インプラント

ワンデイインプラントとは?メリット・デメリットや安全性を解説

ワンデイインプラントとは?メリット・デメリットや安全性を解説

インプラントは審美性や機能性に優れているため、インプラント治療を検討する方は少なくありません。

しかし、インプラントは顎の骨に埋め込むため、顎の骨と結合するまで待つ必要があります。そのため、ほかの補綴治療も治療期間が長くなるのがデメリットです。

そのため、歯を早く入れたい方にとってはデメリットといえるでしょう。そのような方におすすめなインプラント治療の1つに、ワンデイインプラントがあります。

ワンデイインプラントは従来の治療法とは異なり、1日で仮歯をつけることが可能です。

本記事ではワンデイインプラントについて、メリット・デメリットや安全性を解説していきます。最後までお付き合いいただけますと幸いです。

ワンデイインプラントとは?

歯磨き指導をする女性

ワンデイインプラントは名前のとおり、1日で仮歯までの取りつけが完了するインプラント治療の術式の1つです。

総入れ歯の方や多くの歯を失った方に4〜6本のインプラントをバランスよく埋入し、その日のうちに理想的な仮歯を固定することが可能です。

当日にインプラントと仮歯まで装着する方法では事前の準備が大変重要です。施術を担当する歯科医師側は手術のシュミレーション、手術用のガイド作製、仮歯の材料準備などがあります。

患者さんは体調の管理、スケジュールの管理、術後に必要なケア(食べやすい食事)を準備しておく必要があります。

治療回数を減らしたい方にはメリットが大きい治療ですが、長時間の治療が苦手な方には不向きな場合があるので注意が必要です。

ワンデイインプラントでは、あらかじめインプラントの埋入位置や最終的なかぶせものの形態を設計し、仮歯を作製します。設計に従った位置へインプラントを埋入することで、手術をしたその日に仮歯をインプラントに固定することができるようになるため、1日で治療を完了することが可能です。

一般のインプラント治療では埋め込み手術から、通常半年ほどの期間を経て人工歯の設置が行われます。一方で、ワンデイインプラントは手術当日に人工の歯を入れるため、治療期間の短縮につながります。

片顎手術の目安として、ワンデイインプラントは、インプラント埋入までに必要な通院回数を2回に抑えることが可能です。初回時にカウンセリングや治療に必要な診察・検査などを行い、治療計画の決定をします。2回目の受診時には、インプラント埋入手術・人工歯の装着まで進むため、2回の通院でインプラントの埋入までが終わります。

また、ワンデイインプラントには年齢制限はありません。総義歯で噛めない・顎全体が重度の歯周病にかかっている・先天的に歯がない・お口のトラブルに悩む高齢の方などに適しています。

ワンデイインプラントのメリット

⚪︎の札を持つ女性

ワンデイインプラントのメリットとして、主に次の3つが挙げられます。

  • 1日で仮歯が入るため不便が少ない
  • 身体への負担を軽減しやすい
  • 一般的なインプラント治療よりも費用を抑えやすい

1日で仮歯まで入ることにより、さまざまなメリットを得られます。下記ではこれら3つのメリットを解説します。

1日で仮歯が入るため不便が少ない

ワンデイインプラントはその日のうちにシミュレーションを行い、仮歯を入れます。その日のうちに固定を行うため、歯がないことに対する不便が少ないです。

欠損している歯が多い程、歯がないと不便を感じることが少なくありません。仮歯を入れるまで数ヵ月かかるため、しばらくは不便な状態で過ごすことになります。

思うように食べ物を噛めないことに対する不満によるストレスを感じる方もいるでしょう。こうした面においても、1日で仮歯まで入ることはメリットが大きいといえます。

身体への負担を軽減しやすい

口元を触る女性

ワンデイインプラントは1日がかりの治療となるため、心身の負担は少なくないでしょう。

しかし、全顎の場合は数本のインプラントで対応します。そのため、通常のインプラントと比べると身体への負担を軽減しやすいです。

顎の骨が少ない方はインプラントが難しいこともあります。その場合、骨造成で骨の量を増やしてから治療をするため、心身の負担が増えるでしょう。

ですが、ワンデイインプラントなら顎の骨が少なくても骨造成なしで治療を受けられます。全顎の場合、顎の骨の量が十分にある部分にインプラントを埋入することができるためです。

