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インプラント治療で歯茎が黒い色になる?原因と対処法を徹底解説

インプラント治療で歯茎が黒い色になる?原因と対処法を徹底解説

インプラントは審美性に優れた治療法ですが、いくつかの理由で歯茎が黒い色になることがあります。歯茎が黒いと口元の審美性が大きく低下するため、患者さんにとっては極めて大きなデメリットとなることでしょう。ここではそんなインプラント治療で歯茎が黒くなる原因と対処法をわかりやすく解説します。現在、インプラント治療で歯茎が黒くなっている人はもちろん、これからインプラント治療を受ける予定で歯茎が黒くなる現象を不安に感じている人も参考にしてみてください。

インプラント治療とは

インプラント治療とはどのような治療ですか?
インプラントは、入れ歯やブリッジと同じ欠損補綴治療の一種です。欠損補綴治療とは、歯を丸ごと1本失った時に適応されるもので、従来法では歯冠(しかん)だけを回復することが可能でした。それがインプラント治療になると、失った歯を歯根から回復できるようになったため、患者さんが得られるメリットも多くなったのです。ただし、顎の骨に金属製の人工歯根を埋め込む外科手術が必須である点を忘れてはいけません。外科手術は従来法にない診療プロセスとなっています。
インプラント治療のメリットを教えてください
インプラント治療で喪失歯を歯根から回復させると、次に挙げるようなメリットが得られます。
・天然歯のようにしっかり噛める
インプラントは人工歯根が顎の骨に埋め込まれているため、食事中に噛みにくいと感じることはほとんどないでしょう。硬い食べ物でもしっかり噛んで咀嚼できます。

・審美性に優れている
入れ歯もブリッジもインプラントも白い人工歯を装着するのなら見た目は変わらないのではと思われる方もいるかもしれませんが、装置の種類によって装着した後の審美性は変わります。保険診療で使用される入れ歯やブリッジと比べて、歯列内に独立して埋入でき、構造が天然歯に似ているインプラントは、審美性にも優れています。

・装置が長持ちする
保険診療で作った入れ歯は10年生存率が50%、ブリッジは10年生存率が90%なのに対して、インプラント治療は10年生存率が90%以上といわれています。過去には40年以上、長持ちした例もあるため、従来法と比べるとインプラントの生存率は高くなる傾向にあるといえるのです。

・顎の骨の健康を維持しやすい
噛んだ時の力を人工歯根で受けとめることができると、顎骨に適度な刺激が加わります。その結果、歯を失った部分で起こりやすい「顎骨の吸収」という萎縮現象を抑制できるのです。

インプラント治療で歯茎が黒い色になる理由

インプラント治療で歯茎が黒い色に見える理由を教えてください
インプラント治療で歯茎が黒く見える主な原因は、インプラント周囲炎です。インプラント周囲炎はインプラント特有の歯周病で、進行すると歯茎と顎の骨が下がっていきます。その結果として金属製のアバットメントが露出し、歯茎が黒い色に見えるようになるのです。露出までいかなくとも、歯茎が痩せることによってインプラントの金属部分が透けて見えてしまい、結果黒い色に見える場合もあります。 インプラント治療直後から歯茎が黒く見えている場合は、人工歯根の埋入位置のミスも原因として考えられます。人工歯根が適切な位置に埋め込まれていないと、アバットメントが露出するからです。
歯茎が黒いのはインプラント以外にも原因がありますか?
喫煙習慣がある場合は、タバコの煙による影響で歯茎にメラニン色素が沈着しているかもしれません。タバコは、歯周病のリスクも上昇させるため、可能な限り禁煙した方が良いといえます。歯周病もインプラント周囲炎と同様のメカニズムで歯茎を黒く見せることがあります。その他の原因としては、メタルタトゥーが挙げられます。メタルタトゥーは、銀歯など溶け出した金属イオンが歯茎に沈着することで黒ずみが生じる現象です。銀歯はいろいろな金属で構成された歯科用合金を使うことから金属イオンが溶け出しやすくなっており、メタルタトゥーのリスクも高くなっています。

