インプラント

インプラントをする前にはどんな検査をするの?インプラントを入れた後のMRI検査は大丈夫?

インプラント 検査

インプラントの治療を受けるためには治療の前にいくつかの検査があり、その結果によってインプラントの治療が適用するかどうか判断されます。インプラントの検査について以下の点を中心に紹介します。

  • インプラント治療の前に行われること
  • インプラント治療を受けられない人について
  • インプラント治療後の検査について

インプラントの検査について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

インプラント治療の前に行われること

インプラント治療の前に行われること

カウンセリングでは何を聞かれますか?
一般的には以下のような項目についてのカウンセリングが行われます。歯周病の状態:歯周病はインプラント治療の成功率に影響を及ぼす可能性があります。歯周病が進行している場合は、インプラント手術を行う前に歯周病の治療が必要な場合があります。

喫煙習慣:タバコの喫煙はインプラント治療の成功率を低下させる要因となることがあります。喫煙者は傷口の治癒が遅れたり、インプラントの寿命が短くなるリスクが高まると知られています。

糖尿病の状態:糖尿病は血糖値の管理が難しいとインプラント治療に適さない場合があります。血糖値のコントロールが不十分な状態では、術後に感染や炎症を起こしやすくなる可能性があります。

顎の骨の状態:インプラント治療には十分な顎の骨が必要です。顎の骨が少ない、または弱っている場合は、追加の手術や骨移植が必要になる場合があります。

その他にも、アレルギーの有無や既往症、妊娠中の状態などもカウンセリングで尋ねられます。これらの情報を正確に提供することで、インプラント治療の適格性を判断し、トラブルを予防するための適切な治療計画を立てられます。

CT検査をしますか?
インプラント治療の一環として、CT検査が行われます。この検査により、顎骨の形状や骨質を非常に詳細に3次元的に解析が可能です。そして、そのデータをインプラント専用のシミュレーションソフトに入力し、治療計画を立てられます。このプロセスにより、安全かつ確実なインプラント治療が行われます。CT検査による正確な情報は、インプラントの位置や角度を最適化し、顎骨にしっかりと固定されたインプラントを埋入するために重要な役割を果たします。シミュレーションソフトによる設計により、事前に治療の全体像を把握でき、患者さんの口腔内に最適なインプラントを選定できます。
血液検査はしますか?
インプラント治療を行う際には、血液検査などを実施し糖尿病や貧血などの症状がないか、肝臓や腎臓、感染症にかかっていないかなど、全身の状態を詳しくチェックする臨床検査が行われます。これらの検査は、患者さんの全体的な健康状態を把握し、治療の安全性を確保するために重要です。既に他の医療機関で血液検査を受けたことがある場合は、そのデータを持参していただけると、より効率的に検査結果を確認できます。
口腔内の検査はどのようなものですか?
インプラント治療の前に行われる口腔内検査は、主にむし歯や歯周病の有無を確認し、噛み合わせを調べる重要な検査です。特に、むし歯や歯周病がある場合は、それらの治療を先に行ってからインプラント治療に進むことが一般的です。むし歯や歯周病を放置したままインプラントを入れると、インプラントの安定性が損なわれ、最悪の場合、インプラントが抜けることも考えられます。

口腔内検査では、口腔内の状態を詳細にチェックし、問題点を特定して適切な治療を行うことで、インプラント治療の成功率を高められます。患者さんの口腔内の健康状態を確認し、治療計画に組み込むことで、インプラント治療の安全性と持続性を確保するための対策が取られます。

口腔内検査はインプラント治療の重要なステップであり、患者さんの口腔健康を守るために欠かせないものです。治療前に丁寧に検査を行い、必要な処置を施すことで、より良い治療結果を得られます。

レントゲンを撮りますか?
レントゲン検査は、インプラントを埋入させるために必要な骨の厚みを調べる重要な検査です。この検査により、インプラントを埋め込むための骨の厚みが十分であるかどうかを確認します。インプラント治療には、人工歯根をしっかりと支えるために十分な骨の厚みが必要とされます。もし骨の厚みが不十分な場合、インプラントの安定性が保てない恐れがありますので、治療は受けられない場合もあります。

検査の段階で、骨の厚みが不足していることが判明した場合、追加的な治療が必要になる場合もあります。骨移植などの方法で骨を補強することで、安定したインプラント治療を行うことが可能となります。

レントゲン検査はインプラント治療の成功に不可欠な検査であり、患者さんの口腔内の骨の状態を詳細に把握するための大切なステップです。治療の前に行われるこの検査により、患者さんに合わせた最適な治療計画が立てられ、安全かつ確実なインプラント治療を実施することが可能となります。

インプラント治療を受けられない人について

インプラント治療を受けられない人について

インプラントは誰でも受けられますか?
インプラント治療はポピュラーな治療法であり、多くの方が希望していますが、実際には誰でも受けられるというわけではありません。以下は、代表的な7つのケースとその主な対処法についてのまとめです。骨が薄い: インプラントを埋入するためには、十分な骨の厚みが必要です。骨が薄い場合、骨移植などの手術によって骨を補強する方法が考慮されます。

