病院を選ぶと、インプラント治療で後悔や失敗をする可能性が高くなるため注意しましょう。ここではそんなインプラント治療を受ける病院選びのポイントや治療の流れについて詳しく解説します。

インプラントとは

インプラントとは はじめに、インプラント治療の基本やメリット、費用などを確認しておきましょう。

インプラント治療の基本事項

インプラントは、失った歯を補うための治療法です。専門的には補綴(ほてつ)と呼ばれるもので、欠損部の顎の骨にチタン製の人工歯根を埋めて、失った歯を歯根から回復させます。人工歯根にアバットメント(連結装置)と上部構造(人工歯)を装着すれば、独立して機能する補綴装置に仕上がります。

インプラント治療のメリット

失った歯をインプラントで治療すると、次のようなメリットが得られます。

【メリット1】しっかり噛める人工歯が手に入る
インプラントは、歯科治療で唯一、失った歯を歯根から回復できる装置です。噛んだ時の力は、人工歯根と顎の骨で受けとめられるため、硬い食べ物や弾力性の高い食べ物でもしっかり噛めます。歯を失う前と同じように食事を楽しめることは、患者さんにとって何にも代えがたい喜びとなるでしょう。

【メリット2】欠損部の骨が痩せにくい
ブリッジや入れ歯は、欠損部の歯茎の上に、人工歯が配置されるだけなので、噛んだ時の力は顎骨に伝わりません。そのためブリッジや入れ歯による治療では、顎の骨が徐々に痩せていく現象を抑えられないのです。一方、インプラントは噛んだ時の力を人工歯根と顎の骨で受け止められることから、経年的な顎骨の吸収が起こりにくくなっています。ケースによっては、インプラント治療前より顎の骨が強くなることもあります。

【メリット3】見た目が自然で美しい
インプラントは歯に似た構造を採っているため、余計なパーツが付随していません。歯を失う前とほぼ同じ状態に仕上げることができるので、補綴装置に高い審美性を求める人には、インプラントが推奨されます。

【メリット4】装置が長持ちしやすい
インプラントの平均的な寿命は10〜15年程度で、正しいセルフケアと定期的なメンテナンスを継続していれば、その寿命を延ばすことも難しくはありません。保険診療の入れ歯の寿命は4~5年程度、ブリッジは7〜8年程度といわれていることを踏まえると、インプラントは装置が長持ちしやすいといえます。

【メリット5】残った歯に負担をかけない
ブリッジは、残った歯を大きく削らなければなりません。入れ歯は、噛んだ時の力を残った歯だけで受けとめなければなりません。その点、インプラントは残った歯を削る必要がなく、噛んだ時の力も人工歯根と顎の骨で受けとめることができるため、残った歯にかかる負担はゼロといっても過言ではないのです。

インプラント治療の費用

インプラントには、原則として保険が適用されません。そのためインプラント治療にかかる費用は、患者さんの全額自己負担となります。インプラント治療の費用は、1本あたり300000〜500000円程度が全国的な相場です。この費用には、人工歯根や埋入手術、上部構造の製作にかかる費用が含まれています。インプラントのカウンセリングや精密検査にかかる費用は別途、請求されるケースがほとんどです。

インプラント治療を受けられない人の特徴

インプラントは、口腔内の環境に影響されにくい治療法ではありますが、顎の骨や全身状態によっては、適応が難しい場合もあります。具体的には、以下のようなケースでは、インプラント治療が受けられない可能性があります。

【ケース1】成長期の子ども
成長期は、歯の交換や歯並び・噛み合わせの変化、顎の骨の成長など、口腔内環境が大きく変わる時期なので、顎の骨にしっかりと固定するインプラントは適応しにくいです。厳密に禁忌とされているわけではありませんが、多くの歯科医院では未成年をインプラント治療の適応対象から外しています。

【ケース2】顎の骨の状態が悪い
顎の骨の幅や深さ、密度などが不足している場合は、インプラントを安全に埋め込むことが難しいです。もちろん、骨造成で対応できる範囲の症状ならインプラント治療ができることもあります。

