インプラント

インプラントと部分入れ歯はどちらにすべき?それぞれのメリット・デメリットを解説!

インプラントと部分入れ歯はどちらにすべき?それぞれのメリット・デメリットを解説!

失った歯の治療法としては、主にインプラントと部分入れ歯が挙げられます。どちらも歯がないところを人工歯で補うことができる治療法ですが、構造や治療手順、メリット・デメリットに大きな違いが見られます。ここではインプラントと部分入れ歯の違いを詳しく解説します。欠損補綴の装置としてインプラントと部分入れ歯の2つで悩んでいる人は、参考にしてみてください。

インプラントについて

インプラントについて

インプラントの構造について教えてください
インプラントは、人工歯根(フィクスチャー)・アバットメント・上部構造の3つから構成されています。

◎人工歯根
人工歯根は、インプラントの土台となる部分で、顎骨に埋め込まれます。主にチタン製で、生体適合性が高く、骨としっかり結合します。この結合が、自然な歯と同じような安定感を提供し、長期にわたって機能します。

◎アバットメント
アバットメントは、人工歯根と上部構造を連結する中間部分です。人工歯根が顎骨と結合した後に取り付けられ、インプラント全体の安定性を高めます。素材は主にチタンやジルコニアが使用され、強度と耐久性に優れています。

◎上部構造
上部構造は、人工歯に当たる部分で、クラウンとも呼ばれ、セラミックやレジンで作られるのが一般的です。上部構造は、アバットメントにしっかり固定され、噛む機能を再現します。

インプラントのメリットについて教えてください
インプラントには次のメリットがあります。

◎自然な見た目と機能性
インプラントは見た目が自然で、自分の歯と区別がつかないほど精巧に作られています。また、噛む力も自然の歯とほぼ同じで、食事を楽しむことができます。

◎高い耐久性
インプラントは適切なケアを行えば、とても長持ちします。従来の入れ歯やブリッジに比べて、耐久性が高く、数十年にわたって機能するといわれています。

◎骨の健康を維持しやすい
歯を失うと顎の骨が痩せてしまうことがありますが、インプラントは顎骨に直接埋め込まれるため、骨の健康を維持する効果があります。これにより、顔の形を保つことができます。

◎隣接歯への影響が少ない
従来のブリッジ治療では、隣接する健康な歯を削る必要がありますが、インプラントは独立して取り付けるため、周囲の歯に負担をかけません。そのため、残っている歯を健康な状態で保つことができます。

インプラントのデメリットについて教えてください
インプラントには、次のデメリットを伴います。

◎費用が高い
インプラント治療はほかの歯科治療に比べて費用が高額です。素材の質や手術の複雑さ、専門医の技術料などが費用に影響し、保険が適用されない場合も多いため、治療前に十分な予算を確保する必要があります。

◎治療期間の長さ
インプラントは骨と結合するまで数カ月を要するため、治療期間が長くなります。特に、骨の再生が必要な場合や複数本のインプラントを入れる場合は、さらに時間がかかることがあります。

◎手術のリスク
インプラントは外科手術を伴うため、感染症や神経損傷などのリスクがあります。また、全身疾患を持つ患者さんには適さない場合もあるため、事前の健康診断が重要です。

◎メンテナンスの必要性
インプラントは適切なメンテナンスを怠ると、周囲の歯茎や骨に炎症を引き起こすことがあります。定期的な歯科検診と日々の口腔ケアが欠かせません。

部分入れ歯について

部分入れ歯について

部分入れ歯の構造について教えてください
部分入れ歯は、人工歯・義歯床(ぎししょう)・クラスプの3つから構成されています。

◎人工歯
人工歯は、失われた歯を補うために部分入れ歯に取り付けられます。見た目が自然で、噛む機能を補完するように設計されています。人工歯の素材は主にレジンやセラミックが使用されます。

◎義歯床
義歯床は、人工歯を支える土台部分です。口腔内の形に合わせて作られ、快適にフィットするよう調整されます。義歯床の素材には、アクリル樹脂や金属が使われます。

◎クラスプ
クラスプは、部分入れ歯を固定するための金具です。残存する天然歯に引っかけることで、義歯を安定させ、動きを防ぎます。主に金属製で、しっかりとした固定力を持ちます。

