歯科治療で気になることの一つ、インプラントの変色。その対策やケア方法について、興味がある方は多いのではないでしょうか?
本記事ではインプラントの変色について以下の点を中心にご紹介します。
- インプラントは変色するのか
- インプラントの変色を防ぐには
- インプラントが変色した後の対処
インプラントの変色について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
インプラントは変色するのか
- インプラントは黄ばみますか?
- インプラントにおける黄ばみの問題は、主にインプラントの上部構造に関連しています。インプラントは大きく分けてインプラント体(人工歯根)、アバットメント、上部構造の3つの部分から成り立っています。インプラント体は、チタンやチタン合金(黒色)およびジルコニア(白色)で作られています。現在、チタンが主流です。この部分は顎の骨に埋め込まれ、天然の歯根の役割を果たします。上部構造には、チタン(黒色)、金銀パラジウム合金(黒色)、オールセラミック、ハイブリッドセラミック、ジルコニアなどが使用されます。現在はジルコニアが主流で、これらの素材は自然な歯の色を再現するために選ばれます。インプラントの上部構造に使用されるセラミックは、水分を吸収しないため、表面が汚れても簡単に拭き取ることができ、着色することはほとんどありません。しかし、レジンとセラミックを混ぜ合わせたハイブリッドセラミックの場合は注意が必要です。レジンは水分を吸収するため、使用しているうちに着色しやすく、経年劣化による変色のリスクもあります。
- インプラントすると歯茎が黒くなるのでしょうか?
- 歯茎が黒く見える原因は、インプラントの金属部分が歯茎を通して透けて見えることにあります。インプラントの上部構造がセラミックやジルコニアで作られているため、通常は金属が露出することはありません。しかし、歯茎の状態が変化すると、インプラントの一部が透けて見えることがあります。特に、インプラント治療後に歯周病にかかると、歯茎が下がるなどの変化が起こり、インプラントの金属部分が透けて見えることがあります。また、歯周病によって歯茎が腫れ、赤黒く見えることもあります。これがインプラント治療における歯茎の黒ずみの主な原因です。インプラントが歯周病にかかりやすい理由は、天然の歯と異なり、自浄作用が期待できないため、プラークや歯石が堆積しやすい傾向にあるからです。そのため、インプラント治療後は徹底したオーラルケアが必要です。
- インプラントでも変色しないものはありますか?
- 変色のリスクは、上部構造の素材によって異なります。インプラントでも変色しないものとしては、ジルコニアインプラントやセラミックインプラントがあります。これらは金属ではなく、白色のセラミック素材でできています。そのため、色素やヤニによる変色に強く、天然の歯に近い見た目を保つことが期待できます。しかし、これらのインプラントはチタンインプラントよりも高価で加工が難しいという欠点があります。
インプラントの変色を防ぐには
- インプラントのセルフケアはありますか?
- インプラントのセルフケアには、以下のようなものがあります。
毎日の歯磨き: 歯ブラシやデンタルフロスなどを使って、インプラント周囲の歯垢や歯石を除去します。特に食後や就寝前には念入りに行いましょう。
定期的な歯科検診: 歯科医師や衛生士によるクリーニングやチェックを受けます。半年に一度程度が目安ですが、個人差や状態によって変わります。
正しい食生活: インプラントは強度が高いですが、無理な力や衝撃を与えると破損する可能性があります。硬いものや粘着性の高いものは避けましょう。また、むし歯や歯周病の予防のためにも、甘いものや酸っぱいものは控えましょう。
以上のように、インプラントのセルフケアは、天然の歯と同じように大切です。インプラントを長持ちさせるためにも、日々のケアを怠らないようにしましょう。
- 色素沈着が起こりやすい食べ物を教えてください。
- 色素沈着が起こりやすい食品や嗜好品は、一般的にカレーやチョコレート、イチゴジャム、ケチャップ、醤油、ソースなどの濃い色のついた食品、またコーヒーや紅茶、緑茶、赤ワインといった飲み物が挙げられます。さらに、タバコの摂取も色素沈着を引き起こす要因です。これらの食品や嗜好品は歯の表面に付着しやすく、歯の変色を招く可能性が高いです。歯磨き粉には色素沈着を抑える成分が含まれているものを選び、食後に歯を磨くことが有効とされています。口腔内の洗浄には唾液が効果が期待でき、キシリトールガムなどを噛んで唾液の分泌を促すこともおすすめです。
- インプラントの変色を防ぐには禁煙することが大切なのでしょうか?
- インプラントの変色を防ぐためには、禁煙が非常に重要です。喫煙はインプラント部分だけでなく、歯茎全体に影響を及ぼすことが知られています。タバコに含まれるニコチンは、歯茎の血行を悪化させ、これがインプラント周囲炎のリスクを高めます。この状態では、歯茎に炎症が起きても血が出ないため、インプラント周囲炎の早期発見が難しくなります。 インプラント周囲炎は進行が非常に速く、進行すると歯茎がやせて黒ずんで見えることがあります。この状態は変色だけでなく、最悪の場合にはインプラントの脱落につながりかねません。喫煙者は、インプラント治療を機に禁煙するか、少なくとも喫煙本数を減らすことをお勧めします。
インプラントが変色した後の対処
- インプラントが変色してしまったらどうすればいいでしょうか?
- インプラントの上部構造である人工歯(補綴物)が変色してしまった場合、まずは歯科医師に相談することが重要です。一般的に、人工歯の変色は定期的なクリーニングや特定の洗浄剤を用いて改善できますが、深刻な変色や変更が必要な場合もあります。このようなケースでは、インプラントメーカーや歯科医師によって異なりますが、多くの場合、人工歯(補綴物)の交換が可能です。インプラント自体が変色しているのではなく、上部の人工歯が変色していることが一般的です。
- インプラントの歯茎が変色した場合の対処法を教えてください。
- インプラントの歯茎が変色した場合には、変色の原因によって異なる対処法があります。
歯茎が赤く腫れる場合:
治療後すぐに腫れる場合は、通常2〜3日で自然に収まります。時間が経過後に赤く腫れる場合は、インプラント周囲炎の可能性があるため、自己判断せずに歯科医師に相談し治療を受けるべきです。歯茎が黒ずんでくる場合:
タバコの影響による場合は、タバコの摂取を減らすか禁煙を検討し、歯茎の血行を改善することが重要です。歯茎が薄くなってインプラントが透ける場合は、インプラント周囲炎の可能性があるため、歯医者に相談し、適切な処置を受けるべきです。歯茎が白く腫れる場合:
白く腫れた場合、内部が化膿している可能性があるため、歯科医師の指示に従い化膿止めなどを服用しましょう。一部の場合では、手術後に使用した止血剤が出てくることがあり、歯科医師に相談し不安を解消しましょう。
編集部まとめ
ここまでインプラントの変色についてお伝えしてきました。
インプラントの変色の要点をまとめると以下の通りです。
- インプラントの変色は、周囲の歯茎や上部構造の変色によるもの
- インプラントの変色を防ぐには禁煙やセルフケア、色素沈着が起こりやすい食べ物を避けることが大切
- インプラントが変色した後の対処は、歯科医師の指導に従い、対処法を選択し修正や交換を検討する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。