年齢が低い: 成長途中の若い方は、まだ顎の骨が発達途中であるため、インプラント治療が難しい場合があります。成長が完了してから治療を検討することが一般的です。

糖尿病を患っている: 糖尿病の場合、傷口の治癒が遅れる可能性があるため、インプラント治療の成功率が低下する場合があります。治療前に糖尿病の状態をよく管理し、医師と相談しながら治療を進める必要があります。

腎疾患があり血液透析を受けている: 血液透析を受けている方は免疫力が低下しているため、感染リスクが高まります。治療前に腎疾患の状態を評価し、医師と相談しながら治療の適否を判断する必要があります。

インプラント治療は健康な口腔状態と適切な体調を持つ方にとって、快適で効果的な治療法となります。しかし、上記のような特定の状態を抱えている場合は、治療が難しいことがあります。

歯周病でもインプラントはできますか?
インプラント手術の際には、口内にむし歯や重度の歯周病がある場合、口腔内感染が起こる可能性があります。これにより、顎の骨と人工歯根がうまく結合できなくなるリスクがあるため、注意が必要です。特に、重度の歯周病がある状態でインプラント治療を行った場合、歯周病菌が原因となる「インプラント周囲炎」という病気にかかる可能性もあります。対処法としては、インプラント治療の前に歯周病やむし歯の治療を先に行うことが重要です。口腔内の炎症や感染を鎮め、むし歯や歯周病を改善することで、インプラント手術の成功率を高められます。また、顎の骨が重度に解けてしまっている場合は、骨再生治療を行うことで、骨の状態を改善してからインプラント治療を行う場合もあります。
ヘビースモーカーでもインプラントはできますか?
喫煙者やヘビースモーカーの方は、インプラント治療が難しい可能性があります。なぜなら、インプラント治療では人工歯根と顎の骨をしっかりと結合させる必要がありますが、喫煙によって血流が悪化し、タバコの成分であるニコチンが血管を収縮させるため、血流が豊富でない状態になります。その結果、人工歯根と顎の骨の結合が困難になるリスクが高まります。さらに、喫煙者は歯周病にかかりやすい傾向もあるため、治療後も注意が必要です。対処法としては、完全に禁煙が必要です。一時的な禁煙ではなく、永久的に禁煙を守ることが、インプラント治療の成功につながります。インプラント治療を希望する場合、喫煙をやめることで治療後の安全性や結果に大きな影響を与えられます。

インプラント治療後の検査について

インプラント治療後の検査について

インプラント治療後のメンテナンスではどのような検査を受けますか?
インプラント施術後は、歯医者さんの指示に従い、定期的な健診を受けることが重要です。施術直後は、インプラントと顎の骨が十分に結合していないため、移動やずれが生じる可能性があります。定期健診を受けることで、インプラントがしっかりと定着しているかをレントゲン検査などで確認できます。また、噛み合わせや口内の状態も見てもらい、インプラントに過度な負荷がかかっていないかや周囲の組織に炎症が起きていないかなど、口内全体の状態も確認できます。もし何かトラブルがあった場合でも、早急な対処が可能になります。定期健診はインプラントの長期的な成功にとって重要な要素であり、治療後の経過を管理するために欠かせないものです。しっかりと受診して、インプラントの健康状態を確保しましょう。
インプラント治療後に病院でMRI検査を受けても大丈夫ですか?
ほとんどのインプラントはMRI検査が可能ですが、一部の例外があります。一般的に、採用されている主な素材である「チタン」や「チタン合金」のインプラントは、MRI検査に影響を及ぼさず安全に受けられます。これらの金属は磁石にくっつかないため、MRI検査の際に問題が起こることはありません。 ただし、注意が必要なケースもあります。一つは「オーバーデンチャー」と呼ばれる入れ歯の場合です。一部のインプラントオーバーデンチャーは磁石を使用しており、MRI検査に影響を及ぼす可能性があるため、事前に歯科医師に確認を取る必要があります。 基本的に「チタン」を使用したインプラントはMRI検査に問題はありません。チタンは顎の骨との親和性が高く、金属アレルギーの反応も出にくい安全な素材です。もしMRI検査を受ける予定がある場合は、治療前に歯科医師に相談し、インプラントの素材がMRI検査に対応しているか確認してください。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでインプラントの検査についてお伝えしてきました。ここまでの要点をまとめると以下の通りです。

  • インプラント治療の前にはレントゲンや血液検査、口腔内の確認などを行う
  • インプラント治療を受けられない人には糖尿病を患っていたり、歯周病やヘビースモーカーの方など
  • インプラント治療後の検査にはレントゲンなどがありしっかり確認することでインプラントを長持ちさせられる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次歯科医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次歯科医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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