テレビを見ていると、白い歯が大変美しく、歯並びが綺麗に整った芸能人の方を見かけることもあるのではないでしょうか。中にはインプラント治療によって白く美しい歯並びを手に入れたと公表をしている芸能人の方もいます。
芸能人として人前に立つ方にとっては、綺麗に整った白い歯が自分自身の自信に繋がっているかもしれません。
なぜ芸能人はインプラントを選ぶことが多いのか、インプラントの特徴・メリット・オールオン4について解説します。
芸能人がインプラントを選ぶ理由は?
失った歯の治療には、インプラント以外に入れ歯・ブリッジといった治療方法もあります。しかし、芸能人はインプラントをする方が多いようです。自費での治療が原則となるインプラントをする理由は何があるのでしょうか。
審美性が高いから
インプラントは入れ歯・ブリッジといった治療法に比べ、自分の歯に近い状態での回復が可能になります。そのため、見た目・歯並びなどの自然な状態を保つことが可能です。
入れ歯・ブリッジは外科手術を必要としないメリットがありますが、審美性の観点ではインプラントには劣り、顎の骨がやせてしまうデメリットもあります。
費用も総入れ歯だと35万~50万円・ブリッジでは7万~15万円とインプラントより安価ですむものの、審美性とどちらをとるか悩むことになるでしょう。
自分の歯の状態に近いという事は、1本や数本のインプラントをした場合でも、歯・顔の印象を損なう可能性も少ないです。また、違和感のない状態で歯の修復が可能になり、インプラント前後での見た目の印象・自身への影響も少なくなります。
芸能人は、顔の印象が非常に大切です。そのため、審美性が良いインプラントは、芸能人が治療を選択する大きな理由の1つです。
耐久性が高いから
インプラントの耐久性はどれくらいあるのでしょうか。
インプラントをした歯の10年間の残存率は90%前後もあり、耐久性は非常に高いといえます。ブリッジと比べた場合、10年間の残存率は同等であるという報告もあります。
ほかの治療方法と比べてもインプラントに耐久性のデメリットはほとんどなく、同等の耐久性があるといえるでしょう。
インプラントの審美性にプラスして得られるこの耐久性の高さが、芸能人が積極的にインプラントを選ぶきっかけに繋がったのではないでしょうか。
長期的に見るとコストパフォーマンスが高いから
インプラントは自費での治療が原則となり、保険での治療はできません。保険を使用した治療と比べると、インプラントは費用が高くなります。
しかしながら、インプラントは耐久性にも優れているため、治療後も長期間インプラントを使用することが可能です。また、自分の歯の状態に近いため、使用時の違和感は少なく、機能性や快適性も高いです。
インプラントは審美性・機能性・耐久性・快適性も高く、コストパフォーマンスが高い治療方法であるといえます。
インプラントの特徴
失った歯を治療する方法であるインプラントですが、審美性・耐久性などのほかに、どのような特徴があるのでしょうか。
インプラント治療はどのように行うのか・どのような物を歯に埋め込むのか、インプラントの特徴について解説していきます。
外科的手術で顎の骨にインプラント体を埋め込む
インプラントという単語はそもそも「人工物を体に入れる」ことの総称であり、歯科におけるインプラントは「歯を失った顎の骨へ人工歯を埋め込む」ことをいいます。
インプラントで使用される人工歯は、チタンが使用されるのが一般的です。これはチタンは金属アレルギーを引き起こしにくいといわれているためです。ただしチタンを使用していてもアレルギーを引き起こすことがごく稀にあります。
外科的手術で体内に金属であるチタンを埋め込む前に、アレルギー体質の方はあらかじめ検査を受けておくと良いでしょう。
上部構造・アバットメント・インプラント体という構造が一般的
インプラントは3つの構造に分けられています。1つは顎の上にあり、表面上にみえる歯の部分にあたる上部構造です。
上部構造は審美性にも影響する部分になります。材質は、セラミックやレジンというプラスチック、金合金などが使用されるのが一般的です。
インプラント体は、顎の骨に埋め込む部分のことをさし、歯根部にあたります。材質は金属であるチタンなどが使用されることが多いでしょう。
アバットメントは、上部構造と歯根部であるインプラント体をつないでいる部分です。歯の土台にもなるため、支台部ともいいます。インプラント体同様、チタン等の金属が使用されています。
ある程度顎の骨に厚みが必要
インプラント体の長さは6~18mmほどです。インプラント体が短くなると、土台の安定性が損なわれ、咀嚼による歯や顎への負荷に耐えられなくなってしまいます。そのため、ある程度の厚みが顎の骨に必要となります。
歯周病の進行・術後のメンテナンス不足による歯周炎が起こると、土台の骨が支えられなくなることも考えられるでしょう。
インプラントは、土台の骨の健康と厚みがあることが必要です。
インプラントのメリットは?
