インプラント

歯が折れた時の対処法とは?避けるべき行為や折れた歯の治療法について解説!

歯が折れた時の対処法とは?避けるべき行為や折れた歯の治療法について解説!

私たちの歯はとても硬くて丈夫な器官なので、大切に扱えば一生涯使い続けることもできます。けれども、何かの拍子に歯が折れたり、割れたりすることも多々あります。折れた歯は自然に再生することはないため、対処法に困る方も多いことでしょう。ここではそんな歯が折れた時の対処法や避けるべき行為、折れた歯の治療法などを詳しく解説します。

歯が折れたまま放置することの危険性

歯が折れたまま放置することの危険性 何らかの理由で歯が折れた時は放置してはいけません。歯が折れたまま放置すると、次に挙げるような危険性が高まるからです。

むし歯になる可能性が高まる

歯は、表面に傷がない状態であれば、むし歯になりにくいです。歯の表面を覆っているエナメル質は、その下に分布している象牙質よりも酸への抵抗力が高いからです。普段からフッ素入りの歯磨き粉を使っていたり、歯科医院でのフッ素塗布を受けていたりしていれば、むし歯リスクはさらに低くなります。それが少しでも欠けてしまうと、むし歯になる可能性は大きく上昇するため、十分にご注意ください。歯が欠けたり、折れたりすると、象牙質がむき出しとなるからです。その状態を放置していると、いつむし歯になってもおかしくはありません。

神経が炎症して強い痛みが出ることも

歯が大きく折れた場合は、神経が露出する可能性も高まります。歯の神経に感染や炎症が起こると、強い痛みが生じます。そうしたケースでは、むし歯の進行も早くなるため、早急に治療を受けた方が良いといえます。細菌に感染した神経は、自然に治癒することはありませんので、放置することだけは絶対に避けてください。

歯が折れたり欠けたりする原因

歯が折れたり欠けたりする原因 本来は丈夫な歯がなぜ折れたり、欠けたりするのか。それは次に挙げるような原因があるからです。

外傷による強い衝撃

歯が折れたり、欠けたりする主な原因は「外傷」です。スポーツや事故で顔面を強打した際、歯に強い衝撃が加わることで破折を招きます。ですから、普段からその他の選手と接触する機会の多いスポーツをやっていたり、事故や転倒のリスクが高かったりする人は、外傷による歯の破折に注意する必要があります。もちろん、交通事故など不慮のアクシデントによる歯の破折は防ぎようがないため、歯が折れた後の対処に力を入れることが大切です。

むし歯によって歯が脆くなっている

歯が折れる原因というと、上段で述べた外傷しか思い浮かばない方も多いことでしょう。人体で最も硬い組織が折れるのですから、顔面を強打する以外にはあり得なさそうなものですが、実はむし歯が原因となるケースも珍しくはないのです。むし歯は、エナメル質や象牙質が溶けていく病気なので、当然ですが歯自体が徐々に脆くなっていきます。そうした脆弱な部分はちょっとした力が加わるだけでも欠けてしまう場合があるのです。外傷の時のように歯が大きく折れるようなことはないにしても、深刻なダメージが及ぶ可能性は十分考えられます。

歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりでは、エナメル質とエナメル質が接触することから、摩耗や破折が起こりやすくなっています。しかも成人の男性が噛む力というのは、60~100kgにまで達するといわれています。噛む力をコントロールできない歯ぎしりや食いしばりが習慣化していれば、いつ歯が欠けてもおかしくはないのです。

歯が折れた時の応急処置

歯が折れた時の応急処置 上段で説明したような理由で歯が折れた場合は、まず応急的な処置を施しましょう。以下に挙げる5つのポイントに留意することで、その後の治療も進めやすくなります。

折れた歯を保管する

折れた歯は、もしかしたら元に戻せるかもしれません。天然歯はかけがえのない器官なので、戻せるのなら戻すに越したことはないのです。仮に戻せなかったとしても、折れた歯を保管して、受診の際に持参することで、治療の助けとなる場合があります。ですから、外傷などで折れた歯は、ジップロックなどに保管しておくことをおすすめします。ティッシュペーパーにくるんでおくと、誤って捨ててしまうことの方が多いため、あまりおすすめできません。

口内を清潔にし、出血している場合は止血する

歯が折れた際に、口内が汚れた場合は、うがいをするなどして清潔に保ちましょう。歯茎や口腔粘膜から出血している場合は、ガーゼなどで止血を試みてください。歯が折れた状態は傷口がむき出しとなっているような状態なので、歯科で処置を受けるまで水以外の食品は口にしない方が良いです。

なるべく早期に歯科を受診する

歯が折れた時は、何よりもまず歯科に連絡するようにしてください。急患対応してくれるところもあれば、診療の空き時間まで診てもらえない可能性も十分にあるからです。いつも通っている歯科が休診日の場合は、その他の歯科医で構いませんので早急に受診をして、適切な処置を受けましょう。

歯が折れた時に避けるべき行為と注意点

歯が折れた時に避けるべき行為と注意点 歯が折れた時には、次に挙げるような行為は避けるようにしてください。これらを行うと、より深刻なトラブルを引き起こしかねません。

歯が折れた部分を刺激する

歯が折れた部分は、傷口が開いている状態と同じです。舌で触ったり、熱いものや辛いものを接触させたりすることは避けましょう。うがいなどで清潔にした上で、患部を刺激しないよう細心の注意を払ってください。

自分で歯を接着する

一般の方が意外にやりがちなのが「自分で歯を接着する」という行為です。歯がきれいに割れていたら、瞬間接着剤で付ければ元に戻せそうに感じるかもしれませんが、医学的にとても危険な行為なので絶対に避けるようにしてください。その理由は、まず歯が折れた時点で断面はもうすでに汚染されているからです。