【ケース3】重度の歯周病にかかっている
インプラント治療を成功させる上で、歯周病は大きな障害になりかねません。なぜなら歯周病は進行する過程で、顎の骨を破壊する病気だからです。顎の骨が下がったり、密度が低下したりすると、人工歯根を支えられなくなるため、その状態でインプラントを適応することも難しいです。ただし、重度の歯周病であっても治療によってきちんと治すことができれば、インプラント治療も可能となります。

【ケース4】重度の全身疾患にかかっている
重度の高血圧症や糖尿病は、手術中の全身管理が難しいことから、インプラント適応外となりやすいです。とくに糖尿病は、歯周病リスクを増大させることから、予後にも悪影響を与えます。骨の密度が低下する骨粗鬆症も病状をコントロールできない状態では、インプラント治療が難しくなります。いずれも専門の医療機関で治療を受けて、全身状態を安定させることができれば、インプラント治療も可能となるでしょう。

インプラント治療の流れ

インプラント治療の流れ 次に、インプラント治療の流れを簡単に解説します。

インプラントの事前検査

インプラント治療では、口腔内診査、レントゲン撮影といった一般的な検査に加えて、歯科用CTによる精密検査も必要となります。顎の骨の状態を3次元的な画像で確認できるCTは、人工歯根を埋入するインプラント治療において、極めて重要な検査となります。

検査が終わったら歯科医師が診断を下し、治療計画を立案します。一般的には、事前検査から1〜2週間後に再び来院して、治療計画の説明を受けることになります。

インプラントの手術

顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込む外科手術を実施します。インプラントの外科手術は、1回法と2回法の2種類に分けられます。

・1回法の場合
1回法は、文字通りインプラントの手術を1回で終わらせる方法です。歯茎をメスで切開して、骨にドリルで穴を開けて、人工歯根を埋め込みます。続けて、上部構造の土台となるアバットメントを装着したら1回法の手術は完了です。1回法は、口腔内にアバットメントの一部が露出した状態で手術が終わります。

・2回法の場合
2回法では、1回目の手術で人工歯根を埋め込み、歯茎を縫合して治癒期間へと移行します。人工歯根と顎の骨が結合するまでには、3〜6ヵ月程度の期間を要します。2回目の手術では再び歯茎を切開して人工歯根を露出させ、アバットメントを取り付けたら終了です。

インプラント手術後のケア

インプラント手術後は、外傷を負った状態と同じであるため、感染予防を徹底する必要があります。歯磨きやうがいによって口腔衛生状態を良好に保つことはもちろん、患部を刺激するような熱い食べ物や辛い食べ物はできるだけ避けるようにしましょう。インプラント手術後の激しい運動や飲酒、熱い湯船に浸かるなどの行為も傷口が開いたり、再び出血したりするなどのトラブルが予想されるため、歯科医師の指示通り安静に過ごすよう心がけることが大切です。

・上部構造の製作と装着
人工歯根にあたる上部構造の製作と装着は、1回法と2回法で差はありません。一般的な被せ物治療と同様の流れで診療が進みます。

メンテナンス

インプラント治療が完了したら、歯科医院での定期的なメンテナンスを受ける必要があります。3〜6ヵ月に1回くらいの頻度でメンテナンスを受けることで、インプラントの不具合や歯周組織の異常などを早期に発見できます。また、インプラント治療後のメンテナンスの受診は、インプラント保証を受けるための条件ともなっています。何らかのトラブルでインプラントが脱落した場合に無償で再治療を受けるためにも、定期的なメンテナンスはしっかり受けるようにしましょう。

インプラントの病院選びのポイント

インプラントの病院選びのポイント ここからは、インプラント治療で失敗や後悔をしないための病院選びのポイントを解説します。

治療や手術の経験は豊富にあるか

インプラントの病院選びで第一に着目すべきは治療・手術の経験です。インプラントは比較的新しい治療法であり、専門的な知識や技術を要するものなので、誰でも同じように施術できるわけではありません。その他の先進的な医療と同様、治療や手術の経験が豊富な歯科医師でなければ、安心して施術を任せられないのです。具体的な経験については、日本口腔インプラント学会の専門医の資格を持っているかどうかが目安となります。もちろん、専門医の資格をもっていなかったとしても、学会に所属して論文を発表したり、さまざまな症例を経験していたりするだけでも、実績の多さを推し量ることは可能です。