部分入れ歯のメリットを教えてください
部分入れ歯には、次のメリットを伴います。

◎費用が抑えられる
部分入れ歯はインプラントやブリッジに比べて費用が抑えられます。保険適用が可能な場合も多く、経済的負担が軽減されます。

◎取り外しが可能
部分入れ歯は取り外しができるため、清掃が容易です。口腔内の衛生状態を維持しやすく、歯茎や残存歯の健康を保つのに役立ちます。

◎治療期間が短い
部分入れ歯の製作は短期間で完了します。抜歯後すぐに製作が開始でき、速やかに機能を回復できます。

◎周囲の歯に優しい
部分入れ歯は隣接する歯を削る必要がなく、自然な歯をそのまま残せます。残存歯への影響が少なく、健康な歯を保つことができます。

部分入れ歯のデメリットを教えてください
部分入れ歯には、次のデメリットを伴います。

◎装着時の違和感
部分入れ歯は、口腔内に違和感・異物感が生じやすく、慣れるまで時間がかかる場合があります。特に初めて使用する場合、食事や会話に影響が出ることが多いです。

◎安定性が低い
部分入れ歯はクラスプで装着しますが、完全には固定されないため、ズレたり、外れたりする場合があります。そのため補綴装置にしっかりとした安定感を求める人には不向きです。

◎耐久性が劣る

部分入れ歯の素材はやわらかく、長期間使用すると劣化するケースがあります。そのため定期的なメンテナンスや調整、交換が必要となります。

◎周囲の歯に負担がかかる
クラスプが周囲の歯にかかるため、残存歯に負担がかかることがあります。これが原因で健康な歯が損傷するリスクがあります。

インプラントと部分入れ歯の比較

インプラントと部分入れ歯では、見た目に違いが出ますか?
インプラントは、人工歯根を顎骨に埋め込み、その上にセラミック製の歯を装着します。その結果、天然歯の見た目を忠実に再現できます。色や形もほかの歯に合わせてカスタマイズできるため、美しい仕上がりになります。一方、部分入れ歯は取り外し可能で、クラスプ(留め具)が隣接する歯に引っかかることで固定されます。このクラスプが金属の場合、口を開けたときに見えることがあり、見た目に影響を与えることがあります。また、義歯床部分が歯茎のラインに重なるため、インプラントのような自然の歯には見えないことがあります。
インプラントと部分入れ歯では、噛み心地に違いが出ますか?
インプラントは顎骨に直接固定されるため、自然の歯と同等の安定感と噛む力が得られます。硬い食べ物でも問題なく噛むことができるため、食事のときも快適です。これに対して、部分入れ歯はクラスプで固定されるため、動きやすく感じることがあります。特に硬い食べ物を噛むときには、不安定さを感じることもあります。また、部分入れ歯は義歯床が粘膜を覆うため、食感や味覚に影響を及ぼすこともあります。
インプラントと部分入れ歯の費用を教えてください
インプラントは、1本あたりの費用が300,000〜500,000円程度になるのが一般的です。これは材料費、外科手術費用、専門医の技術料などが含まれるためです。特に複数のインプラントを必要とする場合、治療費の総額が高くなる点に注意しなければなりません。一方、部分入れ歯はインプラントと比べると低価格です。素材や設計によって価格は変動しますが、保険が適用される場合は経済的な負担は軽減されます。
インプラントと部分入れ歯はどちらが長く使えますか?
基本的にはインプラントです。インプラントは適切なケアを行えば、とても長持ちします。多くの場合、数十年にわたって機能し続けることが期待できます。ただし、歯周病やケア不足によってトラブルが生じることもあるため、定期的なメンテナンスが不可欠です。一方、部分入れ歯は素材の耐久性がインプラントよりも劣るため、数年ごとに交換が必要となることがあります。入れ歯の素材が劣化したり、クラスプが緩むこともあるため、定期的な調整が求められます。

編集部まとめ

今回は、インプラントと入れ歯の特徴やメリット・デメリット、両者の違いを解説しました。インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込む治療法で、審美性・機能性・耐久性に優れていますが、費用が高い、治療期間が長い、手術にリスクを伴うなどのデメリットもあります。一方、入れ歯は費用が安く、治療期間も短いですが、そのほかの面でインプラントに劣ることから、治療選択の際には自分のなかで優先順位を決めておくことが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

  1. インプラントと部分入れ歯はどちらにすべき?それぞれのメリット・デメリットを解説!

  2. インプラントは将来どうなる?リスク・老後への影響も解説

  3. インプラントとブリッジ、入れ歯の違いを徹底比較!それぞれのメリット・デメリットやおすすめできる人についても解説

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