また、市販の瞬間接着剤は、歯科で使っている医療用の接着剤とは成分が異なります。そもそもアロンアルファなどの瞬間接着剤は、生体の組織を接着するためのものではありません。医学的な処置は歯科医師に任せるのが良いのです。

折れたままにして放置する

歯の折れた部分が小さかったり、痛みや出血がなかったりした場合は、何もせず放置してしまうこともあるかもしれません。とくに学校や仕事で忙しい方は、その傾向が強くなります。確かに、全身のケガや病気も痛みや出血がない場合は、放置しておいても問題ないことが多いですが、歯は例外です。繰り返しになりますが、歯に対して自然治癒力が働くことはありません。折れた歯が再生することもなければ、細菌感染が自然に治ることもないのです。そのため歯は折れたままにはせず、必ず歯科で適切な治療を受けるようにしてください。

歯が折れた時の治療方法と費用

歯が折れた時の治療方法と費用 折れた歯の治療方法と費用は、歯の折れ方によって変わります。

歯の一部が欠けている場合

歯が部分的に欠けている場合は、比較的容易に治すことが可能です。最も軽い症例では、コンポジットレジンを盛り付けて、光で固めるだけで治療が完了します。その場合の費用は保険診療で1500円程度にとどまります。歯の欠けが中等度の場合は、詰め物のような少し大きな装置を装着しなければならなくなるかもしれませんが、その場合も費用は3000~4000円程度で済みます。

歯が半分ほど折れた場合

歯が半分ほど折れた場合は、神経を抜いたり、根管内をきれいにお掃除したりするなどの処置が必要となります。その上で土台を作って被せ物を装着しなければならないため、総額としては1万円程度かかるでしょう。自費診療を選択した場合は、使用する素材によって費用も大きく変わってきます。

歯が根本から折れた場合

歯が根元から折れた場合を歯根破折(しこんはせつ)といいます。歯根が破折した場合は、多くのケースで抜歯を余儀なくされます。歯を抜いた後は、ブリッジ・入れ歯・インプラントのいずれかを選択して、欠損部を補わなければなりません。それぞれの治療法の特徴は以下の通りです。

・ブリッジ
ブリッジは、欠損部の両側の歯を支えとする装置です。基本的には2本の歯を大きく削らなければならないことから、失った歯の治療法としてはデメリットが比較的大きいといえます。ただし、固定式の装置であるため安定性が高く、食べものも噛みやすいです。また、保険が適用されるため、治療費は15000~2万円程度となっています。

・入れ歯
入れ歯は、着脱式の装置なので、安定性は高くありません。食事をしている時や会話をしている時に入れ歯がずれるということはよくあるトラブルです。また、装置が壊れやすく、寿命も短いというデメリットを伴います。保険の入れ歯は、5年以上経つと合わなくなることが多く、新しいものに作り変える必要が出てきます。ただ、費用に関してはブリッジやインプラントよりも安く、1~2本の欠損であれば5000~8000円程度で作れることも珍しくありません。

・インプラント
インプラントは、失った歯を歯根から回復できる唯一の装置です。上記のブリッジと入れ歯は、欠損部に歯の頭の部分だけを再現したパーツを配置するだけです。その点、インプラントは構造が天然歯とほぼ同じということもあり、硬いものでもしっかり噛めます。顎の骨も痩せにくく、見た目も自然で美しいです。装置の寿命も10年以上持つのが一般的です。そんなインプラントには保険が適用されないというデメリットを伴います。一般的な費用は30万〜50万円程度で今回ご紹介した治療法の中では最も高額な治療となります。

歯が折れるのを防ぐ方法

歯が折れるのを防ぐ方法 これまで歯が折れた経験がある人はもちろん、まだその経験がない人も、歯が折れるのを何とかして防ぎたいものです。その際、参考になるのが以下の方法です。

出っ歯を歯列矯正で治す

上の前歯が前方に出ている出っ歯は、外傷で歯が折れやすくなっています。歯列矯正で出っ歯を治すことができれば、歯が折れるリスクも自ずと低くなります。

スポーツ用マウスピースを使う

顔面を強打するリスクがあるスポーツをしている場合は、スポーツ用マウスピースを使用しましょう。マウスガードとも呼ばれるもので、インターネットサイトでも購入することはできますが、歯科医院で作るのがおすすめです。歯科医院なら一人ひとりにぴったりと合ったスポーツ用マウスピースを作れるからです。

歯ぎしり用マウスピースを使う

歯ぎしりの習慣がある人は、歯ぎしり用のマウスピースを使って、歯が折れたり、欠けたりするのを防ぎましょう。専門的にはナイトガードと呼ばれる装置を使って治療します。歯ぎしり用のナイトガードは、歯科医院で作ることができます。ナイトガードは基本的に保険診療で作成できますので、経済的負担も最小限に抑えられます。何よりも歯ぎしりによる歯の破折を防げることは、患者さんにとって大きなメリットとなることでしょう。

まとめ

まとめ 今回は、歯が折れた時の対処法や避けるべき行為、折れた歯の治療法について解説しました。歯が折れた時は、とにかくまず歯科に電話しましょう。早期に受診できれば、折れたり、抜けたりした歯を元に戻せる可能性が高まります。それと並行して口内を清潔にしたりするなどの応急処置も行っていきましょう。歯が折れた部分を刺激したり、自分で歯を接着したりするようなことはNGです。歯が折れたままにして放置することも良くありません。折れた歯には必ず治療法が存在していますので、迷わず歯科を受診してください。どのような治療になるかは、歯の折れ方によって変わります。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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