インプラントに保証はあるか

メジャーなインプラントメーカーでは、インプラントに5年保証や10年保証をつけてくれます。インプラントを埋入してから5年以内、あるいは10年以内であれば、インプラントが脱落した時などに無償で再治療を受けられるのです。新興のインプラントメーカーには、こうした保証がつかないことが多く、万が一の時の経済的負担が大きくなるため、十分な注意が必要です。

メンテナンス体制は充実しているか

上述したように、インプラントは治療後のメンテナンスが重要となります。適切なメンテナンスを継続的に受けることで、インプラントの寿命を延ばせるのです。そのためインプラント治療は、メンテナンス体制が充実している歯科医院が望ましいといえます。

院内の設備が整っているか

精密検査のための歯科用CTや人工歯根の埋入シミュレーションを行える機材、外科手術を安全に実施できる診療環境など、院内の設備が整っている歯科医院かどうかもしっかりチェックしましょう。

衛生管理が徹底されているか

インプラントの手術は、衛生管理が徹底された環境でなければ行うことが難しいです。外科手術専用の部屋が完備されているのが理想的ですが、通常の診療室であっても感染対策が徹底されていれば問題ありません。余裕があれば、診療器具を滅菌する装置についても、新しいものを導入しているか確認しましょう。

歯科医師やスタッフとコミュニケーションが取りやすいか

インプラント治療は、むし治療や歯周病治療とは根本的に異なる面が多いです。例えば、人工歯根を埋め込む手術を控えている場合、前日はどのように過ごしたら良いのか、手術後に顎の腫れや痛みが強くて不安になってしまった。そんな時に歯科医師をはじめとしたスタッフとコミュニケーションが取りやすい環境であれば、遠慮せずに質問することができます。逆に、コミュニケーションが取りにくい環境だと、不安や疑問を抱えたまま手術を受けることになるため、治療結果がイメージと違ったなど、後悔する可能性も高くなる点に注意する必要があります。

インプラント以外の治療方法

インプラント以外の治療方法 失った歯の治療法としては、インプラント以外にブリッジ・入れ歯という選択肢があります。最後にこの2つの治療法とインプラントの比較を簡単に紹介します。

ブリッジとインプラントの比較

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を大きく削って、人工歯が複数連なった被せ物を装着する治療法です。歯を1本失ったケースでは、基本的に2本の歯を削って支台歯とする必要があります。インプラントと同じ固定式の装置ですが、欠損部に人工歯根を埋め込まないため、噛み心地はブリッジの方が劣ります。装置の構造上、見た目もやや不自然になりがちです。また、ブリッジの寿命は、インプラントよりも短くなるのが一般的ですが、保険が適用されるので、経済面においては優れているといえます。

入れ歯とインプラントの比較

入れ歯は、人工歯と義歯床(ぎししょう)、留め具であるクラスプから構成される装置です。入れ歯は、患者さんが自分で着脱する装置であることから、インプラントよりも安定性が悪いです。見た目も不自然になることが多く、食事や会話の時に入れ歯がズレたり、外れたりすることも珍しくありません。その一方、入れ歯は保険が適用される、壊れた時の修理がしやすい、外科手術が不要で治療期間も短い、といったメリットを伴います。

編集部まとめ

編集部まとめ 今回は、インプラント治療の流れや病院選びのポイントについて解説しました。本文でも紹介した通り、インプラントは従来法とは異なるプロセスが必要となる治療法なので、どこで受けても同じ結果が得られるわけではありません。そのためインプラント治療を受ける病院を選ぶ際には、インプラント保証の有無、メンテナンス体制の充実度、院内の設備、衛生管理の徹底、歯科医師やスタッフとのコミュニケーションの取りやすさなどを確認することが大切です。インプラントは、高額な費用がかかるだけでなく、身体の中に人工物を入れる治療でもあるので、病院は慎重に選ぶようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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