インプラント治療を検討している方や、インプラント治療を受けた方のなかには、治療後の違和感に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
インプラント治療後の違和感にはさまざまな原因があります。インプラント周囲炎という歯周病に似た炎症やねじの緩みといったトラブルも原因の一つです。
これから治療を受ける方や現在インプラント治療後の違和感に悩んでいる方に向けて、インプラント治療後の違和感の原因や対処法を詳しく解説します。
インプラントの違和感が気になる方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
インプラント治療の流れや治療後の違和感
- インプラント治療の流れを教えてください。
- インプラント治療はカウンセリングから始まり、インプラント治療の不安や疑問を解決します。次に行う検査では、以下について調べます。
- 歯周病にかかっていないか
- 歯形と噛み合わせ
- 顎の骨密度や量
検査結果が出たら健康状態や被せ物の材質、色などの希望から治療計画を立てます。治療費用や治療スケジュールを確認し治療が決まれば、次は一次処置です。
一次処置ではインプラント体を顎の骨に埋め込みます。1本あたり15分程度の施術です。一次処置から2週間後に仮歯調整を行います。仮歯を入れた後すぐに食事をする場合は、固いものを避けてやわらかいものを食べましょう。
その後2〜3ヵ月程度、インプラント体と骨が結合するまで待ちます。この期間は基本的に来院する必要はありません。インプラント体と骨が結合したら、二次処置にうつります。
二次処置ではインプラント体にアバットメントを取り付けます。インプラントの型取りを行うのは、二次処置から1〜2週間後です。二次処置で取り付けたキャップを取り外し、患者さん一人ひとりに合わせた被せ物を取り付けたら完成です。
- インプラント治療後の違和感とはどのようなものですか?
- インプラント治療後の違和感には次のようなものがあります。
- 痛み
- 腫れ
- 歯茎が浮くような感じ
- 歯が動く違和感
- 噛み合わせが変わる違和感
- 顎がしびれる
治療後しばらくの間は、痛みや腫れが出ていても過度な心配は必要ありません。歯茎を開いて骨に埋入する施術を行なっているため、痛みや腫れが出ることはある程度仕方がないことです。
しかし痛みや腫れが2週間以上続くようであれば、炎症を起こしている可能性もあるため、歯科医師に相談するとよいでしょう。特に顎がしびれたり、麻痺しているような違和感がある場合は、神経を傷つけている可能性があるため早めに診てもらいましょう。
- 治療後の違和感はずっと続くのでしょうか?
- インプラント治療後の痛みは、多くの場合1〜2週間でおさまります。腫れが現れることもありますが、痛みのピークは2〜4日程度で、その後は少しずつおさまることが多いです。
2週間以上経っても痛みがあったり、悪化している場合は歯科医師に相談しましょう。インプラントを何本も埋入した場合は、痛みや腫れが長引くことも少なくないため、過度な心配は必要ありません。
どうしても不安に感じたら施術を受けた歯科医師に相談するとよいですよ。
インプラント治療後の違和感を感じる原因
- インプラント治療後に違和感が出る原因を教えてください。
- インプラント治療後に違和感が出る原因は、主に5つあります。
- インプラント周囲炎
- インプラントのねじのゆるみ
- インプラントの埋入位置が正しくない
- 被せ物が合っていない
- 歯がなかったところで噛めるようになるため
インプラント周囲炎は歯周病のような病気です。初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、腫れや出血が見られる場合があります。
磨き残しが原因で炎症を起こしているため、腫れや出血が見られた場合はすぐに歯科医師に相談しましょう。
インプラントの埋入位置が正しくないと、治療後すぐから違和感があります。ほかの歯の根にあたっている・神経に触れてしまっていると違和感や痛みがあり、インプラントの除去が必要な場合があります。
インプラントがぐらぐらしたり、噛み締めたときに違和感がある場合も調整できるため、確認をしてもらいましょう。
- インプラントがぐらぐらしていますが大丈夫でしょうか?