インプラントは、機能性や審美性が高いことがわかりました。しかしどれだけ見た目が良くても食べるためにしっかりと噛めなければ、使い心地が良いとはいえません。
インプラントには、どのようなメリットがあるのか解説していきます。
天然歯のようにしっかりと噛める
インプラントは、自分の歯、いわゆる天然歯に近い状態で失った歯を回復することが可能です。
手術によりインプラント体を骨に埋め込んでいるため、人工歯の安定性・耐久性が高く天然歯に近い状態で噛めるようになります。
入れ歯では、歯によるサポートが少ないので、顎の骨にサポートされたインプラントのほうがしっかりと噛めるようになるでしょう。
よく噛めるようになり消化が良くなる
インプラントを含む欠損補綴治療を行うことで、咀嚼効率が上がり、食品が消化しやすくなります。
欠損補綴治療とは、歯が欠損した部分を補う治療方法です。
インプラントによってしっかりと噛むことが可能になると、咀嚼の機能低下をおこさずに食べ物を唾液でまとめ、噛みやすく飲み込みやすくなります。
そのため消化機能の回復に繋がるでしょう。
自然な見た目
歯の見た目は、顔全体の印象に影響を与えます。歯の色・歯並び・抜けた歯は、見た目の印象を左右することに繋がるでしょう。
笑ったときの白い歯や綺麗な歯並びは、清潔感・さわやかさなどの良い印象を与えます。歯を失った場合でも、天然歯に近い状態で回復させることは、大変重要なことです。
歯を失った場合の治療法は、インプラントのほかに部分床義歯・総義歯・ブリッジがあります。その中でも、インプラントはほかの治療法より天然歯に近い状態のため、見た目に優れていることもあります。
健康な歯を削る必要がない
インプラントには、健康な歯を削る必要がないというメリットもあります。
失った歯を補う方法として入れ歯やブリッジを選択した場合、隣の歯を削って形を整え、支えにする必要があります。そのため、健康な歯に負担をかけてしまうことがデメリットです。
インプラントの場合は、一部の治療法以外では周りの歯を支えにすることなく、独立した治療を行います。顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上から人工歯を被せる治療です。
健康な歯を削らずに人工歯を入れられるため、隣の歯に負担をかけたりせず、歯の健康を守ることにもつながるでしょう。
顎の骨が痩せるのを防げる
インプラントには、顎の骨が痩せるのを防げるというメリットもあります。天然歯の場合、歯根部分は顎の骨に埋め込まれている状態です。
歯を失っても何もしなければ、顎の骨は徐々に痩せてしまいます。そのため、顔の形や表情にまで影響を与えたり、残りの歯にも悪影響を及ぼしたりしかねません。
しかし、インプラントの場合は人工の歯根が顎の骨に刺激を与えることによって、骨の吸収や萎縮を防いでくれる効果があります。
インプラントを入れることにより、顎の骨を強化し、自然な顔立ちや笑顔を保つのに役立つでしょう。
インプラントのデメリットは?