また、手術回数や通院回数を減らせるため、その点においても負担の軽減につながるでしょう。

手術回数は術式によっても異なりますが、2回法の場合、2回の手術が必要です。歯茎の切開手術を2回行うため、精神的な負担も大きくなります。

1回法は1回で手術は行いますが、仮歯を入れるまでに数回の通院が必要になり、上部構造を入れるまでと考えると何回も足を運ばなくてはなりません。

しかしワンデイインプラントならその日のうちに仮歯を入れるので、通院が必要になるのは上部構造を入れるまでの数回で済みます。

一般的なインプラント治療よりも費用を抑えやすい

ワンデイインプラントは、一般的なインプラント治療よりも費用を抑えやすいです。特に全顎の場合は、ワンデイインプラントの方が費用が安くなる可能性があります。

全顎の場合、通常のインプラント治療よりも埋め込むインプラントの本数が少ないです。そのため、全顎すべてにインプラントを入れるよりも費用を抑えられます。

通院回数も少ないので、交通費や診察代など治療費以外の面でも費用を抑えられるでしょう。

ワンデイインプラントのデメリット

×の札を持つ女性

続いて、ワンデイインプラントのデメリットを見ていきましょう。メリットの多いワンデイインプラントですが、デメリットもあります。

  • 取り扱っている歯科医院が限られる
  • 歯科医師の高い技術が必要
  • 当日の手術時間が長くなりがち
  • 保険が適用されない

デメリットとして挙げられるのは主にこれら4つです。それぞれのデメリットを解説します。

メリットだけを見て治療を始めると、こんなはずではなかった、治療に失敗したのではと感じることもあります。そうならないように、デメリットを知っておくことが大事です。

取り扱っている歯科医院が限られる

インプラントは専門性の高い治療で、すべての歯科医師ができるわけではありません。外科手術を伴うため、インプラント治療の経験や知識が求められます。

ワンデイインプラントは通常のインプラントよりも治療が難しいです。1日で完了させるため、正確かつスピーディーに治療を進めなくてはなりません。

そのため、通常のインプラントよりも経験や知識が必要です。なので、ワンデイインプラントに対応できる歯科医師は少なく、取り扱っている歯科医院は限られています。

歯科医師の高い技術が必要

歯の模型を持つ歯科医師

先程の内容と同じになりますが、ワンデイインプラントは歯科医師の高い技術が必要です。

インプラントは外科手術が必要になるため、歯科医師の経験や知識が不足しているとトラブルにつながる可能性があります。

インプラントがしっかりと固定されず脱落したり、神経を傷つけ後遺症が残ったりするリスクがあるのです。

こうした事例は多くありませんが、安全性の高い治療を受けるためには経験や知識が豊富な歯科医院で治療を受けることをおすすめします。

当日の手術時間が長くなりがち

1日で仮歯の装着まで行うため、通常のインプラントよりも治療時間は長くなります。ワンデイインプラントにかかる治療時間は、8〜10時間です。1日がかりの治療となります。

患者さんの状態や治療内容などによっても異なりますが、通常のインプラントは1本あたり30〜60分程です。通常のインプラントよりもはるかに治療時間が長くなります。

ほとんどの歯科医院では午前中から治療を始めます。ちょっと用事がある、お昼ご飯を食べたい、などの希望があっても治療を途中で止めるのは難しいです。

ワンデイインプラントを受ける際は、何も予定が入っていない日にしましょう。ただし、適度に休憩を挟みながら治療は行われます。なので、その点は心配ありません。

保険が適用されない

メリットのところで、通常のインプラントよりも費用を抑えられるとお伝えしました。しかし、インプラントは自由診療のため、保険が適用されません。

そのため、全額自己負担となり費用は高額になります。費用については後述しますが、数十万円の費用がかかります。

埋入するインプラントの本数が多い程費用は高額になり、数百万円になることもあるでしょう。

ワンデイインプラントの安全性は?