一方、安定性の高いチタンが使われているインプラントでは、メタルタトゥーが起こるリスクも低くなっているため、歯茎が黒い色になることも少ないです。それでもなお何らかの理由でメタルタトゥーが生じることもありますので、気になる症状が出たら主治医に相談することが大切です。

インプラント治療で歯茎が黒い色にならないための予防法や対処法

歯茎が黒い色にならないための予防法を教えてください
インプラント治療で歯茎が黒い色になる主な原因はインプラント周囲炎です。インプラント周囲炎で歯茎と顎の骨が下がることでアバットメントがむき出しとなってしまうことから、歯周病予防に努めることが何より効果的といえるでしょう。インプラントの周りに歯垢や歯石が堆積しないよう、日々のセルフケアを徹底してください。ただし、それだけでは不十分となるケースが大半なので、歯科医師の指示通りに定期的なメンテナンスも受けるようにしましょう。 喫煙習慣がある場合は、今日からでも禁煙に努めてください。タバコは歯茎を黒ずませるだけでなく、歯周病リスクも増大させます。

タバコがもたらす口内乾燥で、唾液による自浄作用・殺菌作用・抗菌作用が弱まれば、むし歯リスクも上昇することでしょう。ヘビースモーカーの方は喫煙本数をいきなりゼロにすることは難しいかもしれませんので、まずは減煙から始めてみてください。

インプラントで歯茎が黒い色になったらどのようなリスクがあるのか教えてください
インプラント周囲炎が原因で歯茎が黒い色になっている場合は、最終的に人工歯根が脱落する可能性もあるため十分な注意が必要です。インプラント周囲炎は普通の歯周病よりも進行が早く、重症化もしやすいことを改めて強調しておきます。これは人工歯根の周りに歯根膜という生きた細胞が存在していないからです。 天然の歯根には歯根膜が存在しており、細菌と戦う機能が備わっていますが、それがない人工歯根は骨との結合も容易に失われてしまいます。そのためインプラントで歯茎が黒くなる現象を審美面だけのものとして軽視するのはとても危険であるといえます。

タバコによって歯茎が黒くなっている場合も、歯周病リスクは高くなっているので、放置はせず今日からでも改善するよう努めることが大切です。

歯茎が黒い色になったらどのように治療すれば良いですか?
インプラント周囲炎によって歯茎が黒い色になったら、すぐにでも歯周病治療を受けましょう。歯茎が黒くなっている時点で、顎骨の吸収がある程度、進行していることを意味するため、それ以上放置するのは良くありません。1日でも早く歯周病治療を開始して、インプラント周囲炎の進行を止めることが大切です。早期に治療を開始することができれば、インプラントを失わずに済むかもしれません。治療を開始するのが遅れれば、人工歯根を抜かざるを得なくなるでしょう。その後は、顎の骨の状態が安定するのを待って、インプラントかそれ以外の方法で再治療することになります。

編集部まとめ

今回は、インプラント治療で歯茎が黒い色になる原因と対処法を解説しました。インプラント治療で歯茎が黒くなる原因には、インプラント周囲炎、喫煙習慣、歯周病、メタルタトゥーなどが挙げられます。とくにインプラント周囲炎によって歯茎が下がり、アバットメントが露出するケースが多くなっているため、インプラント治療を受けた人は歯周病予防を徹底する必要があるといえます。

すでにインプラント周囲炎や歯周病を発症している場合は、早期に治療を開始しましょう。インプラント周囲炎で歯茎が黒い色になっている状態を放置すると、最終的には人工歯根が抜ける、もしくは抜かざるを得なくなります。それはインプラント治療そのものの失敗を意味することから、絶対に避けたいトラブルといえるでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

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