インプラント治療を受けた場合、フッ素入りの歯磨き粉は使っても良いのでしょうか? 本記事では、インプラントとフッ素の関係について、以下の点を中心にご紹介します。
- インプラントにフッ素入り歯磨き粉を使用してもよいのか
- フッ素の期待できる効果
- 歯磨き粉選びのポイント
インプラントとフッ素の関係について理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
インプラントにフッ素入り歯磨き粉を使ってもいいの?
- インプラントにフッ素入り歯磨き粉を使ってもいいですか?
- フッ素は、pHが低い場合は、インプラントに主に使用されるチタンを腐食させる可能性がありますが、市販の歯磨き粉に含まれるフッ素濃度の上限は、1500ppmとされています。 また、上限量の1500ppmが入っていたとしても、実際に歯磨きをするときは唾液で稀釈され、濃度は数十ppmにまで下がると言われています。
さらに、日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会は、フッ素が配合された歯磨き粉を、インプラントをうめている方にも推奨すべきであるという見解を発表しています。 そのため、インプラント治療を受けていたとしても、フッ素入り歯磨き粉を使ってもよいと言えます。
- なぜインプラントにフッ素が悪影響を及ぼすと言われていたのですか?
- インプラントを長く使っていくためには、適切なセルフケアが必要なことが知られています。セルフケアにおいて、歯磨き粉はよく使用されるオーラルケア用品です。日本で販売されている多くの歯磨き粉にはフッ素(フッ化物)が配合されており、歯磨き粉に含有されたフッ素は虫歯予防に効果を発揮します。
一方で、インプラントが口腔内にある方にとって、フッ素が悪影響を与えるのではないかという、懸念が生じてきました。いくつもの基礎研究の結果、フッ素がインプラントのチタンを腐蝕することが判明し、フッ素を使用しないことが推奨された時代がありました。
現在では、フッ素は特定の条件下でのみ、インプラントのチタンに悪影響を与えることが分かっており、歯磨き粉に配合されているフッ素は使用しても問題がないことが分かっています。
フッ素入り歯磨きの期待できる効果
- フッ素にはどのような効果が期待できますか?
- フッ素には、虫歯の発生を防ぐ効果が期待できるとされています。
フッ素は、歯から溶け出したカルシウムやリンを補うことで、エナメル質の修復を促進します。
またエナメル質が酸に溶けにくい性質に変えることによって、虫歯への抵抗力も高めると言われています。 さらにフッ素は、虫歯を引き起こす細菌の働きを弱めることで、酸の生産も抑制します。
- フッ素入り歯磨き粉のメリットとは何ですか?
- フッ素入りの歯磨き粉には、以下のようなメリットがあります。エナメル質を強化する: フッ素は、歯の表面を覆うエナメル質を強化する働きを持っています。 エナメル質は酸により溶けることがあり、溶けてしまうと歯が守られません。 フッ素入りの歯磨き粉を使うことによって、エナメル質を酸から守り、強い歯を維持できると言われています。初期虫歯を予防する: フッ素は、初期の虫歯を予防する働きがあるとされています。 虫歯菌が酸を作り歯を溶かすと、溶けた部分を修復するために再石灰化が起こります。 フッ素は再石灰化に必要なカルシウムやリンを補うことで、再石灰化を促進し、虫歯予防につながります。虫歯菌の動きを抑制する: フッ素は、虫歯菌の働きをおさえる効果も期待できるとされています。 虫歯を作る細菌が増えると、歯垢ができ歯が溶けますが、フッ素は歯垢の形成を抑制すると言われています。歯垢の形成が抑制されるため、歯への細菌の付着量や病原性が減少します。
インプラントがある場合の歯磨き粉の選び方と歯磨き以外のケア
- インプラントがある場合の歯磨き粉の選び方のポイントは何ですか?
- インプラント治療を受けた場合、歯磨き粉を選ぶ際のポイントは以下の3つです。研磨剤の粒子が粗い歯磨き粉を避ける: 舌でざらざら感を感じられるほど大きな粒子の研磨剤が配合されている歯磨き粉は、歯茎とインプラントの隙間に入りこみ炎症を引き起こす可能性があります。 そのため、研磨剤の粒子が粗い歯磨き粉には注意しましょう。フッ素入りの歯磨き粉を選ぶ: フッ素は上述の通り、虫歯を予防する働きがあるため、フッ素入りの歯磨き粉を選ぶとより良いでしょう。担当医に相談した上で自身に合った歯磨き粉を選ぶ: インプラント治療後にどのような歯磨き粉を選ぶのが良いかについては、自分自身の口内の状態に合わせて適切な歯磨き粉を選べるよう、担当医に相談することも重要です。
- インプラントがある場合の歯磨き以外のケアを教えてください。
- インプラント治療後のケアは、歯磨きだけでなく、他のお手入れ用品も重要です。手術が終わった直後は、傷口が完全に治るまで、やわらかいブラシを使うことが推奨されます。また、歯周病の予防のために、毛先が細いブラシを使用することが効果的とされます。さらに、歯と歯の間や歯ぐきの端、奥歯の裏側など、磨きにくい部分のケアには、フロス、歯間ブラシ、タフトブラシなどの使用が推奨されます。これらの用品は、お口の状態に合わせて選び、使用することが、インプラントを含むお口全体の健康を維持するために重要です。
- インプラントに良くない歯磨き粉はありますか?
- 前述した通り、粒子の粗い研磨剤入りの歯磨き粉は、注意して使用するのが良いでしょう。
歯磨き粉のパッケージに、研磨剤入りとは表記されず、顆粒入りと記載されているものもあるため、購入時には成分表示を確認するよう注意しましょう。
編集部まとめ
ここまで、インプラントとフッ素の関係についてお伝えしてきました。 インプラントとフッ素の関係の要点をまとめると、以下の通りです。
- インプラント治療を受けていても、フッ素入り歯磨き粉を使用しても良いとされている
- フッ素には、虫歯の発生を防ぐ効果が期待できるとされている
- インプラントがある場合の歯磨き粉選びのポイントは、研磨剤の粒子が粗い歯磨き粉に注意する、フッ素入りを選ぶ、担当医に相談し適切な歯磨き粉を選ぶことである
これらの情報が、少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。