女性医療従事者

1日がかりの治療となるため、気になるのが安全性でしょう。この点においてはほとんど心配はありません。

1日で仮歯の装着までするという点以外、通常のインプラント治療と変わりはありません。

検査機器や治療機器など治療に使う機材も、治療の流れもほぼ同じなので通常のインプラント治療と同じように安全性の高い治療を受けられます。

より安全性の高い治療を受けるために、知識や経験が豊富な歯科医院で治療を受けるようにしましょう。

ワンデイインプラントの手術の流れ

歯科治療器具

ワンデイインプラントの手術の流れを紹介します。基本的には通常のインプラントの手術と流れは変わりません。

検査やカウンセリングを行い、治療計画を立てます。その治療計画に基づきインプラントを埋入し、最後に仮歯を入れて完了です。

それぞれの流れについて、下記で詳しく紹介します。

検査・治療計画・カウンセリング

治療を始める前に検査を行います。顎の骨の状態やお口の中の状態を確認し、むし歯や歯周病がないか、顎の骨の量が不足していないかをチェックします。

それらの情報をもとに治療計画を立てるのです。患者さんの悩みや希望を聞くためにカウンセリングも行われます。

ワンデイインプラントの治療について不安や疑問がある方はカウンセリングのときに担当医に相談するといいでしょう。

手術準備

胸を抑える女性

検査や治療計画の立案が終わったら、手術の準備をします。インプラントを埋め込んだ当日に仮歯を入れるので、事前に仮歯の準備を行う場合もあります。

インプラントの埋め込み

歯茎を切開し、インプラントを埋め込みます。局所麻酔で行うため、術中の痛みはほとんどないといわれています。

痛みに敏感な方や治療に対する恐怖心が強い方に対しては、全身麻酔で対応している歯科医院もあるそうです。全身麻酔での治療を希望される方は相談してみるといいでしょう。

インプラントの埋め込みにかかる時間は1本あたり30~60分程です。埋入するインプラントの本数によって治療期間は異なります。

仮歯の装着

インプラントを埋め込んだら仮歯を入れます。仮歯を入れたら治療は終わりです。数ヵ月後に上部構造を取りつけてインプラント治療は完了となります。

インプラントと顎の骨が結合するまでの期間は、通常のインプラントと同じです。3〜6ヵ月程かかります。

インプラントと顎の骨が結合したら型取りをして上部構造を取り付けます。インプラントを長持ちさせるためには定期的なメンテナンスが必要になるため、上部構造を取りつけた後も定期的に通院しましょう。

歯科医院によって異なりますが、インプラントを埋入後に型取りをして仮歯の作成をすることもあります。

その間、患者さんは歯科医院内で仮歯が完成するまで休憩となるでしょう。

仮歯が入っているので通常どおり、お食事を楽しめます。ただし、インプラントがしっかりと固定されているわけではありません。歯科医師の指示に従いながら、負担の少ない食べ物を食べるようにしましょう。

噛む力が強い方はインプラントにかかる負担が大きくなるため、注意してください。

ワンデイインプラントの費用

歯科医療費

最後にワンデイインプラントの費用相場を紹介します。ワンデイインプラントを検討している方は参考にしてください。

インプラントは原則、自由診療です。デメリットのところでもお伝えしましたが、費用が高額になるので治療を受ける前に費用の確認をおすすめします。

1本のみの場合の費用相場

ワンデイインプラントの費用は通常のインプラントと変わりません。インプラントの費用相場は1本あたり300,000〜500,000万円(税込)程です。

歯科医院によって費用は異なり、治療内容によっても前後します。

全体を行う場合の費用相場

全体を行う場合は、インプラントを埋入する本数で変わります。

例えば4本なら、1,200,000〜2,000,000万円(税込)程になるでしょう。ただし、歯科医院や治療内容によって費用は異なるため2,000,000円以上かかることもあります。

歯科医院によってはデンタルローンが用意されていることもあります。一括で治療費を払うのが難しい方は相談してみるといいでしょう。

まとめ

歯磨きのイメージ

ここまでワンデイインプラントについて紹介してきました。

インプラントを入れるのが1〜2本程度なら歯がなくてもそこまで不便は感じないでしょう。

しかし、欠損している歯の本数が多い程、歯がないと不便を感じるようになります。食べ物を噛みづらかったり、見た目を気にしたりする方も少なくありません。

欠損している歯が多い場合は入れ歯で対応しますが、入れ歯は嫌だという方もいます。そのような方はぜひワンデイインプラントを検討してみましょう。

1日で仮歯の装着までできるので、歯のない不便さを解消できます。

本記事ではワンデイインプラントのメリットやデメリットについても触れていますので、ワンデイインプラントを検討している方の参考になれば幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

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