さまざまなメリットがあるインプラントですが、デメリットもいくつかあります。自由診療となるため、費用が高額になりがちな点や、外科的手術を伴うため身体に負担がかかる点などです。
インプラント治療を検討する際には、メリットだけでなく、デメリットもしっかり考慮したうえで治療法を決定することがおすすめです。次に、インプラントのデメリットについても詳しく解説します。
自由診療となり費用が高額になりがち
インプラントのデメリットの1つは、自由診療になるため、費用が高額になりがちな点です。また、歯科医師の技術力が求められる治療であることや、高品質な材料が必要なことも治療費が高額になりがちな理由です。
インプラントは原則的に自費診療で保険適用外となり、治療にかかった費用は全額自己負担になります。そのため、保険適用のブリッジや入れ歯より費用が高額です。
また、インプラントの治療が終わった後もメンテナンスが必要になりますが、メンテナンスの費用も自己負担になります。追加の費用がかかることも覚えておきましょう。
ただし、インプラント治療にかかった費用は医療費控除が可能で、実質的な医療費の負担を抑えることが可能です。また、メリットでも触れたように、長期的にみるとインプラント治療のコストパフォーマンスは高いといえます。
インプラントのおおよその費用については、後ほど詳しくご紹介します。
外科的手術で身体に負担がかかる
インプラントのデメリットには、外科的手術を行うため、身体に負担がかかることも挙げられます。また、感染や出血などのリスクもあります。
インプラントを埋入するためには、歯茎を切開して顎の骨を削る外科的手術が必要です。局所麻酔や静脈内鎮静法なども使用しますが、身体への負担は避けられないでしょう。
高齢の方や全身性の疾患がある場合など、手術が体力的に難しい場合は、インプラント治療を行えないこともあります。持病や基礎疾患がある方は、カウンセリングで手術が可能かどうかを確認してください。
手術当日はできるだけ締め付けの少ない楽な服装にすることにより、身体的な負担を軽減できるでしょう。また、手術後は入浴や激しい運動を行うと出血が止まりにくくなるため、控えましょう。
インプラントの治療法の一つであるオールオン4とは?
オールオン4は上顎、または下顎のすべての歯か、ほとんどの歯を失った方に対して行われるインプラント治療です。通常のインプラント治療は1本の歯に対して1本のインプラントを埋め込みます。
しかし、オールオン4の場合は、まず顎の骨に4本のインプラントを埋め込みます。それから、埋め込んだインプラントの上に12本の連結した人工歯を固定する方法です。
なお、4本のインプラントを埋め込むのではなく、6本のインプラントを埋め込むオールオン6と呼ばれる方法もあります。
オールオン4のメリットの1つとして、体への負担を軽減できることが挙げられます。すべての歯に対してインプラントを入れると、外科手術による体への負担は大きなものです。
オールオン4なら4本のインプラントの埋め込みのみで済むため、体への負担を軽減できます。また、費用を抑えられるのもメリットです。
埋入するインプラントの数が少ないため、少ない費用で治療が可能になります。総入れ歯が合わない方や、多くの歯を失った方におすすめの治療法です。
インプラントの費用はどのくらい?
すでに説明したように、インプラント治療は自由診療となるため、費用がいくらかかるかは歯科医院によって異なります。
とはいえ、ある程度の相場は決まっており、治療を受ける歯科医院がどこかに関わらずおおよその費用の計算が可能です。
ここでは、インプラント1本あたりと、全体をインプラントにする場合(オールオン4)の費用の相場をご紹介します。
まず、インプラント1本あたりの費用の相場は約30万〜50万円(税込)です。これは人工歯根の埋め込みから人工歯までを含んだ費用になります。
もし、人工歯根を埋め込む顎の骨が薄い場合や量が少ない場合は骨を増やすための手術が必要です。この場合、5万~20万円(税込)程度がさらにかかります。
次に、全体をインプラントにする場合(オールオン4)ですが、上顎・下顎のどちらか片側で200万~250万円(税込)が相場です。
インプラントの費用は歯科医院によって異なりますが、必ずしも安いところが良いわけではありません。品質・安全性・信頼性なども考慮して選びましょう。
まとめ
芸能人がインプラントを選ぶ理由には、審美性・耐久性・長期的なコストパフォーマンスが高いなどさまざまなものがあります。
芸能人に限らず、一般人でもインプラントを選択することにはさまざまなメリットがあるといえるでしょう。
とはいえ、デメリットもありますし、ほかの治療法が良い場合もあります。デメリットも把握したうえで治療法を検討することが大切です。
すべての歯を失った方の場合は、オールオン4と呼ばれるインプラント治療法もあります。まずはどのような治療方法があるのか、歯科医院で相談してみてください。
参考文献