- インプラントは基本的には一度埋め込んだら動きません。そのため、ぐらぐらするようであれば、何らかの異変が起きていると考えられます。
- インプラントの歯根と骨がしっかり結合していない
- 骨の厚みが足りていない
- インプラント周囲炎を発症している
- 元から生えている歯が動きいた
- アバットメントが緩んでいる
上記のような原因が考えられます。インプラントは顎の骨と結合させる施術のため、結合がしっかりされていなかったり、骨の厚みが足りていない場合にはぐらつくことがあります。
骨の厚みに関しては検査の段階で把握できますので、それでもインプラントを希望する場合は骨造成を行うことでインプラント治療が可能です。
骨造成を行なっても、インプラント治療後に骨の吸収が進んでぐらつくケースもあります。インプラント治療の大きなリスクであるインプラント歯周炎は、インプラント周辺で歯周病菌が感染することで起こります。
歯茎が痩せていきインプラントが抜ける可能性があるため、早めの処置が必要です。
- 治療が失敗した可能性はありますか?
- どのような治療にも成功するという保証はなく、トラブルが発生する可能性はあります。インプラントの失敗例には、次のようなケースがあります。
- インプラントと骨がしっかり結合しない
- 激しい痛みや腫れ、痺れなどが続く
- インプラント周囲に炎症
- 噛み合わせが合わない
上記はインプラントの失敗とされる症例です。程度の差や修復の可否も、それぞれの状態によって異なります。インプラント周囲に炎症がおきるインプラント周囲炎に関しては、患者さん自身の日頃の手入れによっておこるケースがあります。インプラント治療を受けた後は、以前より丁寧に口腔内の清潔さを保つことが大切です。
インプラント治療後の違和感の対処法や受診の目安
- 治療後に違和感が出た場合の対処法を教えてください。
- インプラント治療後に違和感が出た場合は、以下の行動をとりましょう。
- 早めに歯科医師に相談する
- インプラントに力がかからないようにする
- インプラント周囲をやさしく磨く
治療後すぐの痛みや違和感は正常な反応ですが、日数が経過しても激しい痛みや違和感がある場合は早めに歯科医師に診てもらう必要があります。
またインプラント周囲の炎症が原因の場合、強く噛むことで症状が悪化します。ねじの緩みが原因の場合も、噛むことで悪化することがあるため注意が必要です。
歯磨きの際は、インプラント周囲に強い力がかからないようにやさしく磨きましょう。汚れを溜めてしまうと歯周病が進行するため、気にしすぎて磨けないという事態は避けなくてはなりません。不安を解消するためにもクリニックの受診は必須です。
- 多少の違和感なら対処せずに様子を見ても大丈夫ですか?
- インプラント治療後の違和感を放置すると、インプラントが抜けてしまったり、やり直しが必要になるような深刻な状態に陥ることがあります。治療から時間が経っても口内の痛みや違和感、噛み合わせの悪化などを感じる場合は、歯科医師に診てもらうようにしましょう。
- 治療後の違和感で歯科医院を受診する目安を教えてください
- インプラント治療による違和感は、通常1〜2週間程度で少しずつおさまっていきます。そのため、2週間以上経っても違和感が改善されない場合や、ぐらつきや痛みがある場合には受診するようにしましょう。
痛みのピークは2〜4日のため、それ以上経っても激しい痛みがある場合にも、早めに相談するとよいですよ。インプラント治療後の良好な状態を維持するためには、問題が起こらないようにすることと定期的な経過観察が重要です。気になることがあれば、我慢せずに歯科医師に相談しましょう。
- インプラント治療後、食事の際に注意するべきことはありますか?
- インプラント治療後の食事は、痛みがひどくなければ基本的に問題ありません。麻酔が残っている場合があるため、口内を噛んだりやけどなどに注意が必要です。
また手術直後は固いものを食べるのは避けるようにしましょう。インプラント治療は外科手術のため、固いものを食べて傷口が開いたり、傷がついて細菌が入ることのないようにしなくてはなりません。
手術後2〜3日程度はおかゆやうどん、スープやゼリーなどのやわらかいものが望ましいです。ほかにも香辛料などの刺激が強い食べ物は避け、アルコールも1週間程度は控えるようにしましょう。
編集部まとめ
突然の事故や生活習慣の積み重ねで歯を失った際に、せっかくならきれいな歯にしよう、とインプラントを検討する方も少なくありません。
どのような治療にもリスクが存在するように、インプラント治療にもさまざまなリスクがあります。違和感や痛みが続くと不安に感じるでしょうが、違和感や痛みが正常な場合もあります。
インプラント治療後に違和感を覚えた際は、個人で解決しようとするのではなく歯科医師に相談が大切です。
治療した歯をできるだけ長く良好な状態に保つために、手術後に続く違和感や痛みは早めに歯科医師に相談しましょう